中国湖南省(武陵源・鳳凰古城・芙蓉鎮)の旅行記。映画『アバター』のモデルともなった世界遺産「武陵源」の200mを超える石柱が林立する奇岩地帯や、ミャオ族・トゥチャ族などの少数民族が暮らす中国一美しい街と言われる「鳳凰古城」、映画『芙蓉鎮』のロケ地として有名になった「王村(芙蓉鎮)」などを巡った。
主な訪問地:主な訪問地:上海~張家界(武陵源)~鳳凰(鳳凰古城・南方長城)~王村(芙蓉鎮)
旅行時期:2016年4月~5月/利用航空会社:中国東方航空・上海航空/[外務省]中国基本情報
中国湖南省旅行 評価:4.0 -kaycom
GWを利用して中国の湖南省へ出発。
今回は6日間のツアーで参加者は17名です。
まずは成田空港から中国東方航空で上海まで約3時間のフライト。
上海で乗り継ぎをし張家界まで行きますが、スーツケースは上海で受け取る必要はなく、張家界まで運んでくれます。
上海浦東空港で約4時間の長い待ち時間。そのため、中国東方航空が一人80元分のクーポンをサービスで配ってくれました。長年添乗をしている添乗員さんもこんなことは初めてだと言っていたので、中国のサービスもどんどん良くなっているのでしょう。
空港自体もとても広くてお店もたくさんあるので、時間を潰すには便利で快適です。
クーポンを使えるのは限られたお店なので、その中で「HOPE STAR CAFFEE BAR」に入ってみました。他のツアーメンバーも何人か集まっていて早くも盛り上がっています。
私はラーメンにしてみましたが、これがかなり美味しい!麺の茹で加減もちょうどよく、中のお肉も味がしっかりとついていて柔らかい。
他にも、牛肉の煮込みや小龍包などの小皿料理、中華料理以外のサンドイッチなど種類も多く、盛り付けが綺麗なのもポイント高いです。
いや~思わぬ夕食が無料でいただけて大満足。
ちなみに、クーポンはおつりが出ないのでギリギリの金額まで使った方がお得です。
そうこうしているうちに待ち時間も過ぎ、次は上海航空で張家界まで約2時間半。短いフライトですが、軽食が一回出ます。
22時半すぎ、張家界に到着。
1994年に開港したばかりの綺麗な空港内には、これから観光する「武陵源」の写真(絵?)が飾られていました。本当にこんな景色が実際に見られるのかと思うとワクワクします。
ターンテーブルで荷物を受け取り、これから現地でガイドをしてくれる胡さんと合流。
空港を出て今日から3連泊するホテルへと向かいます。
宿泊するホテルは張家界の武陵源にある5つ星の「PULLMAN HOTEL(张家界京武铂尔曼酒店酒店)」。
デラックスクラスとはいえ、田舎にあるホテルなのでそれほど期待していなかったのですが、これがなかなかステキ。まだ建てられて間もないのか、調度品や水回りもくたびれてなく、部屋もベッドも大きくて快適です。
また、歯ブラシや剃刀などのアメニティの他、無料のミネラルウォーターやスリッパなども完備され、なによりトイレットペーパーの質がかなりいいのに驚き。
武陵源の観光はけっこう歩くと聞いていたのですが、これならゆっくり休めそうです。
朝食は、ホテルのレストランで6時から9時半までの間でいただきます。
会場はとても大きいのですが、すでに結構なお客さんで席が埋まっていました。
料理の種類はなかなか豊富で、パン、ご飯はもちろん、饅頭や麺などもあり、中華料理と洋食がミックスされた感じです。
宿泊客は中国人と韓国人が多かったのですが、みんな朝からよく食べ、よくしゃべる。
そんなパワーに圧倒されながら、彼らに比べて控えめな量を静かにいただきました。
朝食を済ませた後、9時半ホテル出発。
雨が多目の時期だと聞いていましたが、天気もまずまずです。
まずは、バスの車内で胡さんから午前中の予定の説明です。
=====ガイド=====
これから武陵源の中にある索渓谷の宝峰湖へ行く。
中国の少数民族は55族あり、張家界には19族ある。その中でもトゥチャ族が一番多く、次はミャオ族。湖のところはトゥチャ族の居住区。
宝峰湖は山の頂上にある湖で、そこまで30~40分くらいかけて歩いて登って行く。湖では舟に乗るがだいたい20~30分くらい。
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「武陵源」とは、張家界国立森林公園、索渓谷自然保護区、天子山自然保護区、楊家界自然保護区の地域からなる総面積が264平方キロメートルにも及ぶ世界遺産の景勝地。200メートルを超える石柱が約3000本も立ち並ぶ珍しい光景が見られ、映画『アバター』の惑星のモデルにもなりました。
保護区内は一般車両は入れないので、少し手前の駐車場で下りて歩いて向かいます。
索渓峪自然保護区の入り口に近づくと、巨大な岩山や石柱が現れはじめました。これから行く宝峰湖はそんな山の上にひっそりと湛えられているそうです。
チケットを受け取りさっそく観光開始。
ゲートを抜けて少し行くと、左側に湖から流れ落ちる滝が見えました。つまり、あの上まで登っていくということ。
けっこう長い上り坂が続きその後は階段を上っていきますが、思った以上に蒸し暑いので早くも汗をかき始めました。もう少し山岳の涼しい気候だと思っていたのでこれは想定外。
階段の途中で左に曲がりさらに木が生い茂った細い山道を進んでいくと、視界がパッと開け眼下に湖が現れました。
こじんまりとして静かな入り江は、なんだか隠された秘密の場所に来てしまったという感じの場所です。
湖岸にはお土産物屋さんが数件と休憩所があり、その先の船着場には立派な屋形船のような遊覧船が浮かんでいます。
他の観光客の姿も見えず、一隻貸切で出港。湖面から聳える岩山の間を滑るように進んでいきます。風もなく凪いだ水面には、あたりの景色が映りこんでまるで山水画のように美しい。
少し進むと湖面に浮かぶ小屋が見えてきました。
舟が近づくと中から民族衣装を纏ったトゥチャ族の若者が出てきて歌を歌ってくれます。トゥチャ族は歌が上手で知られているそうですが、彼らの伝統を感じられるご当地ならではのサービスでみんな大喜び。遊覧が終わるまでに、そういう小屋がいくつもあってとても盛り上がりました。
宝峰湖の遊覧を終えた後は再び麓に戻るのですが、地面までほぼ垂直に切れ込んだ絶壁を下りていきます。
現在はしっかりとした螺旋階段や通路が設置されていますが、まわりの景色がよく見えるのでかなりの高度感。
あまりの高さにビビリながら下りていると、途中で直接壁に作られた階段が見えました。
もしかしたら、今ある螺旋階段ができる前に使っていたものかもしれないですが、これを下りるのはかなり勇気が要りそう。
立派な階段ができたあとに来てよかったと心底思いました。
なんとか無事麓まで下りると休憩所を兼ねた公園があり、巨大なオオサンショウウオが飼育されていました。大きいものが飼われている池にはお金が投げ込まれ、神様的なあつかいを受けているよう。
その公園の脇に、行くときに見えた滝を下から見える広場があります。山頂にある湖から流れているということでしたが、これだけの水量が流れ出ているのに、どうして湖の水が減らないのか不思議。
広場には、民族衣装を着た現地の人と一緒に写真を撮れるコーナーや、お土産さんもありました。
「索渓峪自然保護区」の観光のあとは、バスに戻ってお茶の専門店へ向かいます。
今回立ち寄ったお茶屋さんでは、お店の人が目の前で入れてくれた5種類のお茶の試飲ができました。山歩きをしたあとなのでこれがとても美味しく、みんなでホッと一息という感じ。
=====ガイド=====
今日紹介するお茶は全部で5種類でカフェインが含まれていない。
まずはジャスミン茶。お湯の温度は80度くらいでいれる。特徴はこの香りで保存は室温で大丈夫。
次のふたつは張家界のお茶。ひとつは土家(トゥチャ)族のお茶で土家茶。葉っぱが白く味はちょっと苦いがのどにいい。土家族は綺麗な声で歌うがこのお茶を飲んでいるから。このお茶は飲んだ後に喉に甘味を感じるのが特徴。また、お茶の後にただのお湯を飲むとその水が甘く感じる。
もうひとつは杜仲茶。このお茶は腰によく、男性には精力アップにもなる。
次は黒いお茶とプーアル茶。黒いお茶は湖南省の名物でプーアル茶は雲南省。中国の西部はお茶の生産地。このふたつのお茶は賞味期限がなく、時間をかけて寝かせておくほど質が良くなる。黒いお茶はアルカリ性。
プーアル茶の丸いのが3年もの、四角いのが10年もの。黄色の葉が多い方が年数がたっているものでお茶の判断基準となっている。
ジャスミン茶100gで200元、土家茶70gで150元、杜仲茶100枚で150元、三つ買えば300元でさらにお茶を淹れるポットをプレゼント。プーアル茶357gで280元、10年もの250gで500元、黒いお茶400gで400元、1000gで500元。
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ここで、トゥチャ族が良く飲んで喉にいいお茶「土家茶」をひとつ購入。さらに交渉の末、お茶を入れるポットをおまけでゲット。
試飲の他にも貴重な10年物のお茶が見れたりして、なかなか有意義な時間を過ごすことができました。
お茶屋さんの後は、近くのお店で郷土料理の昼食です。
このあたりはキノコの産地なので、ガスコンロにかけられた熱々のキノコスープが出てきました。さっぱりと優しい味で出汁が良く出ていて美味しい。
他は、野菜や肉の炒め物などで、郷土料理と言ってもよくある中華料理という感じ。日本人にもなじみのある味です。
昼食を終えて外に出ると、入口のところに果物の屋台が出ていました。湖南省は南の方なので、果物も美味しい地域です。
ツアーのメンバーがいくつか買いましたが、そのときお店のおじさんが使っていた秤がなんともレトロでステキ。果物よりも、みんなこっちの方にくいついていました。
午後は、奇岩が織りなす武陵源らしい絶景が見られる観光。
スタートは武陵源ゲートからですが、そのけっこう手前の駐車場でバスを下りゲートまでは10分ちょっと歩いていきます。
途中にはお土産屋さんやレストランなどの他、建設中のホテルもけっこうあり、これからどんどん開発されていくのがわかります。
立派な建物にあるチケット売り場でまずは指紋カードをゲット。これに所有者の指紋を登録して持ち歩きます。
ゲートからは、無料のシャトルバスに乗って各観光ポイントへ行くことができ、保護区内では好きなバス停で乗り降り自由。ターミナルでもあるゲートの乗り場には、数えきれないほどのバスがズラリと並び、この地の人気の高さが伺えます。(下の写真は帰りに撮影したもの)
最初に私たちは、天子山自然保護区の山頂を目指して、「百龍エレベーター」のある場所へ向かいました。
山奥に進んでいくと、ニョキニョキと立つ石柱が見えてきて、いやおうなしにテンションが上がります。そして目的地まで30分弱ほど走るとその巨石が目前に連なりかなりの迫力。思わず「なんだこれ」と言ってしまうような光景です。
バス停の脇の建物に展望台が設置されているのでそこへ上がってみます。ここからは、絶壁に沿って立つ高低差326mの百龍エレベーターも見ることができ、今からコレに乗っていくのかと思うとちょっとドキドキ(エレベーターの全景の写真はポスターのもの)。この展望台からエレベーターの乗り場に続く入口があり、そこからトンネルの中をしばらく歩いていきます。
行列に並んで乗り込むと、ガラス張りの小部屋になっていて30人ほどが乗れる大きさ。上昇を始めて少しするとあたりの景色が視界いっぱいに広がり、下を見れば足がすくむような高さです。これは高所恐怖症の人でなくても(高さだけでなく色々な意味で)ちょっとしたスリルでしょう。
百龍エレベーターで降り立ったところは、標高約1000mの袁家界というエリアで、アバターの世界そのままの景観が望める武陵源の中でも人気高いスポットです。そのため観光客も多く狭い遊歩道を歩くのは一苦労ですが、それでもここは絶対に訪れるべき場所。
それではまず、エレベーターの乗り場から「迷魂台」や「天下第一橋」を経て次のバス停までの様子をご紹介していきましょう。
このあたりから道も細くなりかなり混んできます。たまに人を乗せた籠が通ったりもするので道を空けるのが大変。
展望台は狭いところが多く、遠慮していい場所を空くのを待っているとどんどん横入りされるだけなので、少々強気に割り込んでいきましょう。人を入れないで構図のいい写真を撮るには、一番前に出るか自撮棒で工夫するしかありません。
ここまでだいたい1時間45分ほど。
アバターのモニュメントもあったりと、映画を観た人ならきっとあまりにそっくりな世界が広がっていて驚くと思います。
次に天子山山頂の「賀龍公園」へ向かうべくバスに乗り込みます。
途中、ここに暮らす少数民族の家や畑を見ながら、30分ほどで山頂のバス停へ到着。
山頂は広くて立派な公園となっていて、なんとマックもありました(しかも大きい)。
もはや秘境感はまったくありませんが、展望台から見える景色はやっぱり絶景。特に筆のような細い石柱が連なる「御筆峰」は、これまでとはまた違った奇岩で美しい。その反対側からは、「仙女献花」という女性が花を撒いているように見える岩もあります。
公園の奥まで行くと「天子閣」という塔も建っているので、時間があれば上ってみるのもいいでしょう。
これまでの場所と比べるとかなり広いので、ゆっくり見たい場合はここがおすすめ。
十分景色を堪能したら、ぜひ天子山ロープウェイを利用して麓まで下りてみてください。
私たちが乗り場に行くと、何かの調査中で運転再開まで40~50分ほど待たされましたが、一旦乗ってしまえば、ニョキニョキ立つ石柱の間を通っていき、より間近に奇岩の景色を見ることができます。迫力はもちろん、高度感もかなりありスリル満点。
ロープウェイから下りた後は、再びバスに乗って武陵源ゲートへ戻ります。
武陵源のゲートから歩いて15分ほどのところにあるレストランで夕食です。
外はもう日が暮れて始めて、帰る人たちでいっぱい。
今夜のメニューは竹筒を使った郷土料理です。
どれも優しい味で歩き疲れた後の体にはぴったり。キンキンに冷えたビールも軽くて美味しい。
お腹も満たされ落ち着いた後は、バスに乗ってホテルへ帰還。
やっぱりいいホテルだと体が休まるので、こういう内容のツアーではけっこう重要だと最近思うようになりました。
→次は、アジアで最大規模のカルスト鍾乳洞「黄龍洞」と張家界国立森林公園