新疆ウイグル自治区旅行のお役立ち情報を掲載。実際に現地に行って体験した事実をもとに、旅のポイントや注意点、治安、食事や宿泊施設の状況、持っていくと便利なものなど、独自の感覚と観点で記載しています。基本情報は外務省や旅行会社などのサイトを見ていただければわかると思うので、ここではそれ以外の現地で使える情報をご覧ください。
主な訪問地:カシュガル~メルケト~ヤルカンド~ホータン~クチャ~ウルムチ~トルファン
旅行時期:2012年4月~5月/利用航空会社:中国国際航空/[外務省]中国基本情報
新疆ウイグル自治区のシルクロードを辿る旅。カシュガルからタクラマカン砂漠を縦断しトルファンまで、各地の村や市場に寄りながら人々とのふれあいも楽しんだ。
以下のリンクをクリックすると、その行程が書かれた旅行記をご覧になれます。
悠久のシルクロードと西遊記の世界にどっぷりはまれる。モスクの訪問や各地のバザールは現地色が濃く面白い。また、カシュガルにあるウイグル民族だけが暮らす旧市街は、イスラムの神秘的な雰囲気が漂いおすすめだ。
芸術の里メルケトでは、世界無形文化遺産のドランムカムの演奏と踊りを見ることができる。集合場所の公民館(?)で待っていると、ロバ車に乗って村人が迎えに来てくれ、それに乗って会場となる民家まで連れて行ってくれる。なかなか見られない演奏なので、ぜひ訪れたい。
今回のハイライトのひとつ、タクラマカン砂漠縦断は、天気が悪かったのでイマイチだったが、晴れれば青空と砂の色とのコントラストがすばらしい景色が見られるだろう。砂の粒子が細かく、いたるところに入り込むので、カメラなどには気をつけたほうがいい。
クチャやトルファンの方に行くと西遊記の世界が広がってくる。各所に三蔵法師ゆかりの地があり、火焔山には、西遊記御一行の銅像も建っている。ここまでくると一気に気温が上がり、まわりの景色も一変。赤い山脈が連なり、谷底の川の周りにだけ草木が生えた「ほぼ不毛の地」となる。変わった岩の大地が広がり、月のような場所なので足を伸ばしてみるといい。
ウイグル自治区はイスラム圏なのでお酒は飲まない土地柄なのだが、ブドウの産地でもあり美味しいワインがたくさんある。ホテルや街の酒屋さんに売っているのでぜひ飲んでみよう。お土産として外に持ち出すのは難しいそうなので、そのあたりの状況は現地で確認したほうがいい。
ホテルは設備も整っており問題ない。なぜだか、無駄に広い部屋が多かった気がする。
今回の旅行で一番良かったのはクチャで泊まった「庫車飯店」。部屋はモダンでベッドも広く、敷地内には植物が生い茂る温室とステージ付の広いレストラン、プールもある。
レストランなど公共の場所は結構寒いので薄着で行かないほうがいい。
名物のシシカバブやラグメン、ポロと中華料理が多かった。お肉は羊が圧倒的に多く、癖もなく美味しい。シシカバブは、レストランのものより民家で食べたもののほうが美味しかった。ラグメン(うどんにトマトや野菜をかけたもの)とポロ(ピラフのようなもの)は、どこで食べてもだいたい同じ。それにナンやヨーグルトがついてくる。全体的に脂っこいものが多いので、食べすぎには注意したい。また、ムスリムの人が食べる清真料理でハラール(豚肉などを使用しないなど様々な決まり)が守られた料理も体験できる。
クチャやトルファンの方では干し葡萄が特産品。葡萄の産地なので美味しいワインも飲める。また、クチャのナンは美味しいと有名なので、バザールで買ってみるといい。バザールの一角にナン焼き場があるので焼きたてが食べられる。
たくさんの屋台があり色々とB級グルメが楽しめるが、衛生面で問題があるので、食べるならよく火を通したものにしよう。生地の中に具をつめて釜で焼いたサムサが美味しかった。
水道水は飲めないのでミネラルウォーターを買おう。
中国との問題でデリケートの場所だが、今回は危険な目にはあわなかった。人々は温厚でとても人懐っこいので、バザールなどを歩いているとあちこちから声をかけられる。日本から来たというとみんな笑顔で歓迎してくれた。このあけっぴろげなウェルカム精神はパキスタンに行った時のそれと似ていて、心底感動しこの地を好きになる。
何か問題が起こると一気に状況が悪くなる場所だが、それ以外の通常のときは、観光でまわるのには問題ない。むしろ田舎の方はのんびりしていて居心地がいいくらいだ。ぜひロバ車に乗ってポプラ並木を走ってみてほしい。
しかし、公共の場での政治的な話はタブー。
写真撮影の際、人を撮る場合は必ずその人に一言確認しよう。
どちらかというとみんな「撮られたがり」なので、カメラを持っていると撮ってくれと頼まれることが多い。そして撮られ慣れていないので、照れたり固まったりと微笑ましい。
砂埃がすごいので、使わないときは何かでくるんでおくと安心。
遺跡では一部撮影が禁止の場所があるので、事前に確認しルールは守ろう。また、観光客慣れしている子供が、チップを要求してくることが多い。
ウイグル自治区には、新疆時間と北京時間があり、通常新疆時間で生活している。ウイグルも中国の一部なので、公式には中国の時間なのだが、北京とウイグルとでは距離が離れているため現実的ではない。そこで、公式な時間より2時間遅れた時間が採用されている。現地で待ち合わせなどする場合は、どちらの時間かを確認したほうがいい。
ウイグル自治区には、漢族は行かない民族スーパーがある。お店ではウイグルの特産品などが売られているので、見つけたら一度チェックしてみよう。
私たちも入ってみたが、最初、漢族と思われたのか店員さんに怪訝そうな顔をされた。しかし、日本からの観光客だとわかると、とても親切に対応してくれた。
イスラム圏なので、女性は肌の露出に気を付けよう。モスクに入るとき特にスカーフなどは必要なかったが、一枚あるとほこりよけにもなるし便利。ムスリム以外の人も暮らしているのでお酒は色々なところで売っているが、民家での食事のときはでない。
ホテルやレストランは水洗だが、郊外の遺跡や休憩所は穴があいているだけのところが数箇所あった。外のトイレはあまり綺麗とはいえない。ドアが壊れていたりするので、みんなで協力して使おう。紙は流すと詰まるので、近くのゴミ箱に捨てる。
砂漠などの長距離移動中は青空トイレが基本。だが、砂漠なので隠れるところを探すのに結構苦労する。使用した紙は持ち帰ろう。
今回のツアーで何人かお腹を壊し、そのうちの一人が帰国後病院で調べたら何かの菌が検出された。水はみんなミネラルウォーターを飲んでいたので、食材や食器についていた水か食事そのものかでやられたと思う。僻地でやられるのはよくあることなので、自分でできうる対策をしたら、あとは仕方ない。せめて保険にはきちんと入っておこう。
お腹を壊したときのひとつの対処法として、出るものは薬などで止めず全て出し、しばらく何も食べずに(水は十分にとる)体の中を空っぽにする。若干げっそりするが、これで回復に向かうこともある。
私が訪れたのはゴールデンウィークの季節。天気が悪かったので砂漠を越えるまでは寒いくらいだったが、クチャやトルファンは暑かった。晴れると日差しが強く照り付けるので、日陰の無い遺跡は特に注意が必要。中に入ると売店もないので水は常に持ち歩こう。夏は暑さで体調を崩す人が多いらしい。
多くが砂漠エリアなので、風が強く吹くと砂埃がものすごい。目も開けていられないので、サングラスやスカーフでガードしよう。
現地であったら便利なものを必須度順、番外編でご紹介。
女性ならではのものもあるので、参考にしてください。
旅行ではなるべく荷物は少ないほうがいいので、いるかいらないか迷ったら、それが現地でも買えるものかどうかで判断するのもひとつの方法。しかし、どうしても必要なものでない限り、結局なくても大丈夫だったということは多い。(反対に、なんでこんなものが・・と思いもよらないものが大活躍したりもする)
思い切って荷物を減らし、身軽に旅立とう。
【必須★★★】
【できれば持っていこう★★】
【必要に応じて★】
【番外編】
今回は、各地のたくさんのバザールを巡って人々とのふれあいが楽しかった。言葉はまったく通じないが、バザールなどで一言二言覚えたウイグル語で挨拶し立ち止まると、人垣ができてみんなで話しかけてくれる。どこへ行っても笑顔で迎えてくれ、この人たちに会えただけでも行く価値はあった。
幹線道路でもロバ車が行きかい、民家では葡萄の棚田の下でのんびりお茶をする。中国による開発が進む中、伝統と文化を守りつつ黙々と働く職人街のお父さんや、日が暮れて涼しくなった屋台で夕食を食べる家族、自慢の羊や牛を売るおじいちゃんなど、誰もが一生懸命つつましく生活している印象を受けた。
また一方で、中国の圧力に対する不満もやはりあり、自治区の中であからさまにそんな言動はとれないが、理不尽なことでも受け入れざるを得ないウイグルの人たちの内なる本音も垣間見ることができた。そんなことは世界中の知るところだが、どうにもうまくいかないジレンマが実際に現地の状況を見て改めて感した。