チベット旅行のお役立ち情報を掲載。実際に現地に行って体験した事実をもとに、旅のポイントや注意点、治安、食事や宿泊施設の状況、持っていくと便利なものなど、独自の感覚と観点で記載しています。基本情報は外務省や旅行会社などのサイトを見ていただければわかると思うので、ここではそれ以外の現地で使える情報をご覧ください。
主な訪問地:蘭州~西寧~日月山~青海湖~橡皮山峠~チャカ塩湖~ゴルムド~(青蔵鉄道)~ラサ(ポタラ宮・八角街・ジョカン・砂曼荼羅)~カンパ・ラ峠~ヤムドゥク湖~ツェタン(サムエ寺・問答・ヨンブラカン)~民家訪問~北京
旅行時期:2008年3月/利用航空会社:中国国際航空、中国東方航空/[外務省]中国基本情報
ラサからチベット奥地のツェタンまで訪れる旅だったが、その途中でラサ騒乱が勃発。幸い日程にはほとんど影響を受けずに周ることができたが、一部閉鎖さてたゴンパもあった。
以下のリンクをクリックすると、その行程が書かれた旅行記をご覧になれます。
まずは青蔵鉄道でのラサまでの風景だろう。標高5000m以上の世界を鉄道に揺られながら眺められるのは今のところここだけだ。空は青というより藍色に近く、大地には白く凍った川が横たわっている。まるでどこかの惑星に降り立って宇宙船の中から外を眺めている感じがした。
ラサでは何を置いてもまずはポタラ宮を見に行こう。チベット文化圏の僧院は色々見たが、ここは規模も大きくまったく素晴らしい。混んでいると時間制になるらしいので、ゆっくり見たい場合は少しシーズンをずらして冬に行くといい。私たちが行ったときは観光客が少なかったのでたっぷり時間をかけて見学できた。
ポタラ宮を見たら、他の僧院の見学もしつつ町の散策に出かけよう。巡礼の時期だといろいろな地域から巡礼者が集まってくるので、それぞれの民族衣装を着た人たちを見ることができる。ジョカン近くのバルコルがおすすめ。
ラサで高度順応できたら、カンパ・ラ峠でヤムドゥク湖を見てツェタンに向かおう。町の景色とは一変し、チベットの壮大な風景を見ることができる。
ラサなどの都市部のホテルは設備もよく豪華。酸素ボンベもついていた。
郊外に行くとそれなりのレベルになるが、泊まるのにはなんの問題もない。
チベットではヤクをよく食べるが、代表的なのがギャコック鍋という料理。ラサで地元の人が行くようなお店で食べてみたが、これがなかなか曲者で、まるで潮が引くようにみんなのテンションが下がっていった。体験的に試すくらいにしてメインにはしない方がいいかもしれない。
数年後、ネパールのチベット料理屋さんでもギャコック鍋を食べたが、ヤクの出汁ではなかったので美味しかった。もはやヤクはどこかにいってしまうが観光客用のだったら問題ないと思う。
他にもヤク食品は色々あるが、どれも口の中で野生的なヤクを感じることができるだろう。
普通に中華料理もたくさんあるので、無難に済ませたいならそちらをおすすめする。
水道水は飲めないのでミネラルウォーターを買おう。
この地域は知っての通り中国問題でデリケートな場所なので、私が行ったときのように、いつ何が起こるかわからない。あの時は中でも特別だったが、中国の旅行では、普段でもちょっとしたことで足止めをくうことは良くある。下手に逆らうと悪化するので、言うことを聞きつつ次の手を考えよう。
公共の場での政治的な話はタブー。
とはいえ、不穏な何かがなければいたって安全。チベットの人の多くはみな信心深く物静か。ちょうど巡礼の時期に訪れたので、町は各地域からやってきた巡礼者で賑わっていた。
写真撮影の際、人を撮る場合は必ずその人に一言確認しよう。
僧院では、たくさんの信者が五体投地をしているが、その様子を撮影するときはできるだけ後ろからにする。
ポタラ宮など一部の僧院や施設は撮影禁止なので、事前に確認しルールは守ろう。ガイドブックにOKと書かれていてもその場でダメになることもある。
ゴルムドから青蔵鉄道でラサに向かう途中でひどい頭痛に襲われた。チベットを訪れたあと、いろいろな高地へ行ったが、これほどひどい目に会ったのはこのときだけだ。(まあ、標高もここほど高くなかったが)
青蔵鉄道は飛行機並みの機密性が保たれているといわれるが、トイレの窓とか完全に開いている。つまり車内は外と同じ気圧と酸素濃度になり高山病の防止効果はないということだ。実際、同じ車両の乗客がダウンした。座席には酸素吸入の設備があり、端から機密性を保つつもりなどないのだろう。
重症度の差はあれど、なんらかの症状が出る可能性は高い。特に低地からラサまでは飛行機で行くと一気に高度を上げることになるので、できれば列車などで徐々に行くのがいいと思う。
高山病は、高地に来てからの最初の行動を気を付けるかどうかで、その後の発症率や症状が大きく変わるそうだ。私も高地には色々行ったが、これは正しいと思う。以下に高山病対策を記載する。
私の場合、1と3を常に心がけていると少し頭が痛くなるだけで済むことが多い。
また、ラサについてからは数日滞在して体を慣らしてから次の行程に進もう。短い日程だと高度順応ができずに、結局移動先で動けなくなってしまかもしれない。急がば回れだ。
今回は、昼間の移動だったため寝台ではなく座席だった。旅行会社のふれこみでは、一人二席使用可能となっていたが、実際は車内の荷物置き場がいっぱいで、予約してあった座席の半分以上はスーツケースで埋まってしまった。 さらに指定席にもかかわらず通路やデッキには人があふれ、想像していた優雅な列車旅とは程遠い。トイレも水がうまく流れず燦燦たる状態だ。
先にも書いたが車内でも高山病になるので油断は禁物。峠を越えてからもなかなか標高が下がらないので辛かった。
車窓からの景色は美しいが、列車そのものにはあまり期待していかないほうがいい。実際、あまりのギャップに打ちひしがれている人がいた。快適さをとるなら、外の景色を見る時間は少なくなるが、寝台の方がいいかもしれない。
スニーカーくらいので構わないが、ゴンパに入るときは靴を脱ぐので、脱ぎやすいものがラク。
ホテルなどは水洗だが、移動中には穴だけ開いているところや青空トイレもあり。紙は流すと詰まるので、近くのゴミ箱に捨てる。青空トイレで使った紙は持ち帰ろう。紙がない場合が多いのでトイレットペーパーをロールごと鞄に入れておくといいい。
ポタラ宮のトイレはすごいのでぜひ行ってみよう。
高山病と水でやられた人が数人。観光に行けずホテルで休んでいる人もいた。
自分でできうる限りの対策をしても体調を崩すこともあるので、そうなったら無理せず寝ていよう。高山病は悪化すると死ぬこともあるので旅を中止して高度を下げる勇気も必要だ。
現地であったら便利なものを必須度順でご紹介。
女性ならではのものもあるので、参考にしてください。
旅行ではなるべく荷物は少ないほうがいいので、いるかいらないか迷ったら、それが現地でも買えるものかどうかで判断するのもひとつの方法。しかし、どうしても必要なものでない限り、結局なくても大丈夫だったということは多い。(反対に、なんでこんなものが・・と思いもよらないものが大活躍したりもする)
思い切って荷物を減らし、身軽に旅立とう。
【必須★★★】
【できれば持っていこう★★】
【必要に応じて★】
今回の旅行は、いろいろな意味で一生忘れない、思い出深いのもとなりました。日本に帰った今でもラサ騒乱の問題は治まらず、現地でであった人々が無事かどうか、毎日心配でたまりません。
チベットは異国にもかかわらず、とても安らげる国(敢えて国と表現します)でした。人々は静かで信仰深く、外国人にも優しく接してくれます。騒乱が起こる前は治安も良く、日が暮れてからも巡礼者が歩いていました。
各お寺などの観光地の多くは、写真撮影の制限が設けられているので、写真を撮る前に必ず確認しなければなりません。撮影代を払えばOKな場合や、たとえお金を払っても撮影できない場所もあります。またその時の係員の気分にもよる場合もたくさんありました。
食事は基本的に中華料理がほとんどでしたが、量も味もとても満足いくものでした。チベット料理は、ちょっとクセがあるので、好みが別れると思います。
気になるトイレ事情ですが、ホテル以外は、床に穴の空いただけのシンプルなものや和式のものがほとんどです。中には扉のないものもありますが、個人的には、中国本土の汚すぎるトイレとくらべれば、まったく問題ありません。あとは青空トイレになりますが、その場合は紙は持って帰るのがマナーです。
青蔵鉄道に乗る場合は、駅で荷物検査とボディチェックをうけます。そして、鉄道内には刃渡り50cm以上のナイフは持ち込めません。
また、日本で放送されたテレビや雑誌なんかの情報を鵜呑みにしていくと、少なからずショックを受けることになると思います。時期にもよると思いますが、私たちが乗車した3月中旬の状況は、なんでこんなに混んでいるのかとびっくりするくらいの混みようでした。現地の情報によると、青蔵鉄道は基本的に全席指定ですが、いつからか席がなくても乗れるチケットを発売するようになり、座席分以上の乗客が乗るようになったのだそうです。
最初のイメージとしては、車内を自由に歩き回り、外の景色を見れると思っていましたが、実際は、人が多すぎてそんな気も起きません。優雅な高原列車という感じはまったくなく、とても疲れる移動でした。ただ、世界一高所を走る列車への乗車体験と、車窓の風景の素晴らしさは乗らないと体験できないので、一度はいいかもしれません。
チベットと言えば高地。高地と言えば高山病。私もこれが一番心配でした。父は病院で高山病の薬を処方してもらい持ってきましたが、結局あまり効かなかったようです。また、以前に高所に行ったときは平気だったのに、今回体調が悪くなった人もいました。症状も様々で、頭痛、めまい、腹痛、しびれなどが発症し、その程度も状況も人によって違います。結局、行ってみないとわからないというのが実際のところなので、よっぽどの持病がない限り、心配するだけ無駄でしょう。
今回の旅行は、世界的なニュースになるくらいの騒乱の中で遂行されましたが、幸い危険な目にも遭わず、観光して帰国することができました。そして、今まで訪れた国の中でも一番気に入った場所となりました。帰国した日の16日には、チベットへの入域許可証の発行が中止されたそうですが、一日も早く、平和なチベットに戻ることを願ってやみません。