野地温泉旅行記
福島の秘湯「野地温泉ホテル」でにごり湯巡り
2016年8月。福島県の土湯峠温泉郷にある野地温泉の「野地温泉ホテル」に2連泊し、趣の異なるいくつものお風呂巡りを楽しんだ。野地温泉は、東北三大美湯のひとつにも数えられている名湯で、やわらかな乳白色をしたお湯からはほんのりと硫黄の香りがし、温泉に入っているという実感が味わえる。台風に見舞われ外の観光はできなかったが、源泉をすぐ横に構えた標高1200mの温泉宿で温泉三昧の滞在を満喫した。
1日目:新宿~野地温泉
フリーツアーで新宿から福島県の秘湯「野地温泉」へ
今日から2泊3日で、福島県の野地温泉に出発です。 今回も、往復の交通と宿のみセットになっているフリーツアーを利用。宿泊するホテルは、乳白色の温泉めぐりが楽しめる「野地温泉ホテル」です。
8時50分、新宿の都庁の駐車場からバスに乗り上野経由で向かいます。
高速に乗り、途中のサービスエリアでランチ。その後トイレ休憩を一回挟み一般道へ。
市街地を抜け山道をどんどん上り、14時半に標高1200mの野地温泉に到着です。
あいにく台風が来ていて天気は雨。ホテル周辺の散策も楽しみにしていたのですが、この分だとおそらく無理なので、今回はとことん温泉を楽しもう!と決めました。
標高1200mの「野地温泉ホテル」
今日から2泊する「野地温泉ホテル」は、標高1200mに位置する山の中のホテル。周辺は豊かな自然に恵まれ、鬼面山(1482m)や箕輪山(1728m)、安達太良山(1699m)などへの登山口が近くにあります。
まずは、ヨーロッパ調の家具が置かれたロビーで宿の人からホテルの説明、そのあと部屋へ向かいます。エレベーターの脇には、モモンガの「モモちゃん」が飼われているカゴがあり、中を覗くと小さなかたまりが丸くなって寝ていました(ほとんど眠っているそう)。
今回案内されたのは本館の部屋。造りはごくシンプルで、あくまで温泉メインという感じ。しかし、駐車場側の部屋からは、天気が良ければ福島市街の夜景や雲海が見えるそうです。
テーブルの上にはお菓子の他に、「鬼面漬け」というお茶請けがありました。これはちょっと珍しいかも。
一息したところで、さっそく浴衣に着替え自慢の温泉へ向かいます。
女性専用「扇の湯」と露天風呂「羽衣の湯」
最初のお風呂は、洗い場のある女性大浴場「扇の湯」に行ってみました。「扇の湯」の外側には、露天風呂の「羽衣の湯」もあります。
浴場へ入るとほのかに硫黄の香りがし、湯船にあふれるお湯は綺麗な濁り湯。
あ~~温泉に来た!という気分にさせてくれます。
野地温泉について
泉質:単純硫黄温泉【硫化水素型】
PH値:5.85(弱酸性)
泉温:53.4℃(源泉)
東北の美湯の一つに数えられ、婦人病・胃腸病・神経痛に卓効がある。
入浴について
入浴回数:入浴開始後数日間は、1日当たり1~2回とし、慣れてきたら2~3回まで増やしてもよい
入浴時間:入浴温度により異なるが、1回当たり、初めは3~10分程度とし、慣れてきたら15~20分程度延長してもよい
入浴後:身体に付着した温泉成分を温水で洗い流さず、タオルで水分を拭き取り、着衣の上、保温及び30程度の安静を心がけること(ただし、肌の弱い人は、必要に応じて洗い流した方がよい)
など、自分の体調にあわせて入りましょう。
ここでは主に露天風呂の方に入っていましたが、お湯の温度もちょうどよく、涼しい風の中でのんびりできました。露天風呂の一部には屋根があるので、少々の雨なら十分入れます。
ほかほかに温まった後、脱衣所の窓から外を覗くと、白い湯煙の上がる源泉が見えました。お風呂のすぐ横にあり、本当に新鮮なお湯が来ていることがわかります。
野地温泉ホテルの夕食
お風呂のあとは1階の食事処で夕食です。
テーブル席にはすでに御膳がセットされ、あとから温かい料理が運ばれてきました。
この日のメニューは、豚肉のすき焼きやタラのみそ焼きなど。
山の幸が豊富で体に良さそうな食材がたんまり使用されています。品数も多く一人分の量もかなり多め。最後のご飯とお味噌汁にたどり着く前にお腹いっぱいになってしまいました。
料理は他にも一品料理(別料金)があるので、お腹に余裕があれば頼んでみるのもいいかも。
また、野地温泉オリジナルの地酒などもあります。
内湯と露天が繋がった「天狗の湯」
野地温泉ホテルには男女専用のお風呂以外に、「千寿の湯」、「鬼面の湯」、そして「天狗の湯」があり、3時間ごとの男女入れ替え制となっています。各部屋や館内にその時間が書かれた案内があるので、確認してから行きましょう。
また、各浴室の入り口には、今現在、男女どちらの時間帯かがわかるランプが設置されていますが、時間になると自動的に男女が変わるので、切り替え時間ギリギリでの入浴は気をつけてください。
天狗の湯は、長方形と八角形の湯船が繋がっている面白い造り。長方形の方が内湯になっていて、そのままお湯につかりながら八角形の露天風呂のほうまで移動できます。天井も高く、内湯と露天風呂の境目がガラス戸になっているのでとても開放的。露天風呂のほうには屋根があるので、雨が降っても濡れずに入ることができます。
暗くなるとライトが点され、内湯から続く露天風呂のお湯がブルーがかった乳白色に浮かび上がりなんとも幻想的。涼しい夜風に吹かれながらいつまででも入っていたくなるお風呂です。
2日目:野地温泉
野地温泉ホテルの朝食と昼食
朝7時半、昨夜の夕食と同じ食事処で朝食です。
焼き鮭や湯豆腐などが並びますが、卵料理や納豆がないのがちょっとさみしい。
朝食の後は、本当なら外に遊びに行きたいところですが、やっぱりこの日も台風の影響で大雨なので大人しく部屋に戻ります。
幸い、このホテルにはお風呂が複数あり、どれか掃除をしていても他のに入れるので、こういう出かけられない日にはありがたい。
さっそく「千寿の湯」へ。
このときは、他のお客さんがいて写真が撮れなかったので後で詳しくご紹介します。
お風呂に入って部屋でうとうとしていると、あっという間にお昼の時間。
ランチは、ホテル内にあるそば処「高山」でいただきます。お店の入口には暖簾がかかり、街角のラーメン屋さんという感じ。中に入るとすでに何組ものお客さんが来ていました。メニューを見ると「鬼面ラーメン」なるものがあったのでそれに決定。
大きなどんぶりに並々盛られたラーメンは、ボリュームたっぷりで食べごたえ抜群。
店主が昔食べたラーメンのスープの味を再現したとのことで、どこか懐かしい味がしました。
大露天風呂「鬼面の湯」
午後もひたすら温泉。
まずは、露天風呂の「鬼面の湯」に行ってみました。細い階段を上がっていった先に脱衣所があり、その外側がすぐにお風呂になっています。
石造りの大きな浴槽で、開放感抜群。緑に囲まれ森林浴もできそうですが、雨がすごいので残念ながら見学だけにしました。傘も用意されているので、少しの雨なら利用するのもいいでしょう。
仕方がないので、女性専用の「扇の湯」に行きゆっくりあたたまりました。
夕食2日目
18時、夕食。今日は外出もせずほとんど運動していませんが、温泉に入っているだけでけっこうな体力を使いお腹が空きます。
今夜の料理もご覧の通り盛りだくさん。
これ以外に、ごはんと汁物も出てもう満腹。旅行に出たら、腹八分目というのは絶対無理だな。。
このあともお風呂に入るつもりなので、しっかりと食べておきました。
野地温泉の原点「千寿の湯」に感動
夜は、本日二回目の「千寿の湯」へ。
「千寿の湯」は野地温泉の原点とも言われるお風呂で、高い天井に立派な梁が渡された檜づくりの内湯。温度の違う浴槽が三つ並び、外に設置されたデッキや浴室の窓からは、もうもうと湯煙が立ち上る源泉が見られます。
夜にはここもほんのりとライトアップがされ、温泉のいい香りが立ち込める浴室内にぼんやりと浮かび上がる乳白色のお湯は、まさに山奥の秘湯という感じ。
以前訪れた栃木県の奥塩原元湯温泉にある「元泉館」の「邯鄲の湯(岩風呂)」なみに感動したお風呂でした。
3日目:野地温泉~新宿
台風の中、野地温泉ホテルから東京へ
今日も朝から大雨。いよいよ台風が東北にくるということで、この3日間で一番の荒れ模様です。
無事に東京に帰れるのかと少々不安に思いつつ、食事処で朝食。
食事のあと、「天狗の湯」へ行きました。露天風呂に屋根はついていますが、風が強いので今回は内湯のみ。本当にえらい時に来ちゃったな~;;
ホテル出発は11時すぎなので、チェックアウトの10時ギリギリまで部屋でのんびり。その後はロビーで待ちますが、バスを待っている間に会社のみんなへのお土産を買いました。色々迷ったのですが、東北限定販売の牛タン味のプリッツとずんだのカントリーマアムに決定。あとで私も食べましたが、どっちも美味しかったです。
最後に、館内に展示してあった野地温泉ホテルの昔の写真がなんとも素敵だったのでここでご紹介します。
本当に昔からみんなに愛されてきた温泉だというのがよくわかる写真ですね。
さて、バスが到着したので出発。暴風雨の中、山道を下って行きますが、数時間もすると青空が雲の間に見えたりと、すっかり雨風がおさまってきました。懸念していた高速道路の閉鎖もなく、ほぼ予定通りに新宿に到着。
滞在中の3日間、まったく出かけられなかった旅行というのは、今回が初めてな気がしますが、温泉がものすごくよかったので救われました。今度は周辺のトレッキングもしたいなと思います。