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八ヶ岳トレッキング 2008年12月31日~2009年1月1日-#1

年越し登山と初日の出の御来光・天狗岳登頂

中山峠からの初日の出

厳冬の八ヶ岳・天狗岳で年越し登山を決行。深い雪に埋もれた黒百合ヒュッテでは、煌々と燃え盛る暖炉にあたりながらフォルクローレの音楽会。外に出れば、真っ黒な夜空に所狭しと星が輝く。元日には真っ赤な初日の出を拝むことができ、天狗岳山頂からは大パノラマが広がった。
コース:渋の湯~黒百合ヒュッテ(泊)~中山峠(初日の出)~天狗岳山頂~中山展望台~渋の湯(入浴)

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1日目 東京~渋の湯~黒百合ヒュッテ(泊)

山火事

早朝5時30分起床。
新宿7時30分発のあずさ3号に乗り込み、八ヶ岳で年越しをすべくまずは茅野へ向かいます。今回は自由席で行きましたが、ほぼ満席。指定席においても空席はないとのことでした。年末のこの時期、席をとれるか心配でしたが、30分前から並んでいた甲斐があり、なんとか座れて一安心。

天気は快晴。車窓からはきれいな山並みが見れました。
眠気も覚めて、そんな風景を眺めていると、石和温泉をすぎたあたりで、山から煙が立ち上っているのを発見。山火事です。上空には水をはこぶヘリが数機飛び交っていました。火は見えなかったので、くすぶっている程度だと思いますが心配です。

登山口の渋の湯

10時前、茅野駅に到着。
電車を降りると、私たちのようにザックを背負った人がたくさんいました。みんな山の上で年越しをするのでしょう。なんとなくワクワクしている感じが伝わってきます。

10時20分発渋の湯行きのバスに乗り、登山口のある終点まで向かいます。車内は登山客のみで、ほぼ満席。途中のいずみ平の停留所でチェーンを巻き、山道へ入っていきます。といっても、去年に比べるとあまり雪が多くないようで、そんなに積もっていませんでした。

11時30分すぎ、終点の渋の湯に到着。そこで身支度をし、今日の山小屋黒百合ヒュッテに向かいます。 今回は、ヒュッテまではアイゼンなしで登ることにしました。
前回登ったときは、自分の体力のなさを痛感させられ、それが悔しくて、あれから一年、筋トレを続けてきました。その他学んだ問題点も改善してきたので、その成果を試すのが楽しみです。

茅野駅~渋の湯までの路線バスの時刻表

唐沢鉱泉との分岐

渋の湯の登山口には人がいて、登山届けの記載を促していました。去年は人はいなかったのですが、やはり大晦日ということだけあって、たくさんの入山者がいるからでしょうか。名前や住所、電話番号と予定コースを記載します。

11時45分、渋の湯を出発。橋を渡るとすぐに上りが始まります。
はじめのうちは雪が少なくて、石がごろごろしていたのですが、だんだんと積雪が増し、歩きやすくなってきました。そして、筋トレの成果がでたのか、去年は何度も足を止めて休んでいたのが、今回はまったくそんな必要もなくサクサクと登れます。
あっというまに唐沢鉱泉との分岐に到着。ここでお腹が空いたので、軽い昼食を取りました。
15分ほど休憩し再び出発です。

黒百合ヒュッテ

しばらく緩やかな上りが続き、最後の分岐をすぎると急坂が始まります。ここでも去年は根を上げていました。同行した鬼教官が、ヘロヘロの私を見かねて荷物をもってくれたくらいです。
しかしここでも、一度も休むことなくいいペースを保ち続け、まったく辛いと感じることなくヒュッテまで到着できました。呼吸も乱れず、汗もあまりかかず、かなり余裕です。

時計を見ると、13時40分。15分の休憩を入れて、渋の湯からおよそ2時間で登りきることができました。 たしか去年は3時間くらいかかっていたと思うので、私にとってはかなりの成長ぶりです。アイゼンをつけていないというのも大きな要因だと思いますが、私が求めて筋トレをしてきた、

楽しい山歩き

ができ、とても満足です。

黒百合ヒュッテの情報

天狗の奥庭からの天狗岳

山小屋に荷物を預けた後、天狗の奥庭まで行ってみることにしました。
小屋の前に聳える雪の斜面をつぼ足状態で這うように登っていくと、パーッと視界が開け、目の前に天狗岳が姿を現します。 東と西の天狗が双子の山のように佇んでいました。
風が強くかなり寒いので、写真を数枚撮ってすぐに下山。帰りは尻セードで滑って降りてきました。初めてやったのですが、これがかなり楽しくて大はしゃぎ。
まだ体力があまっていたので、中山峠にも寄り、小屋へ戻りました。

黒百合ヒュッテのお正月メニュー

黒百合ヒュッテでは、個室の人はすぐに部屋へ案内されますが、大部屋の人は、寝る場所の案内までしばらく待たされます。待っている間にもどんどん人が到着し、暖炉の部屋はみるみるうちに一杯になっていきました。結局この日の泊り客は70人ということで、去年の20人程度のときとは様子が随分違います。

16時30分になり、それぞれのグループの代表が呼ばれ、今夜寝る場所(布団)を指定されました。
大きなザックは大部屋まで持って上がれないので、1階に置きっ放しになります。

17時30分。待望の夕食です。
人数が多いので、座るテーブルもキュウキュウ。おかずの豚の角煮は一人2個まで。ごはんと年越しそばはおかわり自由ですが、若い男性達は、おかずが少ないのでごはんだけ食べてたりしました。去年も、ちょっと物足りないと思った記憶があるので、たくさん食べる人は、ふりかけとか持っていくといいかもしれません。

フォルクローレのコンサート

夕食の後は、19時から毎年恒例のフォルクローレのミニコンサートが開かれます。ケーナという笛とギターでの演奏で、ひょんなことから始まったこのイベントは、もう20年以上も続いているそうです。
雪に埋もれた山小屋で聞く音楽は、またひと味もふた味も違う響きで、年の最後を締めくくるコンサートとしては最高でした。終盤では、お客さんのリクエストも受け付けてくれて、みんなで大合唱。楽しい大晦日を過ごすことができました。

1時間ほどのコンサートが終わり、寝る前に外へ出て星空を見ることにしました。前回は天気が悪くて見れなかったのですが、今日は降るほどの星が輝いています。本当に、みんなが歓声を上げるほどのすごい星空。天の川もくっきりと見えました。ずっと眺めていたいのですが、寒いのですぐに撤退。早々に布団にもぐりこみました。

黒百合ヒュッテの夜

21時消灯。ほとんどの人は布団に入っていましたが、下の部屋ではまだ起きている人がいました。
というのも、この日は、ヤ○ケイJOYとJ-W○VEの取材陣が来ていて、「山小屋で年越し」というのをレポートする企画をやっていたのです。
取材はまったく構わないし、大晦日だからカウントダウンしたい気持ちもわかります。
でも、でも、やっぱりちょっと

うるさいんじゃー!

みんなが寝ている大部屋には1階の声は丸聞こえなのです。
周りの人も、

こりゃカウントダウンが終わるまで寝れないな

とこぼしていました。
取材陣プラス数名の泊り客は、きっちりカウントダウンをこなし、その後も、しばらく飲み続けていました。 その中の数人は酔ったのか大声で話し、さらには大部屋に上がってきて、

なんだここ、真っ暗だ!何にも見えないぞ!(←消灯しているんだから当たり前)

と叫び、ドアをバシバシ開け閉めする始末。他にも、みんなが寝ている大部屋にもかかわらず、消灯後もずっと話しているおじさんとか、なんだか今回は、自分勝手な登山客が多かった気がします。
結局その夜はほとんど寝ることができず、朝を迎えることになりました(T T

2日目 黒百合ヒュッテ~東天狗岳(標高2640m)~中山展望台~黒百合ヒュッテ~渋の湯

早朝の黒百合平

あけましておめでとう!
2009年元旦。新しい年の朝がやってきました。

6時の朝食に合わせて、5時45分ごろ起床。
といっても、布団から出たのがその時間で、目はすっかり覚めていました。
朝食はおせち風で、栗きんとんや昆布じめ、お雑煮などで、やっぱりちょっと物足りなかったです。

食事を終え、初日の出を見るために中山峠へ向かいました。小屋の人の話では、今日の日の出は6時48分ころ。ちょっとギリギリでしたが、ダメもとで行ってみました。
天気は快晴で、小屋周辺からは雲ひとつ見えません。これなら初日の出を拝めそうです。

八ヶ岳の初日の出

5分ほどで中山峠に到着。すでに10人くらいの人が集まっていました。
日が昇る方をじっと見ていると、1分もしないうちに、遠くの連なる山々の向こうから真っ赤な太陽が顔を出しました。

間に合った!

今年初の朝日は、まぶしい光で私たちをまっすぐに照らし、あたりの空も山もみんな紅色に染めながらゆっくりと昇っていきます。そこにいた人も見事な初日の出に静かに歓声を上げていました。

今年もよろしくお願いします!

太陽に向かって手を合わせ、写真を数枚撮ってから小屋へと帰りました。
次はいよいよ天狗岳への登頂です。去年は天候が悪く、頂上へ登ったものの、真っ白で何も見えませんでした。でも今日は、山頂もくっきりと見え、これなら噂の大パノラマを見ることができるでしょう。

天狗岳山頂

大きなザックは小屋へデポし、アイゼンをつけて出発です。
その前に、小屋の入り口に建つ4本の御柱に囲まれた諏訪神社で初詣。
アイゼンをつけると、またすぐにへばってしまうかと心配でしたが、去年とは比べ物にならないくらい快調に足が進みます。樹林帯を抜け稜線に出ると、一気に風が強まり冷たい強風が容赦なく体を打ち付けました。

何もさえぎるもののない急登をアイゼンを効かせて登って行きますが、今回はトレースもルートもよく確認できて、迷うことはありませんでした。
頂上直下の鎖場(鎖は雪に埋まって見えない)も問題なくクリアし、無事登頂成功。
黒百合ヒュッテから約1時間で着きました。

東天狗岳山頂から

山頂からは期待通り、素晴らしい景色を見ることが出来ました。
すでに1組のご夫婦がいましたが、私たちと入れ替わるように下山していったので、今回も貸しきり状態です。
西天狗から八ヶ岳の山々、遠くには浅間山まで見渡すことができました。ここも相変わらずの強風でしたが、その風に乗って薄い雲が、朝日に輝きながらサーッと山肌を通り過ぎてゆく姿はなんとも神秘的で、神々しくさえ思うほど美しいものでした。

写真をたくさん撮りたかったのですが、数枚撮った時点で、カメラが寒さのあまりご臨終。上着の中に入れて暖めていたのですが、外に出すとすぐに凍死してしまいます。(温まるとまた生き返る)
仕方がないので、また上着に入れて下山を開始しました。

中山展望台

帰りは、写真を撮りながら下ってきたので、ヒュッテまで1時間15分ほどかかり、登りよりも時間がかかってしまいました。

バスの時間までまだあったので、そのまま中山展望台まで行ってみることにしました。
中山峠から天狗岳とは反対方向の道を進みます。こちらの道は初めて歩くのですが、トレースもしっかりついていて、とても歩きやすい道でした。

しばらく登ると平坦になり、やがてニュウへの分かれ道が現れます。それを通り過ぎて、中山山頂への急登を登り、少し樹林帯を進むと、ほどなく視界が開け中山展望台に到着します。ここは、高見石との分岐になっていて、樹氷がとても綺麗な場所です。
思わず、

うわ~

と声を上げてしまいました。みんな一定方向に氷がついていて、風の強さを物語っています。
ひとしきり写真を撮った後、同じ道を通ってヒュッテに戻りました。往復1時間40分の道のりです。

八ヶ岳の雪山

そして、小屋の前で立ったまま軽くお昼を食べ、そのまま渋の湯まで下山。1時間ちょっとで下りましたが、結局この日は6時間ほどの歩行でした。

下山後は、楽しみの温泉です。
今回も、登山口にある渋御殿湯でひとっ風呂…するつもりで入りましたが、脱衣所に行くと、湯船の方から聞き覚えのある甲高い声が響いてきました。

ヤツらか…

黒百合ヒュッテで睡眠を奪ってくれた例の取材陣(J-○AVE)が再び出現です。脱衣所を占領している荷物からも間違いないでしょう。

この分では(狭い)湯船も占領しているに違いない

のんびりあったまろう思っていただけに、一気にテンションが下がり一時撤退。あの騒がしい中に入る気はしませんでした。キャーキャーと騒ぐ声を後にしロビーまで戻ります。
運悪く一緒になってしまった他のお客さんもちょっとうんざりしたらしく、後で、マナーが悪いと怒っていました。知らぬは本人たちだけで、最後までお騒がせな一団です。
お陰で私は、バスの出発時刻ぎりぎりになり(お風呂はのんびりできたけど)、満足に髪を乾かす間もなくバスに飛び乗ることになりました。

八ヶ岳の山に別れを告げ、茅野駅へ向かいます。およそ1時間で駅前のバス停に到着。
16時21分のあずさ26号の指定席を取り、18時30分過ぎ、無事東京まで帰りました。

蓼科温泉 国民宿舎 渋御殿湯の情報

八ヶ岳の初日の出

--総括--

今回は、(いろいろありましたが)去年のリベンジはすべて果たせました。
天気にも恵まれ、星空、初日の出、山頂からのパノラマも見ることができ、なにより筋トレのお陰で体力的に余裕があったので、辛い思いをすることなく、本当に楽しく山登りをすることができました。
前回の失敗から学んだことをうまく今回の山行に活かせたので、次回もその繰り返しでどんどん経験を積んでいきたいと思います。

充実した素晴らしい年初を迎えることができて、今年もいい年になりそうです。

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