世界屈指の遺跡が点在する南米ペルー旅行記。天空のマチュピチュ遺跡、ナスカの地上絵をはじめ、チチカカ湖に浮かぶトトラでできたウロス島訪問や、バルサ乗船。砂漠に湧き出るオアシスのワカチナでは、どこまでも続く壮大な砂丘のうねりに真っ赤な夕日が沈んでいった。リトルガラパゴスと呼ばれるバジェスタス島で聞いたアザラシたちの地響きのような共鳴は野生の力強さを感じさせ、岩場に群れるペンギンや海鳥にも目を奪われた。遺跡だけではないペルーの魅力を写真とともに綴る。
主な訪問地:リマ~クスコ~ウルバンバ(民家訪問)~オリャンタイタンボ~(ペルー鉄道)~アグアスカリエンテス~マチュピチュ遺跡(インカ道・太陽の門など)~ララヤ峠~シユスタニ遺跡とウマヨ湖~プーノ(チチカカ湖・ウロス島)~フリアカ~イカ(ワカチナオアシス)~ナスカの地上絵~パラカス~バジェスタス島~ニューヨーク
旅行時期:2009年4月~5月/利用航空会社:日本航空、ラン航空、アメリカン航空/[外務省]ペルー基本情報
ペルー旅行 評価:4.5 -kaycom
2009年4月。
GWをちょっとフライングして、念願のペルーへ出発です。
ちゃんとネットで成田までの時間を調べて電車に乗ったのに、途中で乗り換える駅を間違え、若干遅刻して到着。ヒヤヒヤしながら私の到着を待っていた係員の人に案内され、今回の旅行の添乗員の方(Uさん)とご対面。
すぐに自動チェックイン機で搭乗券を受け取り、カウンターで荷物を預けます。
今回は事前にネットで席を予約していたので、すでに搭乗券にはその席が掲載されていました。
荷物を預け終わった後、今回の旅行を一緒にする23人のメンバーの人たちと顔合わせです。
結構男性が多いので意外でしたが、これならトイレ休憩の時間もそんなにかからなくて済みそうです。
これから11日間、よろしくおねがいします。
定刻に搭乗しましたが、飛行機は離陸待ちで30分ほど待機したのちテイクオフ。まずは経由地のニューヨークまで、約13時間のフライトです。長い・・・
時間つぶしのために、成田で本を買おうと思っていたのですが、前述した通り遅刻してしまったためそんな時間はなく、映画を観ることにしました。
「相棒」と「イエスマン」を観て、あとは観たいのがなかったのでひたすら就寝。
2回の機内食のあと、なんとかニューヨークまでたどり着きました。しかし、ペルーはまだまだ先です。
4時間ちょっとの乗り継ぎ時間を空港で過ごし、今度はラン航空で8時間のフライトです。
23時30分、定刻で出発。
ラン航空は、思ったより綺麗(JALよりいい)で、機内は快適でした。機内食もそこそこで、リマに着くまでに2回出ます。
あと30分ほどでリマに到着するというころ、機内アナウンスが流れました。
リマの空港が霧で着陸できないため、一旦エクアドルの空港で待機します
とのことです。
各席についているモニターで航路を見ると、飛行機の頭がリマとは反対側を向いていました。
エクアドルって別の国じゃん…
ペルー国内のどこかの空港に行くならわかりますが、わざわざUターンして、よその国に行くなんて…そんなものなのでしょうか。
とりあえずまた、1時間ほどかけて今来た道(空?)を戻り、エクアドルの(恐らく)グアヤキルという所に着陸。空港内なら機内から出てもいいというので、トランジットカードを受け取って出てみました。空港はこれまた明るく綺麗で、お土産屋さんも充実しています。
8時45分までに機内に戻って来いとのお達しなので、それまでの間フラフラしてました。どうせなら、待機時間を利用してガラパゴス諸島にでも行きたかったのですが、幸いなことに霧は晴れたようで、スケジュールの変更はありませんでした。
時間になり再び戻ると、機内で過ごしている人も結構いたようです。
みんな揃ったところで離陸。
1時間ほどで、やっと無事リマに到着しました。外はとてもいい天気で暑いくらいです。
時刻は午前10時すぎ。
やっぱりペルーはとても遠かった…
無事出国審査を抜け、現地ガイドのGさんと合流。Gさんは、日系二世の女性で日本語はペラペラのベテランガイドさんです。
案内されたバスはかなり大型で、一人二席を使えゆったりできました。長距離移動と眠気と暑さはお構いなしに、これからすぐに観光開始です。みんな若干ぐったりしながら最初の観光地へ運ばれていきました。
車窓からリマの旧市街を眺めると、コロニアルスタイルの建物が並びます。町には花がたくさん咲き、とてもヨーロッパ的な感じを受けました。
リマの降水量は年間25~45mm程度なので、道路には排水設備がありません。
平らな道はとてもきれいに舗装されていて、ゴミもなく清潔でした。
アルマス広場に行くと、ペルー政庁で、ちょうど衛兵の交代式が行われていました。観光客の垣根であまり良く見えませんでしたが、アンデスの音楽と共に行われていたのは印象的でした。
そこから少し歩いて、地元でもおいしいと言われているレストランに向かいます。
ペルーで最初の食事は、チチャモラーダという、紫色のとうもろこしから作られる飲み物から始まりました。甘くてちょっとクセのある味なので好き嫌いがあるみたいです。
そのほかに、ペルーではどこにいっても目にするインカコーラやコカ茶などもありました。
最初の料理が運ばれてきました。セビチェと呼ばれるタコなどが入ったシーフードです。海岸沿いのリマならではの料理だと思いますが、これは酸味があってとても美味しい!
つづいてパエリヤ風ピラフ。帆立貝の貝殻が飾られていて、味も申し分なく美味しいです。
デザートは大きなプリン。甘さ控えめで日本で食べるのと変わりません。
ペルー料理、かなり美味しく、これから期待できそうです。
お腹がいっぱいになった後は、もうひとふんばり、午後の観光です。
パンアメリカンハイウェイを通り、黄金博物館を訪れました。
ここは、個人の持ち物だということですが、その貯蔵量はかなりなものです。
プレインカ、インカ時代の金銀銅の装飾品から、ナポレオン由来の銃剣、鎧など、とても数時間では見切れない数の展示物がありました。
私たちは主に、装飾品を中心にGさんの案内で見学していきましたが、今までの疲れと、館内が蒸し暑いのと薄暗いのが重なって、朦朧とした状態で後についていき、あまり内容を覚えていません・・・;;
他のみんなも参ってしまい、最後の方は、
(見学は)もういい・・・
とギブアップ。
Gさんもその辺はわかっていたらしく、ものすごいスピードで案内をしてくれました。
やっと今日のノルマを終え、フラフラしながらホテルへ到着。
部屋に入ってシャワーを浴び、夕食までの間ベッドで少し休むと元気が戻ってきました。
夕食は、ホテルのレストランでいただきます。
食前酒にペルーのカクテル「ピスコサワー」を飲んでみました。
おいしい!
葡萄からできるピスコに酸味のあるレモン系のを混ぜたものの上に、あわ立てた卵白を重ね、シロップを数滴。キンキンに冷えた爽やかな甘いカクテルは、たちまち私のお気に入りとなりました。
つづいて具沢山のさっぱり野菜スープ。
そして今日のメイン、アヒデガイーナという料理。アヒデとはからし、ガイーナは鶏肉という意味です。でも、まったく辛くなく、鶏がらスープの味のカレー(食感が)という感じ。
そして、最後にランチのとき飲んだチチャモラーダのゼリーです。そのまま飲むより、ゼリーになったほうが食べやすかったです。
これで、一日目のスケジュールは全て終了。やっとベッドで眠ることができました。
朝4時15分。モーニングコールで目覚めました。なぜこんなに朝が早いかと言うと、今日はクスコまで移動するからです。でも、言ってみれば、これからがペルー観光の本番開始という感じで、
眠いと言うよりは、ワクワク感の方が大きかったです。
ちゃっちゃと準備を済ませ、ロビーへ降りると朝食のお弁当を配られました。まだ出発まで少し時間があったので、そこで食べてしまうことに。箱をあけると懐かしい顔ぶれが並んでいました。
おにぎり
まさかこんなに早く日本食にめぐり合うとは。白菜の漬物つきでとてもおいしかったです。
5時。4つ星ホテル「ニューコルパック」を出発。
ここには日本語を話すスタッフがいるので、初めてペルーに来て不安な方にはおすすめです。
空港についてチェックイン。7時40分。飛行機は定刻に出発しました。
リマからクスコまではアンデス山脈上空を飛んでいくのですが、その風景がステキなので、ここはぜひ窓側の席を取りたいところです。
8時50分。クスコ着。
空港では、民族音楽の生演奏のお出迎えがありました。
さて、ペルー旅行と言えば、その見所のいくつかが高所にあるということで、
高山病
の心配があると思います。
多くのツアーがリマの低所から標高3600mのクスコまで一気に飛行機で行くのですが、やはり体が順応していないので、ほとんどの人が空気の薄さを感じると思います。
そこで、高山病対策としてよく言われる方法は、
などがありますが、特に1,2を心がけることで、その症状の出具合が大きく左右されるそうです。
そして現地で言われたのが、
最初の1~2時間は、症状がなかなか現われないので油断してしまうが、そこで深呼吸を意識的にしておくと、2~3時間後の体調がまったく違ってくる
ということなので、高所に行かれる方は、ぜひ注意してみてください。
ちなみに、私は、今回の旅行で高山病の症状はまったく出ませんでした。
空港から出ると強い日差しがサンサンと降り注いでいました。
バスに向かって歩いていると、一人の地元のカメラマンがパシャパシャと私たちの写真を撮っています。なんだろう?とそのときはわかりませんでしたが、これが後で意外な形で現れてきます。
バスに乗り込み、ここからのガイドAさんとご対面。彼女は、ペルーに来て5年目という元気のいい女性です。
バスは、クスコは大型車が走れないので、一回り小さなバスでした。
さあ、深呼吸を心がけ、クスコの観光開始です。
クスコの最初の観光は、太陽の神殿です。現在は、サント・ドミンゴ教会となっていますが、インカ時代には黄金で彩られたコリカンチャ(太陽の神殿)として存在していました。しかし、当時侵略してきたスペイン人によってその黄金は持ち去られ、さらに建物も土台だけ残し壊されてしまったそうです。
中に入ると、インカの精巧な石組みを見ることが出来ます。
少しの隙間もない石組みの壁は、クスコに大地震があったときもびくともしなかったとか。
また、建物の裏手には、石組みとは思えない綺麗な曲線を描いた神殿を見ることが出来ます。
当時のインカの人たちの技術は、本当にすばらしかったんですね~
次に向かったのは、クスコの街並みを一望できる高台です。
ここからの眺めは、よく旅行のパンフレットやガイドブックにも掲載されているので有名です。この日はいい天気だったので、オレンジ色の屋根が青い空に映えてとても綺麗でした。
ここには、リャマとアルパカがいて、1ドルで一緒に写真を撮ることができます。私も撮ってもらいましたが、クスコの町を背景にアンデスの動物達との一枚は、まさに、
ペルーに来ました
という記念の写真にはもってこいのものだと思います。
ちなみに、お金は写真を撮った後に渡さないとトラブルの元になるので気をつけましょう。さらにペルーでは、米ドルがほとんどの場所で使えますが、お札のチェックが厳しくて、
などは受け取ってもらえないそうなので、おつりをもらうときも、そのようなお札でないかをチェックする必要があります。
なんだかここにきて、やっとペルーに来た実感がわいてきました。
アルパカたちと写真を撮った後は、インカ時代の遺跡めぐりです。まずは、クスコ郊外のサクサイワマンという遺跡から。
入り口のゲートを抜けて少し歩くと、視界がパーッと開け、広大な芝生の広場と巨石が積みあがった遺跡が目に入ります。
どの石も大きいのですが、その中でもとりわけ巨大なのが、人間3人分以上の高さのある石。
その大きさは、エジプトのピラミッドの比ではありません。
そして、その石が並ぶ一角に、ピューマの肉級をかたどった場所があります。クスコの町はピューマの形をしているので、いろいろな場所にそれをモチーフにしたものがあるのですが、ここのは、誰が見ても一目でわかるくらいハッキリと作られていました。
また、広場では今でもインティライミという、太陽の祭りが行われていて、インカの時代に行われた儀式を見ることができます。
次の遺跡はケンコーという、インカの宗教的な儀式を行うために作られたと言われる遺跡です。
人一人がやっと通れる細い岩と岩の間の道を抜けると、少し開けた広場があり、それと向かい合う形で、皇帝が座った石の玉座があります。
そして、別の入り口から洞窟の中に入ると、生贄を供えた台が、かすかに差し込む光で照らされていました。
遺跡を一周して出口までいくと、大きなピューマが彫られた石があります。
これは言われなければわかりませんが、やはりここでもピューマがいました。
バスでクスコまで戻った後は、体力のある人だけで市内散策。
ここで体調の悪い人はバスで休憩していました。やはり、空気の薄さの影響がだんだんと出てきたようです。
まずは、町の中心アルマス広場。
この広場を囲むようにして、100年かけて建てられた美しいカテドラルやレストラン、おみやげ物屋さんなどが並び、大勢の観光客で賑わっています。
そこから歩いて向かったのは、かの有名な12角の石。
これぞ、インカの石組技術のシンボルとして多くの人に知られているのではないでしょうか。
細い路地の途中にあるのですが、よく見ないと見過ごしてしまいます。この石はやはり観光客に人気なだけあって、見学は自由ですが、保存のために、さわったりよっかかったりしてはいけません。
今回のツアーでは、クスコの町を歩く時間があまりありませんでしたが、石造りの異国情緒満点の街角には、あちこちにインカの香りを感じることが出来、本当にタイムスリップしたような感じにさせてくれました。
たくさん歩き回ったあとは、お楽しみのランチです。もうだいぶお昼の時間を過ぎていたので、お腹もペコペコ。
クスコ市内のレストランへ向かいました。料理はビュッフェでしたが、その種類の多さと美味しさに大満足。
そして、ほどなくステージではフォルクローレの生演奏も始まりました。アンデスの楽器、ケーナやサンポーニャの心地よい音が響き渡ります。
食事も終わりコカ茶でまったりしていると、一人の男性が何かを持って席を回ってきました。差し出されたものを見ると、クスコの空港で撮られた写真です。しかも、人物だけではなく、ちゃんとペルーの観光名所もレイアウトされていました。そのなんとも言えないちゃっかりぶりに、1ドルで購入。
レストランから街中を少し歩いてバスに向かいます。
お腹も一杯になり、今日の宿泊地、ウルバンバへ移動です。クスコからは80キロほどですが、標高が2871mとクスコよりはかなり低くなります。
途中、ウルバンバの町を見下ろせるビューポイントで写真ストップ。アンデスの綺麗な山々が連なっていました。
山道を下っていくとほどなく本日のホテル「San Agustin Urubamba」に到着。まわりには何もないですが、中庭がとても綺麗な3つ星ホテルです。
この後、ホテルの近くの民家を訪問するというので、部屋に荷物を置いた後、ロビーに集合。
ホテルの前の道路を渡ってすぐのお家にお邪魔しました。その家のお母さんが出迎えてくれて、家の中を見せてくれたのですが、ガイドさん曰く、このうちはとても綺麗にしているということでした。
家はチチャのお店も兼ねていて、ちょうどタクシーの運転手さんたちが大きなカップでのんでいました。チチャはとうもろこしからできるお酒で、それぞれの家の味があるそうです。ここのはストロベリー味で、色もピンク色をしていました。
家の庭では、干しとうもろこしや家畜のクイ(モルモット)なども飼われていて、自給自足の部分も多い感じです。
終始笑顔で案内してくれたお母さんにお礼を言って、家を後にしました。
民家訪問の後、同じツアーで仲良くなった人と一緒に、ウルバンバの中心地へ行ってみました。
ホテルから歩いて15分くらいですが、その間にも地元のいろいろな風景を見ることが出来ます。
町にはいたるところに放し飼いの犬がいて、みんな好きなように過ごしていました。ブータンに行ったときもたくさんいましたが、こっちは大型犬が多かったです。
街角には屋台があり、日本の焼き鳥のようなものを売ってきました。覚えたてのスペイン語で何か聞いてみましたが、答えがわからず。
しばらく歩くと、やっと町の中心地へ着きました。ガイドさんから「何もないですよ」と聞かされていたのですが、本当に何もなく、生活雑貨のお店が並んでいるだけでした。
陽も暮れてきたので、一通り見てホテルに帰還。シャワーを浴びてから、ホテルのレストランで夕食です。私たち以外にも、欧米系の団体さんがいて賑やかでした。
夕食の後中庭に出ると、星が綺麗だというので、みんなでしばらく星空鑑賞。満点の星空には、天の川がキラキラと流れ、南半球特有の南十字星も見ることが出来ました。
寒くなってきたので部屋に戻り、明日からのマチュピチュへの準備をします。列車に乗ってアグアスカリエンテスというマチュピチュの麓の町まで行くのですが、その際、大きなスーツケースは持ち込めないので、そこに滞在中に必要な荷物を別にして持っていかなければなりません。
私たちのツアーは2日間に渡ってマチュピチュに行くので、1泊2日分の荷物をリュックに詰めます。
---マチュピチュ観光に持って行ったものリスト---
あとはホテルに泊まるとき必要な着替えや洗面用具とかです。マチュピチュには、入り口のところにレストランはありますが、中に入ると売店とかは一切ないので、水や軽いスナック(飴とかチョコ)を持って行くと心強いです。
また、雨が多く天気の変わりやすい場所なので、雨具は必須。私たちも一時降られましたが、レインウェアがあったので助かりました。折り畳み傘は、雨の中写真を撮るときに便利です。(カッパだけだと濡れる)
私の場合、カメラが大きいのでリュックはかなりパンパン。お土産を入れる用の手提げを用意し荷造り終了です。
晴れることを祈ってベッドに入りました。