主な訪問地:ドゥイカル~アリマバード~ムルタザバード~ギルギット~チラス~シャティアール~ベシャム
ドゥイカルからは行きと同じ道を再びイスラマバードまで辿る。途中、アリマバードやムルタザバードの村で花を観賞し、ギルギットまで。街を散策したが今までの村とは雰囲気が違い重々しい。ホテルは豪華でヘナの体験をした。ナンガパルバット峰を眺めチラスやシャティアールの岩絵を見学しベシャムについたときはすっかり暗くなっていた。
朝5時15分、ドアコンコンのモーニングコールで起床。
朝が早いので、朝日が見れそうならモーニングコールをするという話だったので、これは見れるかもしれないと外を見ると、相変わらず雲が広がっていました。
完全防備でロビーに行くと、ちょっと微妙なので一応行ってみましょうとのこと。参加者は少なく、最初は5,6人で登ります。
頂上についてしばらく待ちましたが、晴れる気配はありません。薄手のダウンにフリース、シャツを着込み、ニット帽を被っていますが、谷からの風が冷たい。
天候の回復は見込めないと諦めてホテルへ戻りました。
朝食を食べ、9時にホテル出発。
今日からは、今まで来た道をイスラマバードへ向けて戻っていきます。
ジープでまずは、前日まで泊まっていたホテルへ行き、Hさんが運転するバンに乗り換えました。
一緒にフンザダンスをしたホテルのスタッフたちとお別れし、今日の宿泊地ギルギッドへ向かいます。
途中、花の綺麗な村に寄り道しながらののんびり行程です。
最初にアリマバードという村に立ち寄りました。ここは、フンザよりは標高が低いので杏の花の時期はもう終わっていますが、かわりに、りんごや洋梨、さくらなどの花が咲いていました。
道には、ちょうど登校時で、たくさんの子供達が登校しています。
しばらく散策していると、白い花が満開の洋梨の木がある家を発見。塀の外からみんなで眺めていると、その家の人が私達に気づき中へ招き入れてくれました。
庭はとても広く、いろいろな果実の樹があり、牛やヤギも飼育していました。
家の子供達がいろいろ案内してくれて、帰りにはご主人から風呂敷いっぱいの干し杏やくるみをいただきました。
ここでもパキスタンのホスピタリティに感動です。
アリマバードを後にし、30分ほど走ってムルタザバードで下車。ここはさらに標高が低いので、りんごの花が満開でした。
のどかな村を歩いていると、また子供達が出てきました。
その後からその子たちのお母さんもきたので、Nさんが写真を撮ってもいいか聞くと、快くOKしてくれました。
そのお母さんの家の庭で撮影。
なかなか女性の写真は撮れないので貴重な一枚です。
お母さん達にお礼を言って、再び散策開始。綺麗な青空が広がり、真っ白なりんごの花がとても綺麗です。
ほんの15分ほどの散歩でしたがとても気持ちのよい時間を過ごすことができました。
バンに乗り込みしばらく走ると、また断崖絶壁の道になりました。ここはガーネットの鉱山があり、道の脇にもたくさん転がっているとか。
今までにもそういう話を聞いて、フンザの散歩のときにもみんなで探しましたが、ほんのちょっとしか見つからなかったので、ここは最後のチャンスと、急遽道の脇にバンを止め、ガーネット探しをすることになりました。
与えられた時間は15分。みんな真剣に地面とにらめっこです。
すると、あちこちから、
あったーー
という声が上がり始めました。
探すのが慣れてきたのか、私も次々と発見。
時間切れになったときは、10個ほど手のひらに握っていました。
これでいくらくらいだ?
とすっかり目が$マークになってしまいましたが、聞くと、片手に山盛りで1ドルくらいだとか…
やはり、世の中そう甘くはないです。
ガーネットを拾ってウキウキ気分(特に女性)で、ランチをするラカポシビューポイントに向かいます。
この場所は、ラカポシが目の前に見える景勝地なのですが、今回は雲に隠れて下半分しか見れませんでした。
食後に、先ほど民家訪問を行ったときにいただいた杏とアーモンドを食べようと思い、硬いアーモンドの殻を割るのに悪戦苦闘していたら、レストランのスタッフが数人がかりで一生懸命割ってくれました。
さらに、ラカポシが見れなかった私達のために、見えたときに撮った写真を持ってきてくれたりして、みんな本当に親切。
お腹も一杯になり出発。
すると、ドライバーさんがさっきの所で買ったお土産がステキだと言うので、それが前から順番に回ってきました。
それは木でできた果物入れのような入れ物なのですが、それがとても芸術的で、今までどこの国でも見たことのないものだったので、誰からともなく、
私も欲しい
という話になり、戻ることになりました。
再びさきほどのレストランへ行き、併設されている小さなお土産屋さんに突入。私も小さめのをひとつ買いましたが、これは本当になかなかの民芸品です。
たくさん売れてニコニコの店員さんとお別れし再び出発。
途中、旧シルクロードが見える場所があったのでちょっと見学し、今日の宿泊地ギルギットへ向かいました。
およそ3時間半でギルギットに到着。
川を渡って町に入ると、今までとはうって変わってたくさんの人たちで賑わっていました。これからバザールを散策するのですが、面白そうな反面、ちょっとドキドキします。
町の広場で降りて歩き始めると、予想はしていましたが視線がすごい。
ちょうどお祈りに集まっていた人たちが家路に着く時間だったので、かなりの人が出歩いていました。
そして都会だけあって、今までの無防備とも言える人懐こさはなくなり、大半の人が視線を向けるだけでそのまま通り過ぎて行きます。
街角には銃を携えた警察(軍?)もいて、ちょっとものものしい感じ。
路地に入ると両側にお店が連なり、一気に生活の臭いが濃くなりました。食料やスパイス、帽子、服、電化製品などなんでもそろっています。
地元の人々に混じってお店を覗きながら、その路地の先にある橋を渡り、そこでUターン。
広場に戻ってバンに乗り、ギルギットセレナホテルへ向かいます。ホテルは町中からはちょっと離れた高台にありました。
ゲートを入るとき、門番の人が金属探知機で車をチェックをし、その先数メートルにわたって並んでいるポールを迂回しながら中へ進みます。
玄関前でバンを下り建物の中へ入ると、それはもう煌びやかなロビーが広がっていました。一見して外国人用の高級ホテルという感じです。
ここで今回初めて、他のツアーの日本人旅行者にも会い、あらためて都会に来たんだなと実感しました。
くじ引きで部屋を決め、どんな部屋かワクワクしながら向かいます。
主に赤色で彩られた内装は、どこを見てもかわいいと思わず言ってしまうくらいラブリー。
部屋番号を確かめながら、フカフカの絨毯を進んでいくと、私の部屋は廊下の一番奥にありました。
鍵を開けて中へ入ると、そこには期待以上のステキな部屋が広がっていました。大きなベッドには可愛いクッションが置かれ、ランプやカーテンなどの調度品もおしゃれ。そのかわいらしさに思わずクルクルまわりながら部屋を探検してしました。
山小屋のような趣のある部屋もいいですが、たまにはこういうのも全然いい。
荷物をほどいてベッドに乗ってみると、ピシッと張られた洗い立てのシーツとほどよい硬さのマットが心地よく、もうすぐにでも寝てしまいそうになりました。
夕食の時間になったので、レストランへ向かいます。
場所がわからずちょっと迷っていたら、すかさずジェントルなスタッフが教えてくれて無事発見。
扉を開けると、まるでどこかのお城のパーティー会場(私にはそう見えた)のような空間が広がり、キラキラした器に何種類ものおいしそうな料理が並べられていました。
好きな料理をお皿にとってテーブルにつき、さっそくいただきます。
(当然)美味し~い♪♪
この体裁で不味いわけがありません。
都会は嫌だといいながら、やはり居心地の良いホテルで美味しいものを食べると、
やっぱ都会だよな~
と都合のいいことを思ってしまいます。
身も心も満腹になり、チャイでまったりしていると、Nさんが、
やりますか?
と尋ねてきました。
実は今朝、へナをやってくれる約束をしていたのです。
へナとは、植物から採れた粉を油で練ったもので、女性が手のひらや腕にする刺青です。
最初は手の平にしてもらおうと思ったのですが、もうすぐ帰国で通勤しなければならないので、外からは見えない腕にしてもらうことにしました。
Nさんは、以前にラホールで留学していてそのときたくさんへナを練習したとかで、スイスイと綺麗な模様を描いていきます。ほんの5分ほどで、花をモチーフにした美しい絵が完成しました。あとはこれを1~3時間ほど乾かして、皮膚に色を定着させます。
しかしここで問題が。
乾かしている間は起きていなければならず、当然シャワーも浴びれません。
さらに明日の起床はなんと4時半。
しかしせっかくの記念だし、意地でも2時間は乾燥させようと決心し、部屋に戻ってからは、まるで点滴を打っている入院患者のようにベッドに横たわっていました。
そして2時間後、満を持してシャワーで洗い流すと、がんばった甲斐があって、けっこうしっかりと色が付いていました。
これで1~2週間ほどもつそうです。
眠い目をこすりながら、あとほんの数時間ほどしか寝られない大きなベッドにもぐりこみ、せめてあと1,2泊したかったなと思いながら眠りにつきました。
早朝4時半。モーニングコールで起床。
バルコニーに出てみると、当然ながら外はまだ夜明け前です。
寝ぼけ眼で荷物をまとめて、朝食を食べにレストランへ。さすがに来ているのは私達のツアーだけでひっそりとしていました。チャパティと焼きたてのオムレツはとても美味しく、こんなに朝早くから用意してくれたホテルのスタッフに感謝です。
部屋に戻って再びバルコニーに出ると、うっすらと明るくなっていました。そして、朝もやに煙る町に、コーランのお祈りの声が厳かに響いています。
パキスタンの人はすでに一日の活動を始めているのでしょう。
出発するために外へ出ると雨がパラパラ降ってきました。昨日は着いたのが夜だったので気づきませんでしたが、ホテルの庭はとても広く、ジャスミンなどの花が綺麗に咲いていました。本当に1泊だけではもったいないです。
6時、素敵なホテルに後ろ髪引かれつつ出発。今日はべシャムまで長距離移動です。
途中、行きに立ち寄った三大山脈の合流点を通り過ぎ、険しい山道をひた走っていくと、だんだんと天気が良くなってきました。
これなら、パキスタンの高峰ナンガパルバット(8,126m)が見えるかもしれない。
今まで何度かあったナンガ展望ポイントでは何れも不発で、今日の前半の移動中が最後のチャンスでした。
もうみんな祈るような気持ちで、車窓の外を見つめます。
すると、
見えたーー!
前方を見ると大きな雪山が聳え立っていました。
歓声と拍手がわきおこり、トイレ休憩も兼ねてガソリンスタンドで写真ストップ。みんな、また山が雲に隠れてしまわない内に、トイレそっちのけで撮影ポイントに走ります。
目の前に迫る真っ白に雪を被った8000m級の山は本当に大迫力。夢中でシャッターを押しました。
あ~最後に見れてよかった
春霞でボンヤリとしていましたが、とにもかくにも一目でも拝めて満足です。
美しいナンガパルバットを堪能し感動の中出発。
しばらく行くと、行きに橋が壊れて足止めをくったジャグロットの町に着きました。そしてそこには、あの時と同じ、トラックが道に連なる光景が広がっていました。
どうやら簡易的に作った橋からの坂道で、一台のトラックが立ち往生をしているようです。
仕方がないので、他の運転手たちと一緒に暇つぶし。ここからも遠くにナンガの姿が見えました。
そうこうするうちに、車が流れ始めました。急いでバンに戻り、橋に差し掛かりますが交通整理もなくみんなが一気になだれ込んでくるので渡り終えるまでに一苦労。その後も渋滞した狭い道を抜けるのに四苦八苦しました。
何度も止まりながらのろのろと進んでいると、バンの外から、
マジョ~
と聞き覚えのある声がしました。
行きに顔見知りになった子供達が再び私達を見つけて追いかけてきたのですこのたくさんの車の中から私達を発見したのもすごいですが、「マジョ」という単語を覚えていたのにもびっくりです。
すでにバンは渋滞を抜けたところだったので、そのまま手を振っただけでお別れになってしまいましたがまた会えて嬉しかったです。
路肩に並んだ車の列を抜け、再びカラコルムハイウェイを疾走します。
今では見慣れた荒々しい風景が広がりますが、やはりそのスケールの大きさには目を見張るものがあります。
そんな中、青空トイレのためにバンを下りて休憩していると、遠くの方から歩いてくる人影が見えました。
彼らはこの険しい山道を徒歩で移動しているのです。
しかし、そんな厳しさは微塵も感じさせず、壮大な景色を背景に歩くその姿はとても優雅で、思わず見入ってしまうほどカッコいいものでした。
彼らを見送りバンに乗り込みます。
川幅の狭くなったインダス川沿いにしばらくいくとチラスの岩絵に到着。道路脇の岩にひっそりと描かれているのですが、パッと見ても素晴らしい仏像です。
Sさんの話によると有名な画家が描いたのだとか。
次にシャティアールの岩絵に向かいますが、途中からパラパラと雨が降り出しました。
雨で濡れた岩には、幾何学模様のような絵があちこちに描かれていましたが、濡れたせいかよく見えませんでした。
またチラスの方に比べると、そんなに目を見張るものでもなかったのですぐに出発。
時刻はお昼過ぎ。これからランチに向かいますが、渋滞で時間がとられたのでちょっと遅くなるとのこと。もうお腹がペコペコでしたが、Nさんが非常食におにぎりを用意しておいてくれたので助かりました。
ランチのレストランに着いたのはなんと15時半。来るときにお茶をしたお店でした。
非常食のおにぎりは食べたもののそれだけでは足りるはずもなく、まずは黙々といただきます。
今日はこのあとベシャムのホテルに直行で、着いたらすぐに夕食ですが、また途中で何があるかわからないので、とりあえずお腹一杯に食べておきました。
やっと空腹もおさまり体も温まって、食後のチャイでほっと一息。
天気も悪いせいか、外はもうすでに薄暗くなっています。お店の人に挨拶をして16時半前に出発。
雨が降ったせいで、切り立った崖の岩の間から勢いよく水が噴出し、滝となってカラコルムハイウェイに降り注ぎ、崖下のインダス川に流れ落ちていきます。ただでさえすぐに崩れてきそうな岩壁なのに、ますます危険が高まりました。
ドキドキしながら、この先何もないことを祈りつつ、真っ暗になった山道を飛ばして、なんとか無事ホテルに到着。
時刻は20時。ここは国営のホテルで、気持ちいいくらいに飾りっ気がありません。
部屋割りの時、私は新館を選びましたが、インダスビューが自慢だという旧館を選んだ人は、
失敗した
と言っていました。
何が失敗かというと、とにかく古くて(旧館だけあって)、バスルームには大きな桶しかないとのこと。新館にはバスタブ付のシャワーがちゃんとあり、部屋もそこそこ綺麗でした。
すぐに夕食ということで、ホテル内のレストランへ向かいます。どうやら今日の宿泊客は私達だけのよう。
お昼にたくさん食べてまだお腹も空いていなかったので、軽めにいただきました。
食べながらみんなとおしゃべりしていると、突然、ゴゴゴゴ…という地鳴りのような音がして、部屋が揺れ始めました。
とっさに、崖崩れか、テロかと考えましたが、かけつけてくれたスタッフに聞くと地震とのことでした。
日本にいたら、真っ先に地震だと思ったでしょうが、このときはまわりの状況から、そんなふうに思ってしまいました。
幸い揺れはすぐにおさまりことなきを得ましたが、そんなに大きな揺れでなくても建物の強度が違うので、やはりちょっと怖かったです。
思わぬ地震でびっくりしながらも、今日の疲れが出て眠くなったので部屋に戻り熱いシャワーを浴びてベッドに入りました。