主な訪問地:ベシャム~タキシラ~イスラマバード
タキシラまで南下すると気温も一気にあがり汗が流れる。タキシラ博物館やガンダーラ遺跡のジョウリアン僧院、シルカップ遺跡などを見学。最後の晩餐は、都会のイスラマバードで地元でも評判のレストランでいただき、その夜パキスタン航空で帰国した。
いよいよパキスタン旅行も今日で最終日です。
7時に朝食を食べた後、少し時間があったのでホテルを散策してみました。目の前にインダス川がゆったりと流れ、まわりは山に囲まれています。
眼下の川原には地元の人が牛を連れてきていたり、対岸では学生が登校し始めていたり、なんだかとてものんびりとした朝でした。
途中、インダス川を見下ろすカラコルムハイウェイ記念碑と、インダス川が見れる最終ポイントで写真ストップ。
その最終ポイントでは、パキスタンと日本の国旗が並んで描かれた看板が建っていました。
聞くと、日本の支援で建てられた建物があるとか。
パキスタンを旅行していると、いたるところで日本の国旗を目にしましたが、それは2005年9月に起きたパキスタン北部の大地震で日本が多くの支援をしたからだそうです。
もちろんそれ以外のものもありますが、パキスタンに来るまで、こんなにも日本と関わりのある場所が多いとは知りませんでした。
このあたりにくると、鮮やかな緑に輝く段々畑が目に付くようになりました。
雨上がりの朝日に照らされたその山間の風景はかなり綺麗。植えられているのはお米で、日本の品種もあるそうです。
タキシラまではいくつもの大きな村や町を抜けていきます。どこも活気があって、人や車、お店もいっぱい。
アジアと中東が交じり合った感じです。
途中のガソリンスタンドでドライバーのHさんの子供達と待ち合わせ。お父さんと1週間以上も会えなくて寂しくなった末っ子の娘さんが連絡してきたそうです。
しかし、行ってみるとその娘さんは渋滞に巻き込まれて間に合わず、代わりに息子さんが登場しました。年頃の男の子らしくちょっと恥ずかしそうにしていて、その姿が微笑ましい。
お父さんからお土産を受け取って、私たちとも挨拶し、自転車で去っていきました。
14時半にタキシラに到着し、まずは街中のレストランでランチです。
Nさんには、夕食まであまり時間が空かないので食べ過ぎないようにと言われましたが、空腹だったのと、美味いのとでたくさん食べてしまいました。
腹ごしらえの後は、博物館に向かいます。
庭はきれいに整備され、ブーケンビリアなどの花が目を楽しませてくれました。
博物館の中にはガンダーラ遺跡が展示され、堀の深い顔立ちをした仏像や、装飾品などところせましと並んでいました。見学者も結構たくさんいて、人気の高さが伺えます。
みんなで見学していると、警備員の人が、普段は公開していない展示室を開けてくれるというので入らせてもらいました。
長年現地ガイドをしているSさんも、初めて入るということで嬉しそうでした。
中には金銀に輝く装飾品がたくさん展示されていて、外に飾られているものに比べると高価そうだなという感じです。
他の人に見つかるとまずいとのことで、さっとしか見れませんでしたがラッキーでした。
次はジョウリアン僧院へ向かいます。
丘の上にあるので、麓でバンを下りてから10分ほど階段を上り到着。フンザとはうってかわって、タキシラまで南下するとかなり暑くもう汗だくです。
係りの人に案内され小さな敷地内を見学しますが、美しいレリーフが施されたストゥーパや仏像など、好きな人にはたまらないみたいです。
奥には昔、僧侶達が暮らしていた石組みの部屋があり、それにとり囲まれた広場が広がっていました。
一回りして再びバンにのり、今度はシルカップ遺跡です。
こちらは古代都市遺跡で、広い土地には碁盤の目のように石垣が立ち並び、その間をメインストリートがまっすぐに貫いています。
この町がまだあった頃、メインストリートの両側には寺院や商店が建っていました。中には日時計の跡もあり、生活感も感じられます。
ここでは、夕日の中を地元の人がのんびり散歩したり、デートしたりしていて、みんなの憩いの場所のようです。
これで今回のツアーで訪れる観光地はすべておしまいです。みんなで感慨にひたりながらイスラマバードへ向かいました。
19時すぎに、イスラマバードの街に入りました。さすが都会だけあって、人も車も今までとは桁違いです。
しかし、インドに行った人に言わせると、
道もきれいだし牛も歩いてないし、とても綺麗だ
とのこと。
ランチをしてからまだ間もないですが、地元でも美味しいと評判のラサニアレストランへ向かいます。店内はとても垢抜けていて、たくさんのお客さんで賑わっていました。
今回の旅行の最後の晩餐ですが、お酒がないのでお水で乾杯。ガイドを務めてくれたSさんの会社の人も駆けつけてくれました。
そして肝心の料理ですが、評判どおりに美味しい。
なんというか、都会ならではに洗練されているというか、嗜好が凝らされているというか、レストランでプロの料理をいただいているという感じです。
しかし、残念ながらそんなにお腹が空いていない。でもどの料理も味わってみたいので、ちょっとずついただきました。
最後の食事だったのでゆっくりしたかったのですが、飛行機の時間があるので、ほんの45分ほどで出発。
帰宅ラッシュで道が混んでいましたが、予定通りに空港に到着しました。
ガイドのSさんとドライバーのHさんとはここでお別れです。
この10日間、いろいろとトラブルもありましたが、サービス精神旺盛で頼りになるスタッフのお陰で、本当に思い出に残る楽しい旅になりました。
男女別のボディーチェックを受け、登場手続きを済ませて待合へ。意外にたくさんの人が待っていました。
22時15分、搭乗案内がされパキスタン航空に乗り込みます。
私達は前の方の席だったのですが、エコノミーのわりにとても座席が広くてみんな大喜び。気の重い長時間の移動ですが、これだけでも救われます。聞くと、パキスタン航空は後ろの席にいくほど狭くなるそうなので、乗るときはできるだけ早めにチェックインし前の座席を確保したほうがいいでしょう。
キャンセルや遅延の多いパキスタン航空において、奇跡的に定刻で離陸。行きにエライ目にあったし、明日からさっそく仕事なので心底ほっとしました。
離陸してまもなく出た機内食はもちろん満腹で食べられず、あとはひたすら爆睡。
こういうとき、どこでも寝られる体質は役に立ちます。
北京経由で成田に13時前に到着。
ぐっすり眠れたおかげで、そんなに苦痛を感じることなく過ごせました。
ターンテーブルのところでみんなとお別れし、電車で帰宅。
夕方には家に着いたので、明日からに備えてちょっと休むことができました。
今回の旅行は、今までで一番楽しかったと言えるくらい、心から行って良かったと思えるものでした。
またきっと再訪すると思います。
今回の旅行は、今までで一番というくらい楽しいもので、また、パキスタンという国のイメージが大きく変わった旅でもありました。
自然の雄大さもさることながら、人の温かさには心底感動するものがあり、旅行をしていてこんなに笑顔でいた国は初めてです。
カラコルムハイウェイをはじめ、険しい道の長時間移動でハードではありましたが、その道中や行き着く先にあるものは、苦労をしてでも見る価値が十分です。
気になる治安ですが、今回私が訪れたフンザやバルティスタン地方は、そこらの国の都市にくらべてもすこぶる平和で、特に人々の人柄に対しては、なにか同じ人間でも、作られている素材が違うのではないかと思ってしまうほどの心根のよさを感じました。
今回、あまり天気には恵まれず景色については必ずしも満足がいくものではありませんでしたが、この人たちに会えただけでも行って良かったと心から思えます。
ガイドさんの話では、ポプラが紅葉する10月が一番お勧めと言っていましたが、杏が満開の春や、山の展望が期待できる夏もそれぞれいいと思います。
また、パキスタンはK2をはじめ、世界でも有数の山岳がたくさんありトレッキングでも有名なので山登りの好きな方は、そちらのほうでも訪れてみてはいかがでしょう。