世界遺産サガルマータ国立公園のエベレスト街道を山小屋に泊まりながらトレッキングした記録を綴ったネパール旅行記。連日天気に恵まれ、世界一の高峰エベレストを始め、女神の首飾りアマダブラム、ローツェ、コンデリなどヒマラヤの名峰を堪能。標高の高い山道を大きな荷物を背負って歩くシェルパや、地元の人懐こい子供達とのふれあいも楽しんだ。長い急坂には苦労したが、その分世界に誇るヒマラヤの絶景と満天の星空を見ることができた。
主な訪問地(()内は標高):バンコク~カトマンズ~ルクラ(2827m)~パグディン(2600m)~モンジョ(2835m)~ナムチェバザール(3440m)~シャンボチェ(3800m)~ホテルエベレストビュー(3880m)~クムジュン(3790m)
旅行期間:2010年11月/利用航空会社:タイ国際航空/[外務省]ネパール基本情報
エベレスト街道トレッキング 評価:4.5 -kaycom
2010年11月2日。
今日から12日間でネパールのエベレスト街道のトレッキングに出かけます。
早朝6時前に家を出発し成田空港へ。今回は男6名、女6名、合計12名の参加です。
10時45分。
まずはタイ国際航空でバンコクまで。タイ航空は好きな航空会社のひとつなので、長いフライトも少しは気が楽です。
成田からバンコクまで予定では7時間でしたが、6時間半で到着。大阪発組とはここで集合でしたが、そちらにいたっては1時間も前に着いたそうです。
そして、そのうちの一人が東京組の到着を待っている間にどこかへ行ってしまい、集合時間をすぎても現れなかったので、ひとまず残りの11名とガイドさんで先にホテルに行くことになりました。
バンコクの天気はくもりで気温は28度。思ったより涼しいです。
ホテルは空港に近く、30分ほどで到着。以前、ブータンに行くときも乗り継ぎで宿泊したホテルでした。
19時、ホテルのレストランで夕食です。
ここで、先ほど行方不明だったメンバーが無事合流。聞くと、空港の中を散歩しているうちに、進入禁止(or進出禁止)エリアに入ってしまい警備員に捕まっていたそうです。
さて、今回の旅行での最初の現地ごはんはタイ料理。揚げ春巻き、タイカレー、トムヤムクンなど盛りだくさんでどれも美味しい。
夕食後、明日は再びカトマンズまでのフライトなので、すぐに就寝です。
6時起床。
朝食を食べて、7時半にホテル出発です。
空港につくとタイ国際航空のカウンターは大人気。少し離れた別のカウンターに移動してチェックインしました。
10時半。定刻で離陸です。
バンコクからカトマンズまでは約3時間半のフライト。
到着する1時間前くらいになると、ヒマラヤの山々が窓の外に見えてくるので、右側の席をとったほうがいいでしょう。
12時45分。カトマンズに到着。青空が広がりいい天気です。
日本人パスで税関を通り抜けると、建物の外には出迎えと客引きの人でごった返していました。
5年前に来たときと同じ風景で、思わず懐かしさと嬉しさで顔がにやけます。
ここで現地ガイドのSさんと合流。群がる人々の間をぬってバスまで移動します。
カトマンズの標高は1350mありますが、日差しも強く盆地のため、昼間は結構暑い。冷房のきかないバスに乗り、まずはホテルへ向かいました。
今日のホテルは観光客に人気のタメル地区に程近いアンナプルナホテルです。
まずは荷物を置いて、タメル地区へ散歩へ出かけました。
人と車とほこりが入り乱れるカトマンズの喧騒は相変わらずでしたが、ただひとつ変わったかなと思うことは、道を歩く牛が減ったこと。車の間を闊歩する牛の姿も楽しみにしていたので、その点はちょっと残念でした。
ホテルからタメルまでは歩いて10分ほどで到着。
ごちゃごちゃと小さな店が軒を連ねる路地を車やリキシャをよけながら歩きます。
自由時間を与えられたので、その間に、ネパールっぽいシャツと、パン屋さんでクロワッサンとスコーンを買ってみました。
外国人観光客が多いだけあって、パンはなかなか本格的で美味しかったです。
その後、しつこい客引きを振り払いつつホテルに戻り、ちょっと休憩してから夕食。近くのチベット料理のお店に行きました。
チベット料理と聞いてもしやと思ったのですが、案の定、出てきたメニューは、あの忘れもしない怪獣のような名前の、
ギャコック
という鍋料理。
チベットのラサに行ったときに初めて食べたのですが、みんなドン引きしたくらいかなりクセのある代物です。
しかし、ここで食べ逃しては夜が辛い
ということで、恐る恐る食べてみるとこれがおいしい。立ち上る香りもよく、表面にギトギトの油も浮いてなくていい感じ・・・
明らかにラサで食べたものとはスープが違いました。聞くと、チキンと魚から出汁をとっているとか。
なるほど、ラサではヤクのスープだったので違うはずです。クセも油っこくもなく、カトマンズ版のギャコック鍋はいけました。
お腹も一杯になり、ホテルへ戻って明日からのトレッキングに備え荷造りです。
貴重品や雨具は自分で持つ小さなザックに入れ、それ以外のトレッキングに必要な荷物はシェルパが運ぶダッフルバッグにパッキング。トレッキングに持っていく必要のない荷物はスーツケースに入れてホテルに保管しておきます。
またカトマンズからルクラまでは飛行機で移動するので、危険物とみなされるストックなどは機内持ち込みはできません。水は手荷物でOKでした。
明日からは山小屋泊まりが続くので、大きなベッドと熱いシャワーとはしばらくお別れです。
早朝6時20分。
ボックスに入った朝食を受け取ってホテルを出発。荷物になるので空港に行くまでのバスの中で食べてしまいました。
まだ時間も早いのに、国内線の空港はたくさんの搭乗客でにぎわっていました。
というのも、山間部へ行くフライトは早ければ早いほどフライトの可能性が高く、午後になると天候が崩れだして、ほとんど飛ばなくなるためです。
今回搭乗するイエティ航空のカウンターでグループチェックインをし、アナログの計器で荷物の重さを計ります。
その後、男女別のセキュリティチェックを受け待合室へ。
搭乗案内の電光掲示板などはないので、係員のアナウンスで、自分のチケットに押されたアルファベットが呼ばれるのを待ちます。
一応フライトの時間は決まっていますが、準備が出来次第順番に飛ぶので、そのときになってみないといつになるのかわかりません。
私達は、7時半発の予定でしたが、機材のトラブルで結局9時すぎになってしまいました。しかし、欠航も多いこの路線でこの程度の遅れで飛んだのはむしろラッキーだとか。
乗り込んだ小型機は定員15~16名程度の小さなもので、機内はお世辞にも綺麗とは言えません。
数年前、カトマンズとポカラ間で乗ったブッダエアの方がよかったです。(こっちは新車だった)
たったひとりの客室乗務員が耳栓(綿)とアメを配り終えると、昔の戦闘機のような大きなエンジンがうなりを上げいよいよ離陸。
天気はすこぶる良好で、まさにヒマラヤ展望フライト日和です。
飛び立ってしばらくすると、さっそく真っ白に連なるヒマラヤ山脈が見えてきました。この景観を楽しむには、行きは左、帰りは右の席につくことです。
席は決まっておらず早い者勝ちなので、搭乗が始まったらすばやい行動を心がけましょう。
■動画:ヒマラヤ山岳フライト
フライト時間は約40分。
山間のわずかなスペースに無理やり作ったと思われるルクラの空港に無事着陸。
ここの滑走路は崖に向かって下り坂になっていて、着陸は上り坂方向、離陸は下り坂方向という、この傾斜を利用したなんとも力技的でスリル満点な離発着となっています。
ルクラの標高は2827m。飛行機から降りると、若干息が切れ空気の薄さを感じました。
しかしその分、ヒマラヤには確実に近づき、目の前にはコンデリの西峰ヌプツェが聳え立っています。
空港に集まっている見物人たちの間をぬって、すぐ目の前のシェルパロッジに入り休憩。ここで、これからエベレスト街道をともに歩くシェルパたちと顔合わせです。
サーダー(シェルパのリーダー)のKさんをはじめ、ガイド、コック、ポーターあわせて10名のスタッフが私達をサポートしてくれます。
大きな荷物はポーターさんが運んでくれるので、自分達は、カメラや雨具などの貴重品だけ持てばいいことになっています。
11時、ポーターたちの荷造りを待って、いよいよ出発。
憧れのエベレストを見に、往復約1週間のトレッキングの開始です。
今日は、パグディンまで約3時間の行程。
パグディンは標高2652mということでルクラより200mほど下ることになります。
私たちの一行には、シェルパ族のガイドさんが3人ついて一緒に歩いてくれることになりました。先頭にベテランのTさん、中間に若手のLくん、そして最後尾にサーダーのKさんです。
ルクラのメインストリートを通り、村のゲートを抜けるとドゥード・コシ川への下りが始まります。
道は石が敷き詰められているところもありますが、そうでないところは土のままで、晴れて乾いていると砂埃が舞い上がります。そして、ところどころにゾッキョ(荷物を運ぶヤクなど)のフンが落ちています。
しばらく行くと、お経が彫られた大きなマニ石が現れました。
エベレスト街道を歩いていると、ところどころにこういうポイントがあり、そこを通る場合は必ず左周りで歩くことになっています。
大きな荷物を担いだシェルパの人々やゾッキョとすれ違いながら途中のロッジで休憩。ここからは、コンデリ峰とシェルパ族の聖なる山クーンビラが見えました。
昨夜水筒に入れてもらったお湯でのどを潤しすぐに出発。
途中、長いつり橋を渡りますが、思った以上にしっかりとした造りでそんなに恐怖感はありません。
13時半タドコシに到着。ここのロッジで昼食です。
キッチンに行ってみると、釜戸に火がたかれ、先回りしたコックさんが料理をお皿に取り分けていました。
メニューは、焼きそば、フライドポテト、サラダ、ヤクのチーズなど。どれも口に合いましたが、とくにポテトとチーズが美味。
お腹もいっぱいになり、コックさんたちが食事をしている間、チャイ(ミルクティー)片手にロッジの前から見えるクスムカングール峰を観賞。山と山の間から立派な雪山が覗いています。
切り立った雪山を見ると、ヒマラヤに来たんだなと実感します。
15時出発。
パグディンまで下るとはいえ、ここからは結構登りもちょこちょこあり思った以上に歩き応えがありました。
大きなマニ石をいくつもやり過ごしながらドゥード・コシ川沿いに進みます。ドゥードはミルクという意味で、その名の通り緑掛かった乳白色。
陽もすっかり山に隠れた頃、パグディンの村に到着。
賑やかな一角を通り抜け、つり橋を渡ったところに今日のサンライズロッジがありました。
時刻は16時15分。
チェックインをしている間、別棟のラウンジで一息入れていると、汗が冷え急速に体が冷えてきます。
くじ引きで部屋を決め鍵をもらって部屋へ行くと、シングルベッドが2つあり、窓からは綺麗に手入れされた庭が見えました。
トイレは共同、シャワーはありません。
シェラフとインナーシェラフが各自に配られ、シェルパが運んでくれた着替えなどの入ったダッフルバッグを部屋で受け取ります。
19時。本館1階の食堂で夕食です。
席に着くと、添乗員のTさんから「健康手帳」なるものを渡されました。
今回の山歩きは標高の高い場所を歩くので、高山病予防と早期発見のために、今日から毎日朝晩食事前に血中酸素濃度を計測し手帳に記録していくのです。
パグディンは2600m程度で高山病の恐れはありませんが、ここで、自分の平地での数値を図っておいて今後の基準としていきます。
計測が終わるといよいよ食事。
今夜のメニューはダルバートというネパール式の定食で、ごはん、カレー、野菜の炒め物などが盛られ健康的で美味しい。
お代わりも自由でお腹一杯です。
食事が終わるともうやることがないので、部屋に入って休みます。
ベッドの上に敷いたシェラフにくるまって日記などを書いていると、うつらうつらとしてきて、9時ごろには眠くなってしまいました。
明日もまた早いので、歯を磨いて就寝です。
ほこりで喉が痛いのが気になります。