コーカサス旅行記-#3
アゼルバイジャンから国境越えてジョージアへ
シェキのバザールを訪れた後、国境を越えてワイン発祥の地ジョージアへ入国。民家の庭でワインを飲みながらランチをし、ブドウの産地でも有名なテラヴィのワインハウスを見学。赤白のワインを試飲し、お土産もゲット。この日は、大コーカサス山脈が目の前に広がるゲストハウスに宿泊。
4日目の主な訪問地:シェキ~(アゼルバイジャン)国境(ジョージア)~テラヴィ
行程
- 1~2日目:成田~ドーハ~バクー
- 3日目:バクー~シャマフ~シェキ
- 4日目:シェキ~(アゼルバイジャン)国境(ジョージア)~テラヴィ
- 5日目:テラヴィ~ムツヘタ~トビリシ
- 6日目:トビリシ~カズベキ~トビリシ
- 7日目:トビリシ~(ジョージア)国境(アルメニア)~ハフパト修道院~セヴァン湖~ツァフカゾール
- 8日目:ツァフカゾール~エレヴァン
- 9日目:エレヴァン
- 10日目:エレヴァン~ドーハ~羽田
コーカサス旅行4日目 シェキ~(アゼルバイジャン)国境(ジョージア)~テラヴィ
宮殿ホテル「SHAKI PALACE HOTEL」の朝食
翌朝、部屋から外を眺めると、山間に広がる可愛らしい街並みが一望できました。
いったん部屋の外に出てホテルのレストランへ向かいます。
レストランからの眺めもとても素敵。
世界遺産「シェキ」の早朝散歩
朝食の後、出発まで少し時間があったので、昨日訪れた宮殿のほうまで歩いてみることにしました。
レンガの家を間近で見ると、いろいろな模様が施されていてとってもアート。
のんびり坂をのぼって10分もたたないうちに宮殿の城壁に到着。
ここで同じ道を通ってホテルへ引き返します。
朝日がさしていればもっとレンガの色など綺麗だったと思うのですが、気持ちの良い朝の散歩でした。
シェキバザール
8時ホテル出発。
今日はアゼルバイジャンを後にし、国境を越えてジョージアへ入ります。
その前に、せっかくなので、近くのシェキバザールに寄っていくことになりました。
朝のバザールはどこの国でも活気があり、見学するのには一番楽しい時間かも。
山間のシェキですが、新鮮な魚も売られています。
他にも、刈ったばかりの羊毛や動物の頭など、日本ではあまり見かけないものもありました。
ガイドさんがおすすめするお土産は、アーモンドやヘーゼルナッツ、ドライフルーツ、スパイス。スパイスは小分けにされているので、そのまま配れて便利そう。
小一時間ほどの滞在でしたが、朝からテンションのあがる市場でした。
アゼルバイジャンから国境を越えてジョージアへ
シェキバザールを楽しんだ後は、いよいよジョージアへ向かいます。
まずはアゼルバイジャン側のバラカン国境までドライブ。
国境の手前でバスを降り、これまでガイドをしてくれたバラシュさんとドライバーさんとお別れ。
2017年までは、ジョージアまでアゼルバイジャンのバスで行けたそうですが、2018年から禁止となり、約1kmの坂道を歩いて渡ることになります。
でこぼこ道をスーツケースを引きながら行くのはなかなか大変で、屋根もないので、帽子や傘はすぐに出せる場所に用意しておいた方が無難。
この日の出入国手続きはスムーズに進み、1時間もかからず無事ジョージア側のラゴデヒ国境へ行けました。普段は2時間弱かかるそう。
まずはジョージアの通貨ラリに両替。30USドルで78ラリが返ってきました。
涼しいバスに乗って、ジョージアの観光開始。
ガイドをしてくれるのは、お団子ヘアと大きな眼鏡がかわいいニノさん。まだ若い女性ですが日本語ペラペラです。
これから4日間お世話になります。
おすすめのジョージアワインは?ジョージアの民家でワインランチ
動物が草を食む長閑な景色を眺めながら、ニノさんによるジョージアについてのご案内。
=====ガイド=====
「ジョージア」という名前は英語読みで、ソ連時代にはロシア語で「グルジア」と呼ばれていた。しかし、ジョージア語では「サカルトヴェロ」といい、ジョージア人はそう呼んでいる。この意味は「ジョージア人が住んでいる場所」という意味。
ジョージアの国旗は白地に赤い十字架が5つあるファイブ・クロス・フラッグ。聖ゲオルギウス十字とエルサレム十字が四隅に配され、大きな十字架はキリストを意味し、4つの十字架は4福音者を表している。聖十字が色々な方向からジョージアを見守るという意味が込められている。
ジョージアは東ジョージアと西ジョージアに大きく分かれている。西は黒海があり亜熱帯気候、東は乾燥した気候。
ジョージアの北側には大コーカサス山脈があり、高さは2500mから始まる。一番高い山はシュハラ山で5201m。
キリスト教のジョージでは、埋葬は土葬で火葬は認められていない。理由は旧約聖書にあり、神様が人間を土から創ったとされているため、土に戻る土葬となっている。お墓の場所は政府によって決められている。
ジョージアは9の地方があり、今はカヘティ地方にいる。ゴンボリ山脈が走り、それを境に東側が「内カヘティ」、西側が「外カヘティ」。内カヘティの主な川はアラザニ川で、外カヘティはイオリ川。アラザニ川の土はとても豊かで野菜や果物はジョージアで一番おいしい。
さらにカヘティ地方はワインが有名で、ブドウも多く育てられている。ワインの作り方が独特で、無形文化遺産にも登録された。8000年前のワインのツボが発見され、ワイン発祥の地として知られている。現在全ジョージアでは500種類以上のブドウが栽培されているが、昔はもっと多かった。
一番有名な赤ワインはサペラヴィ、一番古くて有名な白ワインはルカツィテリという。自分がお勧めするのは、白はキシとチドリ、赤は西ジョージアのクワンチュカラ。他にも珍しいものでは、ウサテラウリという赤ワインがあり少し値段が高い。
※ツボのマークがあるのはジョージアスタイルのワインという意味
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ジョージアで最初のイベントは、ホワレリ村のガバディ村(村の中に村がある)の民家の庭でいただくワインを飲みながらのランチです。
ガイドにもあったように、ジョージアはワイン発祥の地とされているので、今回のツアーではたくさんワインをいただく予定。参加者の多くもワイン好きの人たちです。
ブドウ棚の下にテーブルが置かれ、そこでいただく模様。素敵です♪
自家製ワインの他、ブドウの搾りかすでつくるチャチャやブランデー、コニャックもふるまわれ、昼間からいい気分。
しっかり煮込まれた肉詰め野菜のドルマやチーズ入りナンなど、ここまででも結構なボリュームでしたが、さらに庭でお父さんが肉を焼いているというので行ってみました。
豚肉のBBQムツヴァディという料理で、しっかり火を通すため時間はかかりますが、これがかなり美味しかった。
このおうちでは、自家製ハチミツも販売していたので二つ購入。ワインのことも考えると、今回のお土産はかなり重くなりそうです。。
土の中で発酵?ワイン発祥の地ジョージアでワイナリー見学
ほろ酔い気分でバスに乗り、次はクラヴェリの町にある「キンズマラウリ・ワインハウス」へ。
さすがにワインの生産地だけあって、ブドウ畑があちこちに広がっています。
ワインハウスは思いのほか大きな施設で、ワイン造りの工程をガイドさんがついて案内してくれます。
=====ガイド=====
ここでは、ジョージアのブドウを使いジョージアスタイルとヨーロッパスタイルでワインを作っている。
大きな壺があるが、これはジョージアスタイルでワインを作るときに使う「クヴェヴリ」というもの。土の中に埋めて発酵させる。
クヴェヴリは、ジョージアの限られた地方でしか採れない粘土で造られた素焼きの壺。内側は殺菌効果の高い蜜蝋でコーディングされ、外側には石灰と川砂を混ぜたものが塗られている。
この会社では、東ジョージアで300ヘクタールのブドウ畑を所有し、10種類のブドウを育て、40種類のワインを作っている。ジョージアでのブドウの収穫は9月から10月初めまで。
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ガイドさんについて中へ入っていくと、大きなタンクが現れました。
=====ガイド=====
この機械はブドウを絞るための近代的なもの。イタリアとドイツから輸入された。
ヨーロッパスタイルでワインを作るときは、この機械でブドウを絞った後、そのジュースだけを発行させて作る。
ジョージアスタイルでは、ジュースだけでなく、実、種、皮、茎も一緒にクヴェヴリに入れて土の中で6か月間発酵させる。
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まずは、ジョージアスタイルの伝統的なセラーを見学。
床にはたくさんの穴が空いていて、ここにクヴェヴリが埋められています。
=====ガイド=====
蓋の上は踏まないように。壺が埋められている穴の深さは約2m。
ジョージアスタイルのワインの作り方では、ドライの辛いワインしか作れない。白ワインの場合は4ヵ月間、赤ワインは6ヵ月間発酵させる。
この道具は「サツナヘリ」といい、足でブドウを踏んでジュースを絞りだした伝統的なもの。
この道具たちは、ジョージアでしか使われていなかったのでジョージア語の名前しかなく通訳できない。ユネスコに登録されている。
サルツヒは殺菌作用のあるサクランボの木で作られている。壺の中を洗うもので、使う前に6回ほど洗う。大きい壺の場合は、中に人が入って洗った。
洗った後、ブドウのジュースや皮などをクヴェヴリに入れ、24日ほどの間、毎日6回あの棒でかき混ぜる。それで発酵が始まる。自然にブドウの皮にバクテリアがいるので、発酵のための薬などは必要ない。
発酵する前は、ブドウの皮とか茎は上に浮かんでいるが、発酵すると下に沈む。発酵が終わると、その沈んだものとワインを分けて、ワインだけクヴェヴリに戻し熟成させる。ブドウの残りのものからはチャチャという強いお酒が造られる。その後残ったものは土に返される。
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次にヨーロッパスタイルのセラーへ。
=====ガイド=====
温度を保存するため、シリコンを利用した設備。ブルガリアから輸入した。
セミスイートとスイートワインを作っている。1lで50gの砂糖をつかっているものをセミスイート、15gだとセミドライ。
発酵のあと保存するが、セミスイートの場合、その適温は-2度。セミドライは+2度。その環境で4ヵ月ほど熟成される。その後、瓶詰されて販売される。
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続いて瓶詰の施設ですが、この脇には品質検査を行う場所もあります。
=====ガイド=====
ボトルはジョージで生産されるが、瓶詰とラベリングの機械はイタリアから輸入した。
ラベルは色々な国のためにたくさんの種類がある。この工場では、19の国に輸出し、毎年、200万のボトルを作っている。
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最後は、チャチャやコニャックなどの熟成・保存庫です。
=====ガイド=====
樫の木の樽では、チャチャが3年間熟成させる。上の大きな樽はコニャックで、これも樫の木の樽で熟成する。
壁にあるボトルはコレクションのワインで、一番古いワインは28年前のもの。ここにあるのも売られていて、80ラリから600ラリくらいまである。
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見学の後は、お楽しみの試飲。
ジョージアとヨーロッパスタイルの赤白をそれぞれテイスティングです。
壺のマークがついているのが、伝統的なジョージアスタイルの製法で造られたワイン。
ジョージスタイルのワインを飲む場合、保存料などが入っていないオーガニックのため、栓を開けたら4日で飲み、冷蔵庫で保存するのがおすすめだそう。
いろいろ説明してくれるので、直売所でワインを買う前にアドバイスをもらうといいかもしれません。
フレスコ画が美しいグレミ修道院
「キンズマラウリ・ワインハウス」でワインをお土産に買った後、今日の宿へ向かう途中にあるグレミ修道院を見学。
=====ガイド=====
大天使教会グレミ修道院は、1565年に建立された。
グレミは16世紀にカヘティ王国の首都だったが、1614年のペルシャの侵略により荒廃。現在はこの修道院のみが残っている。
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ちょうど結婚式が行われていたらしく、かわいらしい花嫁さんが友人たちと写真を撮っていました。
修道院は丘の上にあるので、麓でバスを降りて階段を上っていきます。
上まで行くと、コーカサスの山々まで見渡せる絶景が広がっていました。
修道院の中に入ると、壁全体に色鮮やかなフレスコ画が描かれとっても美しい。
写真ストップということで、ちょこっと立ち寄っただけでしたが、丘の上からの景色といい中のフレスコ画といい、訪れてよかったと思える教会でした。
大コーカサス山脈が目の前に連なる「Hotel Dzneladze」
本日の宿は、テラヴィの高台にある「Hotel Dzneladze」。
ホテルとは名の付くものの、民家を宿泊施設にしたゲストハウスです。
ここの売りは、なんといってもテラスや部屋から見える大コーカサス山脈の眺め!
何物にも遮られることなく真正面に山並みが連なり、その手前にはテラヴィの街が広がっています。
この写真を撮影したのは夕暮れ時なのですが、ひんやりと澄み切った空気の中でピンク色に染まる光景は本当に感動的でした。
そして、私の部屋からの眺めがこちら。最高です。
ゲストハウスなので、部屋の広さや設備はアットホーム仕様ですが、トイレとシャワーが共同じゃないのはうれしい。
私が訪れたのは10月上旬でしたが、朝晩は冷えるので寝袋があると安心です。
夕食は宿のダイニングで、地元の食材を使った料理とワインをいただきます。
ジョージアの食事は、コーカサス山脈のミネラルたっぷりの水で育った野菜や果物、乳製品などが豊富な健康食。そのため、長寿の国としても知られています。
ドライバーさんも加わり、昼間立ち寄ったワインハウスの伝統的なジョージアワインなどを飲みながら楽しい時間となりました。