万座温泉旅行記#1
日進館で過ごす硫黄濃度日本一の乳白色温泉
2014年11月。標高1800mの高地に位置する万座温泉の旅行記。硫黄濃度が日本一の乳白色の温泉は効能が高く、湯治としても長年の歴史がある。宿泊は、そのような温泉地の中でも有名な日進館。雪が降る山奥の秘湯と周辺の熊四郎山や幻想的な牛池の散策を楽しんだ。熊四郎山からは、万座温泉の全景と草津白根山や四阿山、浅間山なども見渡すことができる。
1日目:新宿~万座温泉
新宿から標高1800mの万座温泉へ
10時、新宿から万座温泉に出発。今回も往復のバスと宿だけついた2泊3日のフリーツアーを利用しました。
宿泊する宿は標高1800mにある万座温泉 日進舘(旧:万座温泉ホテル)です。
トイレ休憩を挟み、伊香保温泉の「うどん茶屋水沢万葉亭」で昼食。バスの中でオプションで申し込んだ水沢うどんと水沢とうふのランチをいただきました。
「水沢うどん」という名は水沢の水で作られることからついたそうで、こちらのうどんと豆腐はモンドセレクションで最高金賞を受賞したそうです。
正直、うどんの美味しさはコシの強さくらいしかわからなかったのですが、水沢とうふの方はかなり美味しかった。塩をつけて食べるのですが、それにより濃厚な大豆の甘みが引き立ち、ほどよい硬さと舌触りも滑らか。
一発で気に入り、迷うことなく豆腐や豆乳がセットになった「水沢とうふ あわ雪特撰ギフト」を購入してしまいました。年末、実家に送ってもらうことにしたので、みんなで食べるのが今から楽しみです。本当に美味しいので、豆腐好きの方にはぜひ一度味わっていただきたい。
また、このお店には山下清画伯の作品も展示されていました。一見の価値ありです。
■山下清と花火
放浪生活を続ける間、日本各地で開かれる花火大会を見物した清は、花火を描いた数々の傑作を生みだしました。中でも、二十八歳のときの作品「長岡の花火」は、優れた色彩感覚と貼り絵の技術で人びとを驚嘆させました。
「新潟では児童相談所に泊めてもらって 三日 四日いた 相談所の窓から花火を見た
僕は花火を見るのが好きで花火の絵をよく描いたけど 新潟のはほんとうにすばらしかった 仕掛けが大きくて日本一だそうです
両国の花火も日本一だというし 多摩川の花火も日本一だという どれがほんとうの日本一なのか 僕は迷ってしまう」
(案内板より)
お腹もいっぱいになったところで出発。
綺麗な紅葉を見ながら進み、やがてくねくねとした山道に入っていきました。どんどん標高を上げていくと、やがて木々の葉はなくなり道端には雪の塊がチラホラ。
崖の向こうには、浅間山や、以前登頂した四阿山なども連なっています。
そしてほどなく山間の万座温泉に到着。
ここは、映画「私をスキーに連れてって」のロケ地だったそうです。
万座温泉 万座高原ホテルと万座温泉 万座プリンスホテルで何人かのお客さんを降ろし、最後に今回宿泊する日進館へ。
バスに乗っていたほとんどの人がここまできました。さすが、有名な宿だけあります。
硫黄濃度日本一の万座温泉と日進館
日進館は、万座温泉の一番奥にあり、見晴台や湯畑などにも近い場所にあります。どっしりとした門構えの入り口を入ると、クリスマスツリーが飾られていました。
万座温泉は古くから湯治場としても知られており、日進館も150年の歴史があるそうです。
標高1800mにある硫黄濃度日本一の万座温泉はどのような温泉地なのでしょうか。世界三大長寿地帯とからめて説明する興味深い案内板があったのでご紹介します。
世界三大長寿地帯
- ビルカバンバ地域(ペルー共和国)
南米ペルー共和国、アンデス山脈の山麓に広がる標高4000mの高地に長寿市域ビルカバンバ(聖なる谷の意味)があり、多くは自作農で生計をたて、ほとんどの長寿者が毎日農作業をしています。こうした村の長寿者は体型的にヤセ型で筋肉質の人が多く、いまだに少しも聴力が衰えていません。そればかりか心臓、肺、肝臓などの異常は余りなく尿検査も正常という健康状態にはただ驚くばかりです。120才になる村の最年長者クレトデア・オンタネーダおばあさんは「太陽と一緒に生活すること、早寝、早起きをして、好き嫌いなくものを食べ、子供や孫に囲まれて暮らすのが一番」と長生きの秘訣を語ってくれました。 - フンザ(パキスタン共和国)
北方を中華人民共和国と接するパキスタンのフンザも世界屈指の長寿王国です。世界の長寿地帯はその多くが高地に集中していますが、フンザも標高2500mというカラコルム山脈のふもとに位置しております。村の生活は日の光とともにはじまり何キロもの道を歩いて畑に行き農作業をするのが日課で、長寿者にも作物を運ぶなどの役割が分担されています。食事はけっして豊かなものではなく、朝・晩はチャパティという小麦粉を練って焼いた主食と野菜、それにラッシーと呼ばれる酸乳またはヨーグルトで昼は新鮮なアンズ、冬期は乾しアンズを水でもどして食べるのが普通です。卵はほとんど食べず、肉でさえ10日に1度食べる程度で、栄養的には充分とはいえませんがそれにもかかわらず、高齢者は中肉中背のがん強な体型の方が多く、血圧が低く、肺活量が多くすこぶる健康です。村の1人は一言でいうと「よく働き、よく休み、よく眠る、家族仲良く暮らすこと、これが長寿の秘訣」と語りました。 - コーカサス地域(アゼルバイジャン共和国、アルメニア共和国、グルジア共和国)
カフカス山脈の谷間にある標高1600mのメスチア盆地(グルジア共和国)には長寿者が圧倒的に多くおります。グルジア共和国自体長寿者が多いことで世界的に知られていますが特にメスチア盆地を含むアブハズ地区では、主食はトウモロコシを粗びきにし、熱い湯でねったママルイガで野菜をふんだんに食べています。長寿者は多くの方が働き者で、やせていて背骨の曲がった人は余り見あたりません。ストレスが少なく三代、四代の家族が一つの家に住んでお年寄りを大切にし生きがいと希望を持って生活している事が、長寿につながるとおっしゃっております。
長寿地帯の共通点
- 低圧、低酸素、低温、乾燥、オゾンの強烈な紫外線(対抗・反応により皮膚細胞、細胞、血液等が鍛えられる)と特徴とし、人の200種類の細胞分裂を促進させ、新陳代謝と免疫力と自然治癒力を高めるのです。こうした高地こそ人間が長寿で生きられる条件が豊富な場所なのです。
- 周囲が山に囲まれた標高1500mから4000m以上の高地にあります。
- よく働き、よく休み、よく眠る規則正しい生活。
- 主食は雑穀(あまり精白しない粗びきの粉)で、それに野菜、フルーツが主で、食事量は腹8分目です。
- 長寿者にはタバコを吸う人はほとんどいませんが、酒は適度に飲んでいます。
- 高地の水は気圧がちがうため、平地の水より成分が変異しています。これを超軽水といい大変健康に良いと言われています。また空気も平地の空気に対して減菌、殺菌されています。
万座温泉は世界三大長寿地帯と類似
万座温泉は標高1800m那須火山帯、白根火山(2171m)のふもとに位置しており、世界3大長寿地帯の自然環境が類似していて、昔より自然治癒力、生命力、新陳代謝の回復・増進に寄与し、長寿、病の癒し、家族の回復等に貢献してまいりました事は多くのお客様がご体験されてきたことでございます。その秘密はオンリーワンの天然温泉、標高、水、空気、オゾン、紫外線、気温、湿度にあります。癌、膠原病、糖尿病、心臓病、胃腸病、神経痛、リウマチ、肝臓疾患、アトピー性皮膚炎、脳病、婦人病、貧血、便秘、痔病、関節炎、腰痛、肩こりなどが癒されているお客様がたくさんいらっしゃいます。世界の三大長寿地帯に行かなくても万座温泉で心ゆくまで天然温泉にひたり新鮮な空気を体いっぱい吸い込んで健康で、120才まで長寿を全うして下さい。(案内板より)
日進館
標高1000m以上の高地温泉が「驚くほど健康によい」と言われております。
日本には3000以上の温泉があり、湧出量は世界一であります。その中で標高1000m以上の高地温泉は40数箇所、標高最高位に位置する万座温泉(標高1800m)は昔から万病に効くと言われる奇跡的癒しの酸性硫黄泉で、源泉掛流しでございます。実際に、癌、膠原病、糖尿病、心臓病、胃腸病、神経痛、リウマチ、関節炎、アトピー性皮膚炎・・などが癒されているお客様もいらっしゃいます(個人差異はございます)。平地より極めて細菌の少ない高地のきれいな空気、そして標高1800mの低い気圧が新陳代謝を向上させます。
また、密封パックのポテトチップスを下界から万座温泉に持ってきますと、マリの様にパンパンになります。皆様が下界から万座温泉にいらっしゃいますと肉体がミクロの世界で膨張します。血管がミクロの世界で膨張、血流が促進され血行が良好になり、自己治癒力が驚くほど増します。また、温泉にお入りになる時怒って入る人は一人もいません。皆ニコッとします。顔の表情は心の表情、それだけストレスが解消されます。60兆から100兆の細胞DNAも活性化され、心肺、内臓、身体機能を強め、高め、生活習慣病を防ぐ助けになります。(パンフレットより)
私も旅行などで高地に行くと体調が良くなるなと以前から感じていたのですが、こういうことだったんですね。フンザやペルーにも行きましたが、確かに元気なお年寄りが多かったです。
熊四郎山遊歩道と湯畑散策
時刻は15時半になっていたので、部屋に荷物を置いて、そのまま外へ散策に出発。
表に出ると、宿の駐車場のところに野生のウサギが数羽飛び跳ねていました。まさかこんなところにウサギがいるなんて思っていなかったのでびっくりです。
宿から数分歩いたところに日進館の露天風呂があり、そこを過ぎると眼下に万座温泉の湯畑が登場。薄い緑色をしていて綺麗です。
左の方には薬師堂があり、石段が続いていたのでそちらに行ってみました。お堂の中には薬師如来が祀られ、外には小さなお地蔵さんが万座温泉を眺めています。
その脇から熊四郎山への道が続いていたので登って行きました。
熊四郎歩道
熊四郎歩道は熊四郎山をはじめ、万座温泉が一望でき、遠くは四阿山などが眺望できます。
万座温泉のシンボルともいえる万座薬師堂から川沿いに登っていくと、古代人が借宿に使用したとされる洞窟やコマクサ群生地があります。
眼下には針葉樹林の中に映えるダケカンバの白さが美しく、変化に富んだ自然景観を楽しむことができます。(案内板より)
万座温泉
万座温泉は、標高1800mという日本有数の高標高地に湧出する温泉です。
1日に540万Lの温泉が湧き、酸性硫黄泉約80℃の高温という豊富な湯量と泉質に恵まれ、胃痛、神経痛、リウマチなど多くの効能をもつ温泉です。
源泉は湯畑をはじめ、姥湯、大苦場など約18ヵ所あります。また、「空吹き」のように蒸気が温泉と共に吹き出す火山特有の現象を身近に見ることができます。
万座温泉が、いつ誰によって発見されたのかについては諸説ありますが、古文書等に残る文献記述や熊四郎洞窟からの出土品などによって、すでに古代人が温泉を利用していたとされ、神秘とロマンをも感じることができる温泉地です。
豊富な温泉とすぐれた自然に恵まれた万座温泉は、昭和24年に上信越高原国立公園に指定されました。(案内板より)
万座川を左に見ながら少し行くと、石段の登りが始まりました。段差も少なくしっかりした階段なのでとても歩きやすい。
途中に洞窟がり、その入口に赤い鳥居が建っている場所がありました。熊四郎洞窟と稲綱宮神社です。
熊四郎洞窟
「熊四郎」という名は、ある狩人がここに野宿し、その晩、熊、白という二匹の愛犬に危険なところを救われたのでついた。また一説には万座の麓にある門貝の狩人熊四郎がこの温泉を発見したために、付近一帯を熊四郎山と呼ぶようになったとも伝えられています。
岩質は石英粗面石と見られ、洞窟内部の成因は自然岩で、硫黄分を湧出する酸性の水分にむしばまれ、剥がれやすい岩壁が崩れて長い年月の間に形成したと考えられます。
この近くの地域で石器時代の遺物が発見されていることから、この洞窟を先史時代の人々が利用していたのではないかと考え、荻原進氏により発掘調査が行われました。その結果、嬬恋村には数少ない弥生式土器が発見され、万座温泉が先史時代からのものであったことを証明する遺跡であるとされています。(案内板より)
洞窟の中に入ってお参りし、さらに登って行きました。途中、「しゃくなげコース」と書かれた分岐がありました。以前草津温泉に行った時、白根山から歩いて温泉街まで下った道も同じ名前だったのですが、そこに続いているのかもしれない。(未確認)
10分くらい登ると、見晴台に到着。遮るものがないので、万座温泉の全景はもちろん、遠くは四阿山や浅間山などまで見渡せます。後ろ側には草津白根山も見えました。
その見晴台に岩の塊があり、その中がトンネルになっていて向こう側が少し見えました。なんだか狭かったので中には入りませんでしたが、あとで調べてみたら通り抜けられるとのこと。せっかくここまで来たんだし、行ってみたかった。
もう日も暮れてきたので数分滞在しただけで下山開始。
途中に橋があり、そこを渡ると東屋があったのでそちら経由で帰ることにしました。
万座の植物
万座は標高からみて亜高山帯に属し、針葉樹、広葉樹の大然林に覆われています。樹種はコメツガ、トウヒ、ダケカンバ等が多く、その他カラマツの新緑や、ナナカマドの紅葉、シャクナゲの花などがみごとです。(案内板より)
この東屋からも眺めがよく、前方には渓谷を、後方には今登ってきた熊四郎山などの山々を一望することができます。ここからも草津方面の分岐があり、さきほどの「しゃくなげコース」の道と少し先で合流しているようでした。(未確認)
そこから万座温泉街へ続く「湯畑コース」を下り、夕暮れの中宿に戻りました。
部屋に戻った後、いよいよ名湯、秘湯と名高い万座温泉のお風呂に入りに行きました。