世界遺産アンコール遺跡を巡るカンボジア旅行記。アンコールワットをはじめ、四面菩薩のバイヨン、巨木の根が遺跡を覆うタプロム、東洋のモナリザといわれる美しいデバターがあるバンテアイ・スレイなど、精巧なレリーフが美しいアンコール遺跡を堪能。アンコールワットでは、入場が制限される第三回廊も見学。最終日には、東南アジア最大の湖トンレサップ湖の水上村を船に乗って訪問した。
主な訪問地:シェムリアップ(アンコールトム・タプロム・アンコールワット・バンテアイスレイ・ロリュオス遺跡群・オールドマーケット・トンレサップ湖)
旅行時期:2011年12月/利用航空会社:ベトナム航空(ホーチミン経由)/[外務省]カンボジア基本情報
カンボジア旅行 評価:4.5 -kaycom
早朝5時すぎ。
まだ真っ暗の中、成田空港へ向かいます。
7時前、空港に到着。
今回の旅行は添乗員はいないので、自分たちで手続きをします。
ベトナム航空のカウンターでチェックインをし、まだ時間があるので、所有しているカード会社のラウンジで時間をつぶしました。
時間になり、搭乗口へ。
天気は快晴。朝日をあびた飛行機がスタンバっています。
アナウンスがあり搭乗。機内はとても綺麗で、各席にモニターも完備されています。
9時半、定刻で出発。
これからベトナムのホーチミンまで約7時間弱のフライトです。機内食を食べて、コメディを見たり、居眠りしているうちに乗り継ぎ地のベトナムへ。
飛行機から降りると東南アジアの熱気に包まれました。機内アナウンスによれが気温は26度。冬とはいえ、やはり南国です。
バスで建物に乗りつけ、私たちは乗り継ぎなので出国はせず、「トランスファーカウンター」から乗り継ぎ便が出発するターミナルへ。
成田で預けたスーツケースはシェムリアップまで持っていってくれるので、手荷物の検査だけして中へ入ることができます。
ホーチミンの空港はこじんまりとしてとても綺麗。乗り継ぎの時間は2時間ほどでしたが、一通り見ることができました。
16時半。
一回り小さな飛行機で出発。ここからカンボジアのシェムリアップまではほんの一時間ほどです。
それでも軽いサンドイッチも出たりしてなかなかのサービス。
カンボジアに近づくと、眼下には洪水の被害にあった地域が広がりました。家や田んぼが水に沈んでいるのがわかります。
ニュースではタイのことが大きく報道されていますが、カンボジアもかなりの被害がでたそうです。
あっという間に、シェムリアップ国際空港に到着。
とても小さな空港で、飛行機からは歩いて建物に向かいます。ちょうど夕日が差し込み、その美しさにテンションアップ。
建物に入るとすぐにビザの申請カウンターがありますが、私たちは日本でe-Visaを取得してきたのでそのまま入国審査に向かいます。
「e-Visa」用のカウンターがあるのでそちらでチェック。両手の指紋を登録し、無事入国です。
荷物をピックアップし、いよいよ初カンボジアの旅行を開始です。
空港の建物を出ると、すぐに旅行会社のプレートを持ったガイドさんを発見。軽く挨拶を交わし、車に乗り込みます。
乗ったのは私たち二人だけだったので聞いていみると、明日から何人かと合流するとのこと。一応ツアーなのに面白いなと思いつつホテルへ向かいました。
今回の旅行は「デラックスホテルプラン」で、今日から三日間宿泊するのは4つ星ホテルの パシフィックホテル シェムリアップ。
空港からはほんの7,8分の距離で、国道6号線沿いのホテルが立ち並ぶ一角にあります。
銅像が立ち並ぶロータリーを回り、煌びやかなロビーに入ると、天井まで届くほどの大きなクリスマスツリーが飾ってありました。
カンボジアではクリスマスはないのですが、観光客用に飾ってあるのだそう。
ウエルカムドリンクを飲みながらチェックインを済ませ、日本語のできるスタッフに案内され部屋に向かいました。
部屋は4階の最上階で、白と木の茶色の落ち着いた装飾です。このホテルはまだ新しいので、調度品などもくたびれていなくて清潔。
窓からの眺めも遮るものがなくどこまでも見渡せて最高です。
シェムリアップには3連泊するので、ホテルをケチらなくてよかったと思いました。(右下の写真は昼間に撮影したもの)
さて、荷物を置いたらすぐに夕食へ出発です。
本当は初日の夕食はついてなかったのですが、早めにツアーを予約したので、その特典として、「Le Bistrot de Siem Reap」のフランス料理がサービスされました。
レストランへは車で10分ほどで到着。
まだちょっと時間が早いので私たちだけの貸切です。フランス人が経営しているというだけあって店内はとてもおしゃれ。
かっこいい制服を着た地元のウエイターさんがサーブしてくれます。
最初は硬い感じでしたが、こちらから色々と話しかけると向こうもだんだんと打ち解けてきて、家の話や、通勤のこと、労働のこと、趣味のことなど気軽に話してくれて、とてもリラックスした楽しい食事になりました。
肝心の料理は、前菜、メイン、デザートとそれぞれ二種類から選べ、メインは、友人は鴨、私は魚のグリルにしました。
とてもおいしくて、パンやバターも何種類もあり本格的。
お腹も心も満腹になってホテルへ戻りました。
今日からいよいよ遺跡めぐりです。
6時半に起きて、朝食の前にホテルの中庭を散歩してみました。朝晩は熱帯といえども長袖が必要なくらい涼しくて気持ちがいい。
中央に大きなプールがあり、それを囲むように色々な木々が植えられています。
リゾートに来たつもりはなかったのですが、ここの雰囲気はまさにそんな感じ。
パシフィックホテルの朝食は広いレストランでビュッフェ形式。アジア系のお客さんが多いようで、味も種類も申し分なしでした。
8時、ホテルを出発。
いくつかのホテルでこのツアーのお客さんをピックアップして、合計12人になりました。
まずは、遺跡を見るために必要なチケットを取りに行きます。
チケット売り場にはたくさんの観光客がいましたが、窓口がたくさんあるので、そんなに待たずに取ることができました。
チケットには1日券、3日券、7日券があり、私たちは3日間の券。
写真が必要なのですが、窓口のところですぐに撮影してくれるので、わざわざ日本から持っていかなくても大丈夫です。
10分ほどで全員分のチケットが揃いました。
これを首から下げて、遺跡に入るたびに検問でチェック。
かなりしっかりと見られるので、間違ってもズルはしないようにしましょう。
最初の遺跡は、アンコール・トムのバイヨンです。
南大門の手前で車を降り、そこから歩いていくのですが、これがすごい人。この日は週末ということもあって、タイからの日帰り観光客がたくさん来ているとのこと。タイからは、バスで2時間ほどでこれるのだとか。
そこをさらに進むとテラスがあり、石の塊が姿を現します。
菩薩の顔があちこちに彫られ、かなりな迫力でかっこいい。
遺跡の中へ入ると、くずれた石が雑然と積み重なった箇所もあり、なんだか遺跡発見当時の神秘さを漂わせていました。
第一回廊には、壁一面に見事な絵が彫られています。某ガイドブックには「一大絵巻」と表現されていましたが、まさにそんな感じ。
繊細で躍動感あるこのレリーフはアンコール遺跡の中でも必見でしょう。
その壁の端っこにある小さな入り口から中へ入ると、広い広場があり、そこからさらに建物の上部へ上がることができます。
建物の内部にも細かな彫刻がされ、あちこちにデバターの姿がありました。中には面白いものもあるので、色々と探してみるといいかもしれません。
階段を上って外へ出ると、ここも人でいっぱい。
狭い回廊なので仕方ないですが、それにしてもこれでは限られた時間内でじっくり見るのは無理。
とりあえず一通りは見学しようと、一回りしてみることにしました。
にょきにょきと建つ塔には、そこかしこに大きな顔があり、どれも写真を撮りたくなってしまいます。
いろいろな抜け道があるので、ぜひとも通ってみたいところですが、そんな時間もないので泣く泣く断念。
メインの通路を人をよけながら一周したところでタイムアップです。ここはもっと人の少ないときに時間をかけて見たい場所でした。
バイヨンから歩いてバプーオンへ向かいます。
気持ちの良い森の中を抜けるとその遺跡はありました。
ここには寺院へ続く200mもの空中参道があり、その下にもぐると綺麗な柱の羅列を見ることができます。
寺院はピラミッド状になっていて、昔はバイヨンより高かったとか。
参道の下をくぐって、すぐとなりの王宮へ。
外壁の中へ入ると、こちらもピラミッド型のピミアナカス寺院があります。
そこから王宮の前面の方へ行くと、象のテラスとライ王のテラスへと続きます。テラスは小高い丘になっていて、遠くまで見渡せました。
このときはささっと見ただけでしたが、ガイドブックによるとここにも色々なレリーフがあるので下のほうも見たかった・・。
お土産屋さんの通りを客引きをかわしながら駐車場へ向かいますが、カンボジアの客引きはけっこう粘り強くて、ネパールを彷彿とさせます。
ただ、この国の国民性なのか、みんな声が小さくひかえめな感じなので、いつもは相手にしないことが多いのですが、話だけでも聞いてあげようかと思ってしまう雰囲気がありました。そして、比較的すぐに値下げしてくれる人が多いのも印象的(^^;
というのも、この国の平均年収は540ドルほどで、たとえ3ドルを1ドルに値下げしてもそれは大きな収入になるのだそうです。
時刻は11時。
だんだん日も高くなり気温も上がってきました。ホテルを出発したときは寒かった車内のエアコンも今は気持ちがいい。
一年で一番気温が低い時期とはいえ、昼間は30度くらいになります。日差しも強いので、日焼け止めや帽子は必需品。水をこまめに補給しながら、次の遺跡タ・プロムへ向かいました。
タ・プロム遺跡は、私がカンボジアでもっとも見たかった遺跡のひとつです。
東門をくぐり木立の中を歩いていくとほどなく入り口が見えてきました。
この遺跡は、映画「天空の城ラピュタ」の世界といわれたり、「トゥームレイダー」の撮影地だったり、世界的にも有名な場所です。
なので、やっぱり混んでいた・・
巨木の根が遺跡にからみつくポイントはもう、朝の新宿駅なみの混雑さ。私の中の「神秘の遺跡」のイメージが通勤ラッシュの情景に変わります。
カンボジアに来てまでこんな目にあうとは・・
と思いつつも仕方がありません。
こうなれば日々の通勤で鍛えているラッシュ対応技術を発揮し、塊となった人の間をうまくすりぬけずんずん前へ。
なんとか巨木と一緒の写真撮影や一部だけですが、人の写り込んでいない撮影に成功しました。
中央祠堂から出ると一気に人が減りましたが、ここにもタ・プロムらしい風景を見ることができます。
最後は、陽だまりで犬が眠りこける門から出て、遺跡で遊ぶ近所の子供たちを眺めながらバスへ戻りました。
カンボジアでベストシーズンに人気の遺跡を見るのは大変です。
午前中の観光を終え、お昼ごはんの前に、「アンコールクッキー」の直売店へ行きます。
これは、日本人女性が考案・経営していて、地元の人を雇い、地元のものを使って作っているクッキーです。
ひとつひとつ袋に入っていて、売り上げの一部は寄付もされるということで、日本人観光客に大人気だとか。
あとは、胡椒もカンボジアが産地なのでお勧め。
私も、いくつか買いましたが、あとで空港でみてみると、断然こちらの方が安かったので、買う場合は直売店の方がお得です。
買い物のあとはカンボジア料理のランチです。
カンボジアの料理は、ココナッツミルクなど使った甘い料理が多いそうですが、今回のは菜っ葉の炒め物やヌードルなどで、そんなに甘いとは感じませんでした。
私たち日本人の口にもよくあいます。
野菜も多く健康的な食事に感じましたが、ガイドさん曰く、カンボジアの人はとても大食漢で、甘い料理が多いせいか、だいたい40歳を超えると糖尿病などの病気にかかり、平均寿命は59歳の若さなのだとか。(この平均寿命の短さは他の要因も大きくあると思いますが)
食事の後は、一番暑い時間帯に突入するので、いったんホテルに戻って休憩です。