旧正月の春節を迎える台湾の旅行記。台北からレトロな九分、台湾高速鉄道で台中まで乗車したあと台南の高雄まで3泊4日で縦断。年末年始で賑わう台湾国内の様子や赤提灯が灯る映画の舞台となった九分での本格的なお茶の体験、屋台がひしめく喧騒の夜市、愛河のナイトクルーズなど毎日てんこ盛りのツアー。台北では日本の冬と変わらない寒さだったが、北回帰線を越えると20度近くの暖かさになり南国を実感した。
主な訪問地:台北~九分~台湾高速鉄道~台中~高雄
旅行時期:2011年1月/利用航空会社:チャイナエアライン/[外務省]台湾基本情報
台湾旅行 評価:3.5 -kaycom
2011年1月28日。
今日から3泊4日で台湾旅行に出発です。
朝4時半に起きて、まだ暗い中、成田空港へ向かいます。
7時半に空港で友人と落ち合い、チャイナエアラインのカウンターでチェックイン。待ち時間を利用して、台湾ドルも両替しました。今は1ドル3円ほどです。
9時50分、ほぼ定刻で出発。
ちょっと機体が古くてパーソナルモニターが付いていませんでしたが、機内食を食べたり、入国カードを書いたりしていたらあっという間に到着してしまいました。
成田からのフライト時間はたったの4時間で、時差もわずか1時間です。
13時すぎに飛行機を下り、入国審査と税関を通って入国。すぐに「HIS」のプレートをもった現地ガイドの人と合流できました。
他のツアー参加者を待って、14時バスに乗り込みます。
今回の参加者はなんと33名!
旅行代金が安いので多いだろうなとは思っていましたが、まさか30人越えとは。
でもまあ、たったの4日間だし
と気を取り直し、台湾出身でベテランガイドのSさんに率いられ、いよいよ出発です。
台北の天気は曇りときどき雨。そのせいか思ったり寒く、日本で着てきた冬服のままでOKでした。
今台湾は、旧正月を控えた年末の時期で、町のお店にはお正月の飾りがしてあったり、道も渋滞していたりと賑わっています。
そんな町を通り抜け、最初の観光地の龍山寺へ向かいました。
ほどなく龍山寺に到着。
この龍山寺は、台北で最古の寺院で観音様がご本尊として祭られています。
たくさんの黄色い提灯に囲まれた境内の中へ入ると、たくさんの参拝客がお参りをしていました。しかし今は旧正月の直前のため、神様がお寺を留守にしているとされているので普段よりは少ないとのこと。
台湾のこうした寺院はそのほとんどが、拝観料や中で使用するお線香、おみくじなどがみんな無料。
ここでお参りをして願いが叶った人が、お礼として修繕費の寄付や掃除などをして維持管理しているそうです。
私達も信心深い台湾の人たちの間をぬってお参りさせてもらいました。
次に向かったのはお茶のお土産屋さん。
ここではお茶の入れ方や茶葉の説明など、簡単なセミナーが行なわれました。
高山烏龍茶、黒烏龍茶、ジャスミン茶の試飲もさせてくれたのですが、入れ方も本格的なせいかさすがに美味しい。
そしてそのお茶の効能もすばらしく、どれもそそられるものだったのですが、同行した友人が携帯のネットで調べると、そちらの方が安かったので何も買わずじまい。
でも今思うと、ひとつくらい買っておけばよかったかなと思います。
またここでは台湾ドルの両替所もあり、手数料をとらないので空港などよりレートがいいのでおすすめ。
お茶とお菓子でひとごこちついたあとは、今台北で開催されている花博覧会へ。特に行きたいとは思っていなかったのですが、ここはツアーなので仕方ない。
ここでは1時間ほどの時間が与えられましたが、日が落ちると肝心の花も暗闇に霞んでしまい(そもそもそんなにたくさんの種類の花がない)、 いくつかあるパビリオンには並んで入るほどの時間もなく、なんだかとても無駄な時間になってしまいました。
ようやく1時間を過ごし、次はお待ち兼ねの「好記」の担仔麺で夕食です。
バスで市内の繁華街へ入ると、忘年会をするサラリーマンなどで大賑わい。渋滞をくぐりぬけお店に到着すると、すでにたくさんのお客さんが席を埋めていました。
私達も地下の丸テーブルにつくと、どんどん料理が運ばれてきました。
全体的に優しい味付けで、くせもない代わりにパンチもない無難なお味です。肝心の担仔麺もそんな感じで、薄口のスープにコシのまったくない麺で私にはちょっと物足りない感じでした。
それでも初めての台湾での食事を堪能し、食後の運動を兼ねて、台北最大の土林夜市へ向かいます。
バスで最寄り駅まで行くと、そこはすごい人でごった返していました。
信号を渡り夜市のほうへいくと、細い路地にお店が立ち並び、原宿の竹下通りとか上野のアメ横のような賑わいをみせています。
訪れている人は中高生の子供達が多く、お店も若向けのブティックとかで、私がイメージしていた夜市とはちょっと違うものでした。エリアが変わるとそれっぽい屋台もありましたが、ただただ人ごみに疲れぐったり。
ほんの40分ほどの散策でしたが、他のみんなも早々に集合場所へ帰ってきていました。
21時、やっとホテルに到着。
今回のツアーはホテルがいいので、疲れた体にはありがたい。台北ではダイナスティーホテルに2連泊です。
今日は4時半に起きて行動しっぱなしだったので、シャワーを浴びてすぐに寝てしまいました。
7時起床。
煌びやかなホテルのレストランで朝食をとり、8時半ホテル出発。今日もどんよりと曇り、コートが必要なほどの寒さです。
まずは9時から始まる忠烈祠の衛兵交代式を見学。
こちらの衛兵さんは台湾の軍の中で選ばれたよりすぐりの人たちだそうで、およそ30分の式を一糸乱れぬ動きで滞りなく行っていきます。
行き(大門から本殿まで)は、警備の人が観光客の整理を厳しくしていましたが、帰り(本殿から大門まで)は、結構ゆるゆるで、キビキビ歩く衛兵さんの周りを観光客が取り囲みながら一緒に戻ってくる感じ。
交代は1時間ごとに行われ、一度門に立てば瞬きもしてないのではないかと思うほど微動だにしません。(笑わそうとしたり、触ろうとすると持っている銃を床にたたきつけて怒られる)
ガイドさんによれば、この9時からの回が一番ちゃんと行われるらしく、たくさんの観光バスが来ていました。
■動画:忠烈祠の衛兵交代式
次は世界四大博物館と言われる國立故宮博物院へ。
今では来館者が増えたため、事前に予約しないと入場できず、館内では決められたコースで見学しなければならないそうです。またカメラの持ち込みは禁止で写真撮影はできません。
入り口でガイディングレシーバーを受け取り入場。出るときに手にスタンプを押してもらうと再入場できます。
中は結構な人込みですが、Sさん曰く、今日は少ないほうだとか。
この博物院の所蔵品を全て見るためには8年余りもかかるということですが、そこを私達の弾丸ツアーは1時間半で回ります。
そこで、ベテランガイドのSさんがチョイスした「これだけは」という展示物を人込みを掻き分けながら駆け足でチラ見。その中でも最も人気の高い「翠玉白菜」や「肉形石」はやっぱり必見です。
お土産屋さんを覗く暇もなく博物院を後にし、昼食に向かいます。
土曜日の台北の繁華街は人もまばらでとても静か。サラリーマン向けのレストランも閉まっているところが多く、私たちの入ったお店のまわりもひっそりとしていました。
台湾料理の昼食ということでしたが、麻婆豆腐なども出て、中華料理とあまり違いはありません。しかし、強いてい言うなら脂っこさは若干低めで味が優しいかな?という感じでしょうか。
午後一は、中華民国の元総統蒋介石を記念して建てられた中正紀念堂へ。
門をくぐると白亜の御殿が青い屋根を頂いて堂々と聳えています。中の装飾も立派なもので、もうすぐランタン祭りということもあり、ホールには色とりどりのランタンが飾られていました。
展示室に入ると蒋介石の軌跡がかっこよく列挙されていますが、台湾の人にはあまり好意を持たれていないようです。
今回同行してくれたSさんは台湾人で、旅行中、色々な台湾事情を話して聞かせてくれたのですが、その内容は初めて聞くようなことばかりで結構驚きでした。
その中で、蒋介石がらみのこともいくつかあり、印象的だったのが、かつて蒋介石が中国から連れてきた大量の軍人がいるのですが、例えば、その子供達は一般よりも低い成績でいい大学に進学できたり、銀行の金利が18%だったりと今でもとても優遇されているそうです。
また、台北の人はほとんどが共働きなのですが、それは生活がやっていけないということ以外に、中国が攻めてきたときのために、国外へ逃げる資金を蓄えておくということもあるとのこと。
平和で穏やかというイメージしかなかったのですが、裏にはこんな事情も抱えていたのだと知りました。
展示室から出て、さきほど見た白亜の御殿の大広間へ行くと、そこには大理石の壁に囲まれた巨大な蒋介石の銅像がありました。
その高さは台座も含めて9.8メートル。大広間の扉にいたっては、高さ16メートル、幅12メートルにも及びます。
権力の象徴としてなのだと思いますが、これだけ無駄なもの(失礼)に資材を投資することができる、かつての独裁政権の一端を見た気がします。
次は近代的な建物、台北101へ。
その名の通り台北のランドマークで地上101階、地下5階からなっています。ここの89階にある展望台へは5階から乗れる直通のエレベーターでたった37秒。この速さはギネスブックに認定されています。
耳がつんつんするなか展望台に降り立つと、そこからは台北の町が一望できました。
予定では夜景を見るはずだったのですが、Sさん曰く、
今日は天気が悪いし暗くなると何も見えないから
と昼間に変更。たしかに霞がかって昼間でも遠くまでは見えませんでした。
下へ降りるには1階階段で下りて88階から下り専用のエレベーターに乗ります。5階から1階へはエスカレーターで下りましたが、各階にはブランドショップやレストランなどが入っていて日本のデパートとそっくりでした。
次はいよいよ楽しみにしていた九フンの観光です。
九フンの観光は午前中に予定されていたのですがこちらは夕方に変更。その方が赤提灯に灯がともりきれいだとか。
山道を進んでトンネルを抜けると雨が降り出しました。九フンは年間の3分の2が雨だそうです。
大きな駐車場で路線バスに乗り換え村の入り口で下車。
時刻は16時すぎ。台北からは一時間ちょっとです。
細い路地に入ると、両側にびっしりと小さなお店が軒を連ねています。名物の赤提灯もぼんやりと灯りイメージどおりのいい雰囲気。
集合場所の阿味茶(あめおちゃ)というお茶屋さんまで一緒に行き、そこで一旦解散。
晴れていたら色々と歩き回るつもりでしたが、疲れたし寒いしで、そこの茶屋で本格的なお茶を楽しむことにしました。
ここのお茶屋さんは、宮崎監督の映画「千と千尋の神隠し」に出てくる湯屋にそっくりで、お店でもらったポストカードにも「湯婆婆の屋敷」と書かれています。
ここでは、「お茶セット」を頼むと300ドル(およそ900円)で一通りのお茶とお菓子を頂くことができます。
一杯目はお店の人がレクチャーしてくれるので、二杯目からは自分達で実際に入れてみます。代えの茶葉もあるので、1時間くらいゆっくりしないともったいない。
お茶も美味しいし、雰囲気もいいしおすすめです。
■動画:九分のお茶
お茶を飲んでまったりしているとあっという間に時間がたってしまったので、慌ててちょっと散策に出ました。といっても阿味茶の屋上や目の前の階段を下りるくらいですが、とても九フンらしい景色を堪能できました。
これは絶対提灯が灯っている夕方に来るのがいいです。
およそ一時間の滞在で、再び雨の中台北に戻りました。
夕食は世界10大レストランにも選ばれた 「鼎泰豊」で小籠包。
お店に行くとたくさんの人が行列を作っていました。しかし回転が早いので、少し待っただけで入店。結構広い店内でしたが、それが狭く感じるほどたくさんのお客さんで賑わっていました。
各テーブルに置いてある「小籠包の食べ方」を参考にしていただきます。
まずはタレ作り。お醤油にお酢を入れて、細切りにされた生姜をたっぷりと入れます。これにあつあつの小籠包をつけて、肉汁がこぼれないようにレンゲにのせて一口。
おいしい!
月並みな表現ですが、肉汁がたっぷりでいくらでもいける感じ。他にもシュウマイやチャーハンなども出てお腹一杯になりました。
すぐにホテルに戻りたいところですが、格安ツアーではお決まりのお土産屋めぐりが待っています。
疲れた体に鞭打って免税店へ。
今回の旅行は家族にしか言っていないので、お土産はあまり買う必要はありませんが、行ったら行ったで暇なので、一通りお店の中を周ってみました。主だったブランドショップと食料品が揃えてありますが、やっぱりこれといって欲しくなるものはありませんでした。
時間があまったので外に出て、近くのコンビニ(ファミマ)に入ってみました。おにぎりやお弁当なども売っていて一見日本と変わりませんが、よくみるとご当地モノのカップラーメンやお菓子もあります。免税店より、こっちのほうがよっぽど面白い。
なんとか時間をつぶし、これで本日のスケジュールはおしまいです。
ホテルに戻ったのは21時近く。今日もすぐに眠ってしまいました。
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