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ブータン旅行記-#3

3000mの断崖に建つタクツァン僧院

主な訪問地:パロ~チョモラリ展望~タクツァン僧院

快晴の青空に白く輝く女神の棲む霊峰チョモラリを拝み、約3000mの断崖に建つタクツァン僧院までハイキング。途中まで馬や車でも行けるが、絶景を楽しみながら麓からのんびりと登っていった。苦労して登りきると、仙人が住んでいそうな荘厳な僧院が現れる。帰りには国技の弓道の見学や、パロでの買い物を楽しんだ。

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ブータン旅行6日目 パロ~タクツァン僧院~パロ

女神の棲む霊峰チョモラリ

チョモラリ今日も他のメンバーと別行動で、タクツァン僧院へのハイキングツアーに出かけます。昨日一緒にドチェラ峠に行った女性と二人での参加で、ガイドにはブータンツアー同行のTちゃんがついてきてくれることになりました。ドライバーは、Tさんというまじめで小柄な青年です。

今日も朝からいい天気。山を登るので、天気が気になっていましたが、これなら問題ないでしょう。
まずは、ブータンの霊峰チョモラリが見えるポイントへ向かいます。30分ほどで、ある小さな村に着きました。普通の道路脇に車を停め、外に出ると、真っ白な万年雪を被ったチョモラリが手前の山の間からちょこっと頭を覗かせていました。本当にちょこっとなので、ここからではそれほどの感動は正直ありませんでしたが、本格的なトレッキングなどで、もっと別の場所から見たらすごい綺麗だろうなと思います。

タクツァン僧院への道

登山口写真も撮ったところで、いよいよタクツァン僧院への登山口に向かいます。再び30分ほどで到着。
森の中の駐車場には、すでに何台かの車がとまっていました。そして驚いたことに、そのうちの一台が、
今回のツアーで私たちが利用した旅行会社と同じ会社が主催する別のツアーだったのです。そちらは、まだ始まったばかりで、これから16日ほどかけてブータンを周るそうです。うらやましいと思いつつ、私たちは4人で先に出発しました。

タクツァン僧院へは、車で途中まで登るコースと、麓から歩いて登るコースの主に二つのルートがあり、
私たちは、Yさんに

絶対こちらで

と念を押されていた「麓からコース」で登ることになっていました。
でも、実際歩いてみて、「タクツァン僧院ハイキング」を堪能するには、やはりこちらのコースに限ると思いました。移り変わる景色も素晴らしいし、何より全部歩いた!という満足感を味わうことができます。
どうしても歩く自信のない方は、駐車場に馬が待機しているので、それに乗って登ることも可能です。行かれる方は、ぜひ「麓からコース」で登ってみてください。

馬の駐車場さて、「麓からコース」の素晴らしさをまだ知らない私は、

タクツァン僧院への道はきつい

とさんざん聞かされていたので、登りきれるかどうか少々不安を感じつつ歩いていました。
車の駐車場から森に入ると馬の駐車場があり、そこを通り抜けるとだんだんと登山道になってきます。 早くもその途中から、遠くの切り立った崖に立つタクツァン僧院が小さく見えました。

あそこまで登るのか…

さらに自信がなくなってきます。
昨日聞いた経験者の話では、

第一展望台まではそこそこの登りが続くが、そこから先が特にきつくて、道は崖のような場所に続き、(せっかく登ったのに)その急なところを下って、最後はよじ登る感じ

らしいのです。
しかし、ぜひ訪れたい場所だったし、こんなに天気にも恵まれたのでもうがんばるしかないでしょう。

マニ車のお堂少し登ると、水で周る大きなマニ車のお堂が森の中に現れました。お堂は3つあり、斜面の上から一列に並んで建っています。木漏れ日がキラキラと降りかかり、とても美しいものでした。
そこを通り過ぎると、登りの傾斜がぐっときつくなります。しかし、道自体はとても歩きやすく、普通のスニーカーでも大丈夫でした。(地元の人はサンダルの人も)
登山道は木のない所も多くあり、強い日差しが容赦なく照りつけます。幅広の帽子を被り、日焼け止めもたっぷり塗っていますが、チリチリと肌が焼かれているのを感じました。暑いのが苦手な私にとっては(しかも風邪気味)、結構息が切れます。途中、他の国の観光客とも出会ったりしましたが、お互い苦しげに挨拶を交わすのがやっとでした。

山頂休憩を何度もはさみながら、ゆっくり登り、ようやく最初の峠を越えました。そこはかなり広く、視界がぱーっと開けています。マニ車のお堂やお土産物屋(ゴザの上に並べてあるだけ)があり、とても日当たりがいいので、広場の真ん中では犬も眠りこけていました。
その脇には馬がつながれていて、そういえば途中で馬に乗っている人に追い抜かれました。 ここからはタクツァン僧院も見ることができ、目線がほとんど同じなので、それだけ登ってきたという実感が湧きます。

第一展望台そこから少し歩くと、第一展望台に到着します。登り始めて1時間20分ほどで着きました。
ここにはレストランとトイレがあり、ほとんどの観光客が立ち寄っています。レストランの前にある狭い広場には、テーブルと椅子が置かれており、僧院を眺めながら休憩することができます。
私たちもそこに座り、クッキーとお茶のサービスでホッと一息つきました。
15分ほど休憩してから再び出発です。

山頂のお堂さきほどいた山頂のお堂を遠くに見ながら、同じ道を少し戻ります。再びタクツァン僧院への道へ出ると、しばらく上りが続き、その後、マニ車のお堂とタルチョのアーチが現れます。そこを抜けると、崖の上に出て一気に視界が開けます。緑豊かな山々が幾重にも折り重なり、それは素晴らしい風景が飛び込んできました。
この辺りから徐々に、タクツァン僧院もすぐ近くに見ることができるようになります。そして、道は一気に細く険しくなり崖の斜面に突入です。

タクツァン僧院ああ、これか…

「崖を下り、よじ登る」
昨日聞いた話を思い出しました。
崖の端っこまで行くと、その足元に細くて急な階段状の道が谷底へ向かって続いています。谷は深すぎて、その底は見えません。滑って転がり落ちたら、ただじゃすまないでしょう。
今まで何度か山登りをしてきたので、それほどの恐怖は感じませんでしたが、ここがブータンだということで、安易に怪我はできないという思いから気が引き締まります。

ゴールの僧院は、谷底を挟んだすぐ向こう側に見えていました。その僧院からは、こちら側の崖にたくさんのタルチョが渡されていて、谷を吹く風に気持ちよさそうになびいています。その風景は、日本で見た写真そのままでした。

滝やっと見れた景色に感動しながら、ジグザグに斜面を下り、なんとか滑り落ちることなく、このルートの底の橋まできました。途中からは道も広くて緩やかになるので、危ない箇所は一部だけのようです。
この橋の脇には、崖の上から滝が流れています。橋を渡り、今度は今まで下ってきた道を反対側に見ながら、僧院までの最後の階段を登っていきます。

あと少し…

急な階段が続きますが、聞いていた「よじ登る」ほどのものではありませんでした。

タクツァン僧院の門まずはタクツァン僧院の門に到着。門をくぐり、さらに建物までの階段を上ります。
そして、ついに受付のある入り口までたどり着きました。トータル2時間半でのゴールです。
着いてみると、なんだか、第一展望台までの道のりより、「きつい」と聞いていたそこからの方がラクに感じました。

崖の斜面Tちゃんが入り口で受付をしている間、そのすぐ脇にある広場に行ってみました。そこからは、反対側の斜面が正面に見え、たくさんの観光客が登ったり下りたりしているのが見えます。
受付が終わったTちゃんに呼ばれそこまで戻ると、カメラを含む全ての手荷物は置いていかなくてはならないとのこと。しかし、ロッカーなどはなく、そこらへんに置き去りにしていくしかないので、パスポートなどの絶対無くせない貴重品だけズボンのポケットにつっこんで持って行くしかありません。
私の場合、腰に巻いていたウインドブレーカーも置いていけと言われたので、入れるポケットに限りがありました。

タクツァン僧院

タクツァン僧院さて、さらに階段を登りいよいよ中へ入ります。崖の途中にへばりつくように建てられているため、どこへ移動するにも階段を登ったり下りたりしなければなりません。

標高約3000mに建つタクツァン僧院は、「虎の棲家」という意味があり、8世紀に、ブータンにチベット仏教を伝えたグルリンポチェが虎に乗ってやってきて、洞窟の中で瞑想したとされる場所です。
1998年4月19日に火事で全焼してしまいまい、その後、懸命な復旧作業により2004年に復旧。その時資材を運ぶために作られた道が、現在、タクツァン僧院への登山道となり、以前よりはラクに訪れることができるようになったそうです。

細い木のはしごのような階段を上って、最初の部屋へ入ります。とても狭い部屋でしたが、大きな仏像と僧侶が一人いました。ここで、4人で五体投地をして、僧侶から聖水をいただきます。聖水は、片方の手でもう片方の腕を支え、手のひらに注いでもらい、それを飲みます。何箇所かで聖水をいただきましたが、みんなハッカの味がしました。

お参りを終えてはしごを下りると、何やら大盛り上がりしている場所がありました。そこには、数人のブータンの人が集まっていて、大笑いしています。見ると、大きな岩がひとつ祭られていて、そこで何かしているようでした。
その岩にはひとつの小さな窪みがあり、

目をつぶって穴に指が入ると願いがかなう

という言い伝えがあるそうです。みんなは、それに挑戦しているところでした。さっそく私たちも彼女たちが見守る中、挑戦です。
親指を前に突き出し、2,3メートル離れたところから目をつぶって歩きます。ゆっくり近づき、イメージした場所に指を押し当てると

はずれ

3回挑戦しましたが、みんなダメでした。他の人も全員全滅。どうやら願い事は叶いそうもなさそうです。
気を取り直して、次の部屋へ向かいます。中へ入ると、ここにも大きな仏像がありました。先ほどと同じように五体投地でお参りをし、聖水をいただきます。

この後、グルリンポチェが瞑想した洞窟があるというので見に行きました。その入り口は岩の割れ目にあり、人一人がかがんでやっと通れるくらいの小さなものです。
階段を登って入り口までいき、洞窟を塞いでいるドアを開けました。そーっと中を覗き込むと、真下に向かってぱっくりと穴があいています。そこからは外の光が差し込み、ここに落ちたら自動的に崖の下まで落ちていくことを意味していました。
洞窟というより、穴です。

ここのどこで瞑想したんだ?

と思ってよく見ると、穴の手前に、かろうじて一人座れる(かもしれない)スペースを発見。瞑想したならあそこだろうと思い、しっかりと見ておきました。
ビビリながらも全員覗き込み、僧院のマニ車を回したりしながら出口へ向かいます。デポしておいた荷物を身につけ、下山開始。気分は達成感でいっぱいで、帰りの登りはまったく辛くありませんでした。

下山

観光客帰り道では、行き以上にたくさんの人と出会いました。アメリカから来た人、タイから来た人、ブルガリアから来た人…
本当にさまざまな国から訪れていました。そしてどの人も一様に、ここへ来れたことを喜んでいました。
中には、80歳近いようなおじいさんが、杖をついて登りながら、

今まで80ヶ国ほど訪れたが、ここが一番だ

と、息を切らしながら感動していました。確かに私も、感嘆の声を上げながら歩いていたような気がします。
崖の斜面の急坂を登りきると、もうあとはほとんど下るだけです。近道をしながら、第一展望台まで戻ってきました。ここで昼食です。
レストランに入ると、真ん中にあるテーブルにすでに料理が用意され、みんな好きなものを取って食事していました。席がいっぱいだったので、天気もいいし外で食べることにします。木陰に腰を下ろし、ブータンの山並みを見ながらのんびりといただきました。
ブータンの人は良く食べる聞いていましたが、それは本当らしく、同行してくれたTさんは、ごはんを山盛りに盛って黙々と食べています。それなのにメタボな人があまりいないのは、それだけ体を動かしているのでしょう。

唐辛子の日干しずいぶんのんびりした後、そろそろ出発。帰りは下りなので急な道をショートカットしていきます。このぶんだと、駐車場まで30~40分で着くでしょう。若干滑りながらも、あっという間に下りることができました。

あ~楽しかった!

スッキリした気持ちで車に乗り込みパロの町へ戻ります。
途中、ブータン名物の「唐辛子の日干し」を発見したので、写真ストップ。伝統的な民家の屋根の上の真っ赤な唐辛子は見た目にもとても綺麗でした。

ブータンの国技弓道

広場さらに行くと、広場で弓道をしている人たちを見つけたので、ちょっと見学しにいくことにしました。すでに、いくつかのツアーの人たちもいて、見学しています。
長細い広場へ入ると、左手の端っこに弓矢を構えた男の人たちが数人、矢が飛ぶコースの向こう側に、踊りの練習をしている女の人たちがいました。
Tちゃんと一緒に、矢が飛んでこないタイミングを見計らって、踊りの人たちのほうへ、矢が通るコースを横切っていきます。でもなんだか、矢を放とうとしていたらしく、

あぶなーい!あぶなーい!

という声が飛んできました。慌てて走り抜けます。タクツァン僧院は無事乗り切ったのに、危うく矢にやられるところでした。
命がけで渡りきると、そこではキラを着た女性たちがゆる~い踊りを踊っています。その周りを、地元の人や観光客が取り囲んで見ていました。

弓道私は以前、弓道の経験があるので、そっちの方が気になり、踊りを少し見てから、離れたところでやっている弓を見学しに行きました。
この道場(会場?)でみんなが使用している弓は、西洋風の新しいもので、日本の竹の弓とは違いました。それは、「弓道」というよりは「アーチェリー」です。
的までは150mほどもあり、視力に自信のある私の目でもここからは点にしか見えません。その遥か遠くの的まで届かせるために、弓矢を若干上に向け放ちます。そして、見事当たると、雄たけびを上げながら喜びの踊りを舞うのです。
それはとても野生的で、なんだかアフリカの狩猟民族のようでした。

弓道のおじさん見学させてくれたお礼を言い、再び踊りの方へ戻ります。そして今度は、ちゃんと安全を確認して渡る人たちに紛れて(←一番安全)コースを横切りました。
そこには、ビール片手に見学する人やつまみを食べながら休憩する人などが、いつ矢が飛んでくるかもわからない場所で、のんびりとくつろいでいます。若干コースからは外れていますが、経験上、何かのはずみでコースアウトすることは大いにあると思うのですが、たぶん弓道を国技としているブータンでは、そんな失敗はないのかもしれません。
そののんびりチームの中に、弓を持ったおじさんがいたので、写真を撮らせてもらえないかお願いしてみました。おじさんはほろ酔い(?)も手伝ってか、ご機嫌で

こうか?それともこうする?

といろいろなポーズをしてくれました。おじさんの腰には五色の布が垂れ下がっていたのですが、それは、弓道の腕がいいという証なのだとか。Tちゃんがその説明をしてくれると、おじさんはちょっと照れくさそうに笑っていました。

パロでお土産探し

パロの店先他にいた観光客も引き上げ始めたので、私たちも車に戻ります。予定には入っていませんでしたが、いい体験をすることができました。
最後にパロの町で買い物です。待ち合わせ時間を決め、Tちゃんたちと一旦別れました。町でお土産を買うチャンスはこれが最後なので、めぼしいお店を見つけては、品定めをしていきます。結局時間を目いっぱい使って買ったものは、スモールサイズのマニ車。ブータンらしいお土産をゲットできました。

集合時間の5時。
陽が傾き、あたりはもうすっかり山の影に隠れてしまいました。山間にあるブータンでは、空はまだ明るいのに、地上はすぐに日陰になってしまいます。陽が落ちるととたんに気温が下がり、日中との寒暖の差が激しいのがわかります。
無事Tちゃんたちと合流し、寒くなる前にホテルへと戻りました。

最後の夜

着物姿のTちゃん今日はブータン最後の夜です。メンバーのみんなともすっかり打ち解け、夕食時には大変盛り上がりました。
メインは、Tちゃんの着物の着付け。戴冠式のために持ってきた人が着付けてくれることになったそうです。
みんなの拍手に迎えられ、着物姿のTちゃん登場。着物に合わせて、いつも下げている髪もアップにしていました。ブータンの女性は髪をアップにすることはないらしく、これも初めての体験だそうです。やはり外観が日本人と似ているので、とても似合っていました。
本人もかなり喜んでいて、実は今日一緒にいる間も、

今日は着物を着せてもらうの

とうれしそうに何度も話していました。着心地を聞いてみると、キラも着物も締め付けるのは一緒なので、そんなに苦しくないそうです。
みんなで写真を撮りながら、いろいろな話に花が咲き、最後の夜を楽しく過ごしました。

ブータン旅行7~8日目 パロ~ティンプー~バンコク~成田

ブータンの朝

ブータンの朝いよいよブータン最終日になってしまいました。今日もいい天気です。本当に今回はお天道様に恵まれました。
このホテルは山の斜面に建っているので、私の部屋からは外の景色が良く見えます。
朝起きて、部屋のベランダに出ると、朝もやに包まれた山間の村や田んぼが、昇ってきたばかりの朝日に照らされていました。家々からは早くも煙が立ち昇り、朝食の準備を始めているようです。パッと見は日本の田舎とそっくりですが、ところどころに建つダルシンが、かろうじてブータンらしさをかもし出していました。
なんだかホッとする風景です。

パッキングを済ませたあと、朝食に向かいます。食堂に入ると、サンサンと朝日が差し込み、壁一面の窓からはブータンの山並みが一望できました。ビュッフェスタイルの朝食は、トーストと卵焼き、その他少々という簡単なものです。
Yさんから今日の予定の説明があり、朝食後すぐに出発しました。8時、オーナー夫妻とお別れし、バスに乗り込みます。久しぶりに全員揃っての乗車になりました。

ブータンのいろいろ

ブータンヒマラヤまずは、パロの市内を通り抜け、チョモラリを見に行きます。私たちは昨日すでに見ましたが、今日は他のメンバーと一緒に二度目の見物です。
向かう車中で、YさんやGさんがブータンについての簡単なガイドをしてくれました。
ブータンの伝統的な家の窓は、男性性器と女性性器をシンボルとした形をしていて、屋根と建物の間には隙間があり、そこから風を入れて干草などを乾燥させているそうです。
また、家を建てるための木を一本切ったら、代わりに3本の木を植えなければならない決まりがあり、自然をとても大切にしていることもわかります。
他にも、ブータンは世界で唯一の禁煙国で、法律で喫煙を禁止しているそうです。

再びチョモラリ

チョモラリへえ~と感心しているうちに、到着。昨日行った場所よりちょっと手前のポイントです。
ここからは、農村の向こうに低い山、そしてチョモラリという景色になっていて、昨日とはまた違った姿を見ることが出来ました。
今日も雲ひとつなく、真っ白なピークが綺麗に見えます。
チョモラリ(7316m)とは「女神の聖なる山」という意味で、地元では「神が棲む山」として崇められている神聖な霊峰です。そのため、この山に登ることは禁止されているとか。
みんなそれぞれ写真を撮り、再び出発。

ドゥゲ・ゾン

ドゥゲ・ゾン次は、今は廃墟となったドゥゲ・ゾンへ向かいます。
ドゥゲ・ゾンは、1647年にブータンとチベットが戦ったとき、その戦場となった場所に勝利を記念して建てられた城です。しかし、勝ったとは言え、きっと多くの人が祖国のために死んでいったのでしょう。
そのせいか、田畑の中の丘の上にポツンと立つ姿は、なんだかとても悲しげに見えました。
その後、昨日行ったタクツァン僧院を見れるポイントで写真ストップです。改めて下から見ると、よくあんなところに建てたなと再度感心させられました。そして、その場所まで登った自分にも感心。
道は険しかったけど、行って本当によかったと思います。

キチュ・ラカン

キチュ・ラカンドゥゲ・ゾンを後に、最後にブータン最古の寺キチュ・ラカンへ向かいます。
このお寺は、当時チベットを統一した最初の王ソンツェンガンポが、同時期、チベット全域に影響を及ぼしていた魔女の力を封じ込めるために建てたという言い伝えがあります。
車道から田んぼのあぜ道に入り、丘の上に上ると、そのお寺がありました。

キチュ・ラカンのみかんの木小さな門から中へ入ると、桜の木が3本(2本だったかも)ありました。これは、昔日本から送られたものだそうです。ブータンの人には花見をする習慣がないそうなので、いつかその時期に訪れて、ブータンの人と一緒にどんちゃん騒ぎきたらなと思いました。
さらに、門をくぐって本堂へ続く中庭に入ると、今度は一本のみかんの木があり、たくさんの実をつけていました。高地で寒いブータンの地で、このようにたわわに実をつけるのは、聖地のパワーがあるからだと言われているそうです。

キチュ・ラカン靴を脱ぎ、本堂へ入ります。内部には、千手千眼十一面観音像がたくさん祀られていて、奥の部屋には、ご本尊が静かにたたずんでいました。
そして、ご本尊の正面の床には、一箇所だけ足の形に磨り減って窪んだ場所があります。この窪みは、1000年以上もの間、ここへくるブータンの人々が五体投地をしてお祈りしたことによって自然とできたものだそうです。
私たちも、その場所に立ちお祈りすることが出来ました。
1000年にも渡るたくさんの人の想いを受け継ぎ、そして次へ繋いだような、そんな神聖な気持ちになりました。

ここでお参りができた

という、満足感と共に、なぜかほっとした安心感というのも感じました。
なんともいえない穏やかな気持ちになり外へ出て、お堂を囲むマニ車を回しながらキチュ・ラカンを後にしました。
これでブータンでのすべての観光は終了です。のどかな農村の風景を見ながら、一路パロ空港に向かいました。

出国カード紛失

パロ空港パロ空港の建物の外で、ガイドのGさん、Tちゃん、ドライバーのTさんとお別れです。ここで偶然、ドチェラ峠の案内をしてくれたガイドのKさんにも再会!どうやら他のお客さんを送りにきたようです。
みんなとお別れの挨拶をし、建物に入りました。
荷物検査とボディチェックを受け、チェックインカウンターに荷物を並べます。このとき、出国の時必要な、出入国カードが見当たらないことに気づきました。
恐る恐るYさんに

あの~ないんですけど…

と申し出ると、

もう一度探してみてください。絶対ありますから!

と落ち着いて自信たっぷりに断言されました。
確かに捨てた覚えはないので、落としたとかしてない限りどこかにあるはず。もう一度、何度も探した貴重品の手荷物をガサガサ見てみました。
すると、ファイルの間に黄色の紙が。

あったー!

近くにいたメンバーの人を巻き込んで大喜び。これでブータンから出国できます。(さっきまでは帰るのが惜しかったのに)
それにしても、さすがは添乗員さん。あらゆる事態に慣れてらっしゃる。

ほっと胸をなでおろし、Yさんがチェックインの手続きをしている間ベンチに座って休憩です。
ブータンの空港では、一度荷物検査を受けて中へ入ると、お土産物屋さんやトイレがその外側にあるので、入るときにもう一度持っている荷物の検査を受けなければなりません。そのため、出るときはすべての荷物を置いて、残っている人が荷物番をするのが一番ラクな方法です。

レアなお土産

ドゥルック航空のプラモしばらく待ち、チェックインが終わったので出国審査を受けます。さきほど発見した出国カードとパスポートを提示し、無事出国。待合所に行くと、数軒のお土産物屋さんがあったので入ってみました。
ここで、他のメンバーから、

ドゥルック航空のプラモはとてもレアで、日本では売り切れらしい

という情報を聞き、ひとつ購入してしまいました。確かに、世界に2機しか飛んでいない飛行機なので飛行機好きな人の間では結構貴重なのかもしれません。
他にも、

これで最後だし

という思いから、キラを着た人形がぶら下がってるキーホルダーとか、いかにも「お土産」というものを買い込んでしまいました。

さよならブータン

機内からそうこうしているうちに、あっという間に搭乗の時間です。建物を出て、飛行機までのんびり歩いて、タラップを上りました。これでブータンの綺麗な空気ともお別れです。
機内に乗り込みチケットに記載してある席まで行くと、そこはエコノミークラスの一番前でした。前に座席がないので広々しているし、圧迫感がありません。

ラッキー

3席あるうちの真ん中でしたが、まあ良しとしましょう。通路側は、同じツアーのメンバーの人で、窓側にはブータンのビジネスマンがきました。その男性は、民族衣装のゴではなく、パリッとスーツを着込んでいます。そして、私たちが観光客とわかると、一言、

窓側に座りますか?ヒマラヤが見えるし

と、なんともジェントルマンな感じ(?)に、嬉しいことをおっしゃってくれました。
私は喜んで、

いいんですか?ありがとうございまーす!

と、ありがたく座席を移動。通路側にいたメンバーもひとつずれて真ん中にきました。今日は天気もいいし、きっと綺麗に見えるでしょう。優しいジェントルマンは、経由地のコルカタで降りるということで、それまでの間、いろいろな話をしました。
12時前、定刻通りにいよいよ離陸。機体はゆっくりと動き出し、世界一離発着の難しい空港から飛び立ちました。

さよなら、ブータン。(そして、無事に離陸してくれ~)

見る見る小さくなる町と迫る山々。飛行機は大きく旋回しながら、ブータンの地を後にしました。

バンコク到着

機内食飛び立ってしばらくするとヒマラヤの山々が見えてきました。世界の屋根は相変わらず雄大で、真っ白な雪を被って連なっています。
その山岳地帯を抜けると、今度は真っ平な平地が広がってきました。どうやらインド上空に入ったようです。そして、あっという間にコルカタに到着。優しいジェントルマンはここで降りていきました。バンコクまで行く乗客は、機内でしばらく待機します。
ほどなく離陸。インドは機内からの眺めだけでしたが、ブータンと違って「密集」してる感じを受けました。
コルカタからバンコクまでの間に出た機内食はインドらしくカレーです。今回もそうですが、ドゥルック航空の食事はなかなか美味しいものでした。
疲れも出たので、あとはほとんど熟睡。バンコクにはほぼ定刻通り17時過ぎに到着しました。

世界一広大なスワンナプーム国際空港

スワンナプーム国際空港トランジットの場合は入国の必要がないので、飛行機を降りた後はそのまま空港内で時間をつぶすことが出来ます。日本行きの飛行機は23時すぎの出発なので、まだかなり時間がありました。そのため私たちは、一旦17時30分に解散して、20時30分に再び集合することになり、それまでは各自自由に過ごすことになりました。
  このスワンナプーム国際空港は世界一広い空港として有名で、翼を広げたように横に広がった建物は、端から端まで歩くとかなりの時間がかかるそうです。私は一度それをやってみたかったので、お土産を探しながら歩いてみることにしました。通路は広く、両側にたくさんのお店がならんでいます。そのため、まず、片側のお店を見て、折り返してもう片側のお店を見て行くことにしました。
途中派手なモニュメントがあるところが、ちょうど中間地点です。休憩を挟みながら往復で1時間30分ほど。かなり見ごたえがあります。一通り見た後、目をつけておいたお土産を買いました。

帰国

機内から時間になったので集合。ここで、大阪組とお別れです。東京組みも、日本へ着いたら流れ解散なので、実質ここでお別れになります。(でもだいたい荷物のターンテーブルのところでまた会う)
チェックインを済ませ待合室へ。そこまでの移動もかなり時間がかかりました。
眠い目をこすりながらしばらく待ち、搭乗。機内はとても空いていて、3席分すべて使えました。お陰で横になって寝ることが出来たのでとても快適に過ごすことができました。
  早朝7時。 寝ていたので、あっという間に成田へ到着。バックパックをピックアップしみんなと別れ、荷物の宅配をして帰路につきました。明日から仕事ですが、家に10時すぎに着いたので、その日はゆっくり休むことが出来ました。

総評

ブータンのお土産今回は、新国王の戴冠式見学という特別なツアーだったため、詳細なスケジュールはわからないままの出発でした。実際は、写真が撮れなかったり、思った以上の混雑だったりいろいろとありましたが、最高の天気に恵まれる中国王との対面もはたし、オプションでしたが、見事なブータンヒマラヤやタクツァン僧院も見ることが出来ました。

ブータンを旅行していて感じたことは、伝統的な文化が息づく反面、開発がどんどん進められているということです。建設中のホテルがあちこちにあり、人々はみな携帯電を持っていました。ブータン常連の人が言うには、ここ5年で随分変わったということです。

それでも初めてきた私にとっては、首都のティンプーでさえ、ブータンののどかさを感じられたくらい、かなり魅力のある国でした。人々は穏やかで人懐こく、治安もすこぶる良好なので、ゆっくりと休むために訪れるにはとてもいい国だと思います。中央ブータンの方に行くと、もっとブータンらしい風景を見ることが出来るそうです。

ブータンを旅行するのは個人では難しく、原則、ガイドとともにツアーで周ります。観光客は、一人一日220ドル(2008年11月現在)支払わなければならないという決まりがあり、その中には、基本的な旅行費用(宿泊、食事、ガイド、交通費)が含まれています。そのため、ブータンに入国して旅行が始まったら、自分の行きたいところをどんどん言った方がいいそうです。(限度はあると思いますが)

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