中国四川省の自然を巡る旅行記。世界遺産九寨溝と黄龍をはじめ、海螺溝のミニヤコンカ山やその麓の氷河、木に登る愛くるしい子パンダなど四川の魅力を堪能。紅葉に色づく九寨溝は、透き通る青い水と木々の色とのコントラストがあざやかでまるで別世界のような美しさ。ロープウェイで登った黄龍では雪が舞い、一層幻想的な風景を創り出していた。自然、文化、食が満載の中国四川省の旅行の記録。
主な訪問地:成都~雅案(雅案碧峰峡パンダセンター)~海螺溝氷河森林公園(ミニヤコンカ山・海羅溝氷河)~磨西鎮~康定木格錯風景区~康定~九寨溝~黄龍~川主寺~成都(都江堰・川劇)~上海
旅行時期:2009年10月/利用航空会社:中国東方航空/[外務省]中国基本情報
中国四川省旅行 評価:4.0 -kaycom
2010年10月。
早朝6時、今日から中国の四川省を巡る旅行に出発するため家を出ました。
成田には集合時間に余裕をもって到着し、無事に添乗員さんとも合流。
各自でチェックインを済ませた後、再度集合し、今回ご一緒するメンバーと顔合わせです。
今回の参加者は全部で12人。 そのうちなんと8人が一人参加で、女性はたったの4人でした。
大手旅行会社にしてはこじんまりとしたツアーで動きやすそうです。
飛行機は定刻に出発し、まずは上海まで約3時間のフライト。
今回利用する航空会社は中国東方航空ですが、機内も綺麗で座席も広く快適でした。
この間ペルーに行ったせいか、3時間のフライトはあっという間で、上海についてもなんだか外国に来たという実感がまったく沸きません。
現地のガイドさんと合流し、乗りつぎの時間を使って、空港直結のホテルのレストランで昼食です。そのレストランはとても広くて豪華な装飾で、中央には魚が泳ぐ池までありました。
中華料理おなじみの円卓に座ると、次々に美味しそうな料理が並びます。実際とても美味しくて、機内食を食べた後でしたが箸が進みました。
ここでガイドさんが、一人1万円分の「元」を用意してくれていて、希望者は両替することができました。こういうサービスはとても助かります。
乗り継ぎ時間は3時間あったのでのんびりと食事もできました。
次は成都まで3時間のフライトです。
中国の国内線は、液体物を透明のジップロックに入れても手荷物にできないので注意が必要です。
成都には夜の8時すぎに到着。
今日はこのままホテルに直行し寝るだけです。
明日はパンダを見に行きますが、ここまで来てもまだ海外に来た気分になれませんでした。
翌朝7時半、ホテル出発。
昨日成都に着いたとき出迎えてくれたガイドさんも一緒です。彼は重慶出身の青年で、ガイド暦は7年になるとか。彼の話によると、去年の5月に四川大地震があってから観光客が激減し、特に日本からのお客さんが4分の1から5分の1にも減ってしまったそうです。おかげでしばらく失業。そのため、今回ツアーで四川に来た私たちにとても感謝していました。
今日はこれから約2時間半をかけてパンダを観に雅案へ向かいます。
途中、トイレ休憩に立ち寄ったサービスエリアでいろいろな果物などを売っている露店を発見。
添乗員さんが「おやつ」にと、ザボンを買ってくれました。
30分ほども走ると、道はだんだんと山道になってきて、笹も多く茂り、いかにもパンダがいそうな感じです。
10時すぎ、雅案碧峰峡パンダセンターに到着。
入り口でバスを乗り換え、さらにパンダの棲む園まで進みます。
その入り口の手前でバスを降り、中へ入ってから今度はカートに乗って、まずは子パンダのいるパンダの幼稚園に向かいました。
広い園内の一番奥にそれはあり、そこには生まれたばかりの赤ちゃんから、まるでぬいぐるみ様にコロコロした子供までいて、恐らく園内で一番人気のあるエリアなのではないかと思います。
私もワクワクしながら歩いていくと、まずはガラス張りになった壁の向こうに、保育器に入った赤ちゃんがみえました。生まれて数ヶ月の子とまだ乳幼児の子。
乳幼児の方は、布の中にくるまっていてその姿を見ることはできませんでしたが、もそもそと動いているのがわかります。
その建物の裏側に回ると、今度は子パンダたちの遊び場がありました。
2~3頭が地面にいましたが、あとの子供達はみんな高い木の上に、まるで木の実のようにまるまってじっとしています。
パンダのなる木
こんな光景は初めて見たので、かなり驚きましたが、それ以上にかわいすぎる!
よーく見ると、あっちにもこっちにも、いろいろな木の上に子パンダがまるまっていました。
こんな愛らしい姿を見たらどんな悪人でも笑顔になるだろうな
と自信を持っていえる数少ない光景だと思います。これは一見の価値あり。
幼稚園で存分に癒された後、再びカートに乗っていくつかのポイントで降りながら出口へ向かいました。
昼食は園内の入り口にある、見晴らしのいいレストランでいただきます。
いつも最初にビール(毎度同じ銘柄)とスプライトかコーラがきて、ごはんは樽(又はボール?)入りお代わり自由というところがほとんどでした。
お腹がいっぱいになったあとは、バスに乗り込み、途中、パンダセンターに行くときに添乗員さんが買ったザボンを頂きながら、「二郎山トンネル」へと向かいます。
このトンネルは、雲南省と四川省を結ぶ全長約4000mもある長いもので、これが完成するまでには多大な犠牲が伴ったそうです。
トンネルの入り口には公園があり、そこには犠牲者を追悼する石碑が建てられていました。
私たちはそのトンネルを抜け、今日の最終目的地「海螺溝氷河森林公園」を目指します。
海螺溝氷河森林公園へ行くには、まずその入り口のある磨西鎮という小さな町に行き、そこでグリーンカーと言われる公園内専用の車に乗り換えなければなりません。
仕方なく近所をブラブラし、10分か15分くらい待ってからやっと出発。ヘアピンカーブの険しい山道を、かなりのスピードで駆け上がっていきます。車酔いをする人には「普段なら」きつい道のりだと思いますが、ここに限っては、
断崖絶壁のカーブ続きの場所で、別に無理してやらなくたっていいだろう追い越しを繰り返し、そのたびに反対車線から向かってくる直前まで見えない車をすんでのところでかわしながらのスリル満点ドライブ
なので、きっとどんな車に酔いやすい人でも、気持ち悪くなってる余裕はないので安心してください。ポイントは、もっともスリルの味わえる一番前と一番後ろの席に座ることです。
一同ぐったりと言葉少なげに、三号営地にある本日のホテルに到着。もうあたりはすっかり薄暗くなっていて、さすがに標高3000m近くの山の中だけあって気温もぐっと寒くなっていました。
もうこのままホテルのレストランで夕食だというので、寒い寒いと言いながら中に入ります。
すると、
そこはもっと寒かった
見ると、そこで働いているスタッフはみんな暖かそうなコートを着ながら動いています。
後の説明で、どうやらこのホテルには暖房設備というのがなく、そのかわりに各部屋に電気毛布が設置してあるとか。
仕方なく、着込めるものは着込んで、ガチガチ震えながら食事を始めました。
こんなとき、暖かいスープはとてもありがたい。
食べているうちにだんだんと身体もあったまり、終わる頃にはだいぶ落ち着きました。
和やかムードの中、添乗員さんから明日の予定などの説明があり、みんな起床時間とかメモっていると、
ヒュン
だか、
ブン
だか、もしかしたら無音だったかもしれませんが、突然真っ暗になりました。
停電です。
こういった経験は何度もしているので、大して驚きませんでしたが、初めての人はやっぱりびっくりしたようです。
蝋燭が灯され、しばらくそこにいましたが、なかなか復旧しないので、懐中電灯のあかりをたよりに各自部屋へ向かいました。
そこで蝋燭一本を与えられ、部屋に灯して明かりはなんとかなりましたが、問題は、唯一の暖房器具である電気毛布が使えない・・・ということ。
1泊2日分の最低限の荷物しか持ってきていないので、着られる服にも限度があります。いくら建物の中とはいえ、そこそこの防寒対策をしないときっと寒くて眠れないでしょう。
どうしようかなぁといろいろ考えていると、パッと部屋が明るくなりました。電気が復旧したようです。同時に、電気毛布もだんだんと暖かくなってきました。
ホッと胸をなで下ろし、おかげでその夜はぬくぬくと気持ちよく眠ることができました。
早朝6時半。
まだ夜が明ける前、ホテルの屋上へ行きました。覚悟していた寒さはそれほどでもなく、代わりに湿気のあるもやっとした感じです。
空を見上げると、どんよりと曇っていました。
なぜ、わざわざこの山奥のホテルに泊まり、朝早くから屋上へ出たのかというと、ここからしか見られない、朝日に輝く霊峰ミニヤコンカの頂を拝むためです。
ミニヤコンカは大雪山脈の最高峰で標高が7556m。
エベレストなど国境に面していない山としては中国国内で一番高い山になります。
しかし・・・
残念ながらこの朝は、空一面覆われた雲はまったく動く気配はありませんでした。みんなで肩を落とし屋上を後にしましたが、まだチャンスは残っています。
この後、氷河を見に行くのですが、その時にも展望台から見える位置にあるのです。
気を取り直し、寒い朝にはありがたいお粥の朝食を済ませ、さっそく出発。
ホテルからはバスで10分ほどのところに立派なロープウェイ乗り場がありました。8人乗りなので、分かれて乗ります。
かなりな急斜面を静かに登っていき、頂上までは10分ほどで到着。
相変わらず雲が立ちこめていましたが、期待を込めて待つことに。
するとすぐに、雲が風に流れ、その合間から真っ白な頂が見えました。
ミニヤコンカの登場です。
私たちを含め、その場にいた観光客は大歓声。
ほんの数分の間、雲に見え隠れしながら美しい姿を現してくれました。しかし見えたのはその時だけで、それ以降は再び雲に隠れてしまいました。
なんてグットタイミング!
7年やってる現地ガイドさんも、今回が初めて見たそうで、なかなか見れない山らしいです。
意気揚々と、今度は海螺溝氷河を見に行きます。
今いるロープウェイ乗り場から少し山道を下っていくと、氷河の展望台に出ました。そこから100mほど斜面をジグザグに下りていくと、氷河の上を歩くことができます。
標高3600m以上の高地なので、帰りの登りが大変そうですが、せっかくだし下りてみることにしました。
麓に着くと、足場の悪い岩場を少し歩き、氷河まで向かいます。
近くにくるとその表面の荒々しさがよくわかり、いたるところにクレバスがぽっかりと開いていました。そこにおっこちないように歩ける範囲を歩いてみます。
急な山道を下ってきたせいか、氷の上なのに、結構暑いのが意外でした。
そんなに遠くまでは行けないので、15分くらいで撤収。
帰りの登りは籠に乗って上まで行くことができますが、高山病などになっていなければ、歩いてもたいしたことありません。
上でみんなと合流して、再びロープウェイで下山しました。
泊まったホテルへ戻って昼食です。
このホテルは、ミニヤコンカの眺望の拠点なので、ホテル内のいたるところに山の写真が飾ってあります。
今回本物はチラッとしか見れなかったので、せめて写真だけでもという気持ちで、みんな飾ってある見事な写真を撮影していました。
ちなみに添乗員さんがホテルの人に確認したところ、比較的天候の落ち着く10月でも、朝焼けはまだ1日しか見れていないとのことでした。
さすが霊峰。そう簡単には姿を見せてくれないようです。
朝ホテルに預けておいた荷物を受け取り、リベンジを心に誓いながら、グリーンカーに乗って磨西鎮の町へ向かいました。
磨西鎮の町へ行く前にその途中にある温泉へ寄りました。
そこは、水着を着て入る温泉プールのような場所で、山の斜面にいくつものお風呂があります。
私はあまり興味がなかったので露天風呂には入らずに、まわりの写真を撮っていました。
1時間半ほどで温泉を後にし、グリーンカーで海羅溝森林公園のゲートまで向かいますが、その途中、野生の猿の一団に遭遇。
くねくね道といい、野生の猿といい、まるで日本の日光のようです。
ゲートにつくと車を降りて、本日のホテルまで歩いて向かいます。
道すがら、磨西鎮のちいさな町のあちこちで新しいホテルの建設が行われていました。
これからこの町もどんどん観光化されていくのでしょう。
5分ほどでホテルに到着。
一旦部屋に荷物を置いた後、夕食までまだ時間があるので、添乗員さんがスーパーマーケットに連れて行ってくれることになりました。
希望者だけ集まって町に出ます。
ホテルの目の前を通るメインストリートを少し歩くと、目指すスーパーマーケットにはあっという間に着いてしまいました。これではあまり面白くないので、一旦そこを通り過ぎ少し町中を探索してみることにします。
町にはメインストリートが十字に走っており、通り沿いには食料や生活用品を中心に意外と色々なものが揃っていました。
そして、ここにくるまでにもたくさん見かけたのですが、民家の軒先には鮮やかな黄色のトウモロコシが干してあります。
しばらく散歩をして時間を潰した後、添乗員さんが果物屋さんで、みんなのためにこちらの梨などを買ってくれました。
その後、お楽しみのスーパーマーケットへ。スーパーにしては小さなお店ですが、他のお店に比べれば色々なものが揃っています。
お土産を買いたいと思い色々物色して、ここでは四川特産の笹茶やジャスミン茶をゲット。
みんなも結構収穫があったようです。
1時間ほど散歩を楽しんだあとホテルへ戻りました。