2011年11月。世界遺産に登録された平泉と小安峡や鳴子峡などの東北の紅葉めぐりの旅。まだまだ震災の復興途中ですが、紅葉に燃える渓谷の絶景は見事で、たくさんの観光客が訪れていました。
早朝6時50分、鹿島神宮駅出発。
11月とは思えないほどの暖かさの中、実家のある茨城県鹿嶋市から、世界遺産に登録された岩手県の平泉と、須川高原、小安峡、鳴子峡の紅葉を巡り、矢びつ温泉の一軒「瑞泉閣」に宿泊するという1泊2日のバスツアーに参加しました。
バスは茨城の各所を周ってお客さんをピックアップし、総勢40人の大所帯。
私たちは両親と3人でしたが、8人とか10人とかのグループがいてとても賑やか。バスの中は茨城の方言が飛び交い、すでに遠い所に来た気分です。
数時間ほど茨城県内を走り、福島、宮城を抜けて行きます。
途中のサービスエリアではパトカーが何台も停まっていたりして、まだまだ復興のまっただなかというのを実感しました。
事前に注文しておいた「伊達鶏ゆず味噌弁当」を車内でいただき、数回のトイレ休憩を挟んでいよいよ岩手県に入ります。
時刻は13時半。
朝バスに乗ってから6時間半かけて、やっと最初の目的地、世界遺産の平泉に到着しました。
今年の6月に世界遺産に登録された平泉で、まず最初に訪れたのが「毛越寺(もうつうじ)」。
ここで、平泉を専門に案内してくれるおじいちゃんガイドと合流しました。
毛越寺の入り口の門には、「特別史跡」「特別名勝」と大きくかかれていて、「特別」がふたつも指定された国の二重指定の貴重なお寺なのだそうです。
午後の傾き始めた日差しの中、ガイドさんについて中に入ります。
毛越寺の庭園は浄土の世界を表現した浄土庭園で、それぞれの場所に意味があるそう。
ガイドさんの説明がなければ、ただの景色として見過ごしてしまっていたと思うので、一度はガイド付のツアーで訪れるのがいいかもしれません。
松雄芭蕉の唄が掘られた石碑や、紅葉に彩られた木々を眺めながら歩いていきます。
大きな大泉が池には色づいた木々が写りこみ、早朝の風のない時間だったらきっと鏡のようにきれいでしょう。
その池の周りをぐるりと一回りしていきます。
各所で熱心に説明してくれたので、後半は時間がなくなり早足で駆け抜け、すぐ近くの平泉文化遺産センターへ向かいました。
こちらは平泉の歴史を紹介していて、実は平泉がシルクロードの最東端だという説があるという話を聞いて驚きました。
他にもたくさん展示されていましたが、サーっと軽く一回りしてすぐに退館。
再びバスに乗り、次は平泉といえば必ず出てくる「中尊寺」へ向かいます。
中尊寺に着くころには、太陽もだいぶ暮れてきて、木々に囲まれた境内はすっかり薄暗くなってしまいました。これではせっかくの紅葉の色もいまひとつで残念。
こちらは羅段細工が美しい「金色堂」が有名ですが、最初に入った資料館で、その歴史や細部の写真などを見ると、当時の技術の高さが伺えました。
さて、いよいよその金色堂へ入ります。
幅広の階段とその向こうに立つお堂の写真をよく見かけますが、これはもう中尊寺だけでなく「平泉」を代表する景色かもしれません。
中へ入ると、大きなガラスケースの向こうに、黄金に輝く金色堂が鎮座していました。
室内の薄暗い中でも、中から染み出してくるようなしっとりとした輝きが、キラキラした派手な金色よりも、品のある高級感を感じさせます。
内部にはご本尊の阿弥陀如来をはじめ、全部で9体の仏像が納められ、金と黒の落ち着いた配色のなかに、繊細な螺鈿細工が見事に映えていました。
残念ながら写真撮影は禁止なのですが、この美しさは実際に見る価値があります。
その後、境内を少し散策。道沿いの木々が緑、黄色、オレンジ、赤とグラデーションに色づいています。ガイドさんによると、この一週間でぐっと赤くなったとか。
最後に本道でお参り。
東北の被災地が一日も早く復興しますように。。
もう少し早い時間に来たかったと後悔しつつ下山。
階段を下りたところには昔池があり、未だに発掘作業が行われているそうです。
バスに乗り、途中で、平泉を案内してくれたガイドさんとお別れし、丘の上にある映画のセットのようなお土産屋さんへ寄りました。
ここからは平泉の町が一望でき、中には蝋人形館も併設されています。
みんな、添乗員さんがびっくりするほどお土産を買い込んでいました。少しでも東北のためになればと茨城県民も応援しているようです。
荷物をバスに積み込んで、今日のお宿「瑞泉閣」へ向かいました。
矢びつ温泉 瑞泉閣 には、17時すぎに到着しました。あたりはもう真っ暗。
宿の人に案内され、すぐに部屋へ向かいました。古いとは聞いていましたが、やっぱりちょっとくたびれた感じです。
テンションが下がりましたが、温泉と料理はいいらしいのでそちらに期待しましょう。
18時半、楽しみにしていた夕食です。
早めのお弁当を食べてからの食事だったので、お腹もぺこぺこ。
旅行の案内には、「また食べにきたい料理」のようなことが書いてあったので、自然と期待が高まります。
ツアー客で借り切った大広間に行くと、各グループごとにお膳が並んでいました。
そのお膳に並べられた品々を見る限り、他の旅館でもよく見る感じのもの。
各自で炊く松茸ご飯と岩手牛のすき焼きは美味しかったです。
あとは今思い返しても特に印象に残っておらず、量もネットに書いてあった「食べきれない」ほどのものではありませんでした。
やっぱりツアーだからかなと諦めましたが、期待していた分、私も両親も正直ちょっとがっかり。。。
ただ、父は、オプションで頼んだ濁酒がとても気に入ったらしく、帰りに売店で買い占めていました。
最後の望みは温泉です。
早めに食事処を抜け出して、お風呂に行きました。一人いたお客さんとちょうど入れ違いになり、貸しきり状態。(そのため写真が撮れた)
内風呂のガラスの向こう側に露天風呂があります。
夜になり冷え込んできた外気の中で入る温泉は最高に気持ちがいい。湯加減もちょうど良く、温泉の成分が肌からどんどん染み込んでくる感じ。
あがってからもずっと体がホカホカで、肌もしっとりすべすべです。設置されていた馬油のシャンプーなどもとてもよくて、お風呂は噂通り満点でした。
1 2