主な訪問地:ソン・クル湖畔~コチコル~ビシュケク
夜明けの大草原の絶景散歩を楽しみソンクル湖畔のユルタを出発。馬に乗る遊牧民の少年の出会いや天山の渓谷の景色を見ながら山を下りた。コチコルの民家でランチをしてビシュケクに戻り、夜は伝統音楽の楽団「ダスダン」の演奏を聴きながらのディナーショー。ホテルへ帰る前にスーパーマーケットに立ち寄りキルギスのお土産を購入した。
ユルタで一晩過ごした翌朝は夜明け前に起床し、大草原の向こうから昇る日の出を鑑賞。
その後、朝食までまだ時間があったので、近くの丘の上に登ってみることにしました。
遠目にはなだらかな丘に見えましたが、実際に登り始めると結構な急斜面で、すでに標高も高く空気が薄い場所のためなかなかしんどい。
ただ、辺りが平なので、少し登るとみるみる展望が開けてきました。丘の麓には大きなソンクル湖が広がり、その脇に私たちが宿泊したユルタが見えます。
息を切らしながら30分弱で頂上までたどり着くと、今まで丘に隠れて見えなかった天山の雪山が現れました。今いる場所の標高が3000mを越えているので、それほどの高さは感じません。
遠くに目を転じると曲線を帯びた地平線が見渡せ、辺りの草原では、何頭もの放牧された馬が朝日の差し込む静まり返った空気の中でのんびり草を食んでいます。
※頂上からの360度の絶景は、こちらの動画でご覧ください。
この壮大すぎる光景は、東京で暮らしている私にとってはまさに別世界。
ああ~~たまらん!
早朝からがんばって登って本当によかったです。
しばらく頂上からの景色を堪能したあと、そろそろ朝食の時間になるのでユルタに戻りました。
今朝の朝食は、薄いパンケーキにミルク粥など。
昨日の夕食もそうでしたが、電気も水道も通っていないこのような僻地で、こんな食事がいただけるとは思っていませんでした。
食後は荷造りをして出発の時間まで近くを散歩していると、たくさんの羊とヤギの集団が湖畔を歩いてきました。羊飼いに上手く追い立てられ、ひとかたまりになって近づいてきます。
これまでも羊の放牧には何度か出会いましたが、ここで見たのが一番規模も大きく、周りの壮大な風景ともあいまってかなり見ごたえがありました。
出発間際、メンバーの一人からエーデルワイスの群生地があると知らされみんなで見に行くと、ちっちゃな白い花があたり一面に咲き誇っていました。
日本でエーデルワイスというと、貴重な花のようなイメージがありますが、ここキルギスではそこらの草程度にしか思われていないようです。実際、夏になるとそこら中に咲く花は、キルギスの人には「草」と呼ばれ、草刈の対象ともなっています。
途中で何度か写真ストップをしながら高度を下げていきます。
来るときに通った道ですが、進む方向と時間帯が異なるので、また違った風景に見えました。
草原を抜け山道に入ると、馬に乗った一人の少年に出会いました。
エリさんが、写真を撮らせてくれないかと交渉してくれて、みんなでバスを降り写真撮影。
まだ小学生くらいの男の子ですが、見事に馬を乗りこなしています。
それを見たエリさんや、車を分乗してから運転をしてくれた地元の男性が、遊牧民の血が騒いだのか次々に馬を借りて乗らせてもらっていました。
少年にお礼を言って別れ再び出発。少年は家畜を追って、牧羊犬とともに草原の向こうへ走り去っていきました。
高山植物や広大な景色を見ながら標高を下げていくと、みるみる気温が上昇してきました。強い太陽の日差しが強烈です。
そんな中、自転車で山道を登ってくる観光客がいました。この先もずっと上りなのでこれはかなりきつそうですが、あのユルタキャンプまで行くのだろうか。
その後も素晴らしい景色が続きますが、草原から山岳、花畑、集落、荒野など、さまざまな表情を見せてくれる道です。
約4時間かかって、昨日バスを乗り換えたSari Bulak村に到着。バスのドライバーさんとも再会です。
もとの大型バスに乗り、舗装道路を走り始めます。
今まで走ってきたオフロードを体験する前は、舗装されている道路なのに揺れるな~と思っていたのですが、今ではもう天国のよう。
ここでバスのマイクも使用できるようになったので、昨日1泊したソンクル周辺についてのガイドがありました。
=====ガイド=====
ソンクルとは、「一番最後の湖」という意味。長さ28km、幅17kmあり琵琶湖の0.4倍くらいの大きさで、水深は最大16m、平均で8mというかなり浅い湖。標高が3000m以上あるため、冬は-40度まで下がり、湖には70cmくらいの氷が張る。夏は20度くらいまで暖かくなる。
ユルタに泊まる手配は麓にある小さな会社が行い、予約が入ると上まで伝えに行く。
天山で見た固有種「シュマルハウセニア・ニュドランス種」は、中央アジア原産で7~8月に花を咲かせる。高地の湿った場所に自生し5~6年生きた後花を咲かせて死ぬが、その際に綿帽子の種が飛び新たな場所で芽を出す。
=============
ソンクル湖までの道は雪で埋まってしまうので、ユルタに泊まれるのは夏の間だけだそうです。
快適な道を進むうちに、これまでの疲れも手伝ってだんだん眠くなってきました。
他の人たちも同じようで車内はお眠りモード。こういう時の居眠りは本当に気持ちいいんですよね~。
1時間ほどでコチコルに到着。
大型バスが不釣合いな住宅街の路地に入っていくと、かなり大きめの民家の前に着きました。
今日のランチは、この町でゲストハウスを営んでいるお家でいただきます。
日本と同じように玄関で靴を脱いでおじゃまします。階段を上がって2階のダイニングルームへ行くと、部屋いっぱいの大きなテーブルや食器棚があり、生活感あふれる一部屋でした。その食卓をみんなで囲んで座ると、なんだか親戚の集まりのような感じ。
トイレを借りるとき家の中をちょっと見てみましたが、空いている部屋をそのままお客さんに提供していて、とてもアットホームなゲストハウスです。
本日のメニューは、サラダ、スープ、クルダク(牛肉とじゃがいもの焼いたもの)、パンなど。
このクルダク、甘くない肉じゃがのようでとても美味。みんなにも大人気で、ぜひ日本でも作ってみたいという声もありました。
民家訪問も兼ねた食事を終え、家の人たちに見送られながら出発。
一路ビシュケクへ向かいます。
バスの中で、キルギスの若者に人気のチョコパイのおすそ分けがありました。
=====ガイド=====
オリオンのチョコパイで、キルギスの若者に一番人気。パッケージには、ロシア語、ウクライナ語、カザフ語、アゼルバイジャン語、アルメニア語、グルジア語、ウズベキスタン語で説明が書いてある。韓国や北朝鮮でも人気で、北朝鮮ではお金の代わりに渡したり、これをあげるからこっちへ逃げて来いのようにも使われているという話がある。
=============
また、キルギスのスーパーマーケットで買えるおすすめのお土産を聞いてみると、コニャック、乾燥ヨーグルト、ショル、はちみつなどがあるとのことでした。スーパーには、今日の夕食後に寄る予定です。
しばらく走るとカザフスタンとの国境になっているチュー川が見えてきました。
=====ガイド=====
チュー川沿いには鉄条網が張られカザフスタンの国境となっている。カザフスタンとは兄弟のようなものなので、例え国境を越えても銃殺されるようなことはない。キルギス人はIDカードだけあれば、パスポートはなくてもカザフスタンとロシアまで行くことができる。
=============
他のメンバーから、キルギスでは馬は何のために飼っているのかという質問がありました。
=====ガイド=====
馬を飼う目的のひとつは馬乳。5月の終わりから6月25日あたりまで馬乳のシーズンで、その季節はいい草が生えるためそれを食べた馬の馬乳はとても質がいい。ソンクル周辺のように空気の良いところで1日3回薬のように馬乳を飲むと健康になるという。
一番の目的は馬の肉を食べるため。キルギス人の中では馬の肉が一番美味しいとされている。牛肉や羊肉に比べると珍しく、結婚式やお祭りなど特別なときに食べる。
=============
エリさんは日本に来たとき馬刺しを食べたそうですが、美味しかったもののちょっと油っぽくて、やはりキルギスで食べる煮たものの方が美味しいとのことでした。
途中でトウモロコシやスイカ、メロンを購入。メロンは5.6kgで660円、スイカは10.5kgで320円くらい。カザフスタンでも買うことはできますが、そのほとんどがキルギスから持ってきたものだそう。やっぱりスイカよりメロンの方が高いのはキルギスも同じです。
だんだんと車や人の数が多くなってきました。そろそろビシュケクのホテルに到着です。
今日のホテルは2日目に宿泊したAk Keme(アク・ケメ)ホテルです。
部屋からの景色は相変わらず素晴らしいですが、まずはとにもかくにもシャワー。
昨夜は遊牧民のユルタに泊まったので2日ぶりのお風呂です。もうこれだけで、疲れのほとんどが取れました。
前回泊まった時にも書きましたが、このホテルはとても居心地がよくて天山山脈も綺麗に見えるのでおすすめ。
ただ、設備がちょっと古くエアコンが効かないなど不具合もあるので、そのような場合はスタッフに相談しましょう。
ホテルで少し休憩したあとは、街中にある「NAVAT」というレストランでキルギスの伝統音楽を聴きながらの夕食です。
店内はキルギスの雰囲気がたっぷり味わえる装飾がされ、それを見るだけでも楽しい。
私たちはそのお店の奥にある個室に案内されました。
テーブルには素敵なセッティングがされ、キルギス最後の夕食の期待が高まります。
今夜のメニューはサラダ2種類、チャクチャク(揚げパン)、ラグマン、パン、そして来る途中に買ったスイカとメロン。
まずは冷えたビールで乾杯。あ~~うまい!
食事も落ち着いた頃、伝統音楽の楽団「ダスダン」の4人が個室にやってきて演奏が始まりました。
馬が草原を走る様子を思い起こさせる曲から寂しげな曲、子守唄まで様々で、その素晴らしい旋律もさることながら楽器を使ったパフォーマンスも見もの。日本の「上を向いて歩こう」の曲の演奏もありました。
→動画はこちら
セットリスト
曲を聴いているうちに、なんだか今までの旅で見てきた風景や出会った人たちのことが思い出されて目頭が熱くなってきました。最後にお決まりのCDの販売がありましたがもちろん購入。素敵なお土産ができました。
キルギスの伝統音楽の夕食を満喫したあとは、近くのスーパーマーケットへ行きました。
店内は日本のスーパーと変わらない感じで、品数も豊富。
時間がそれほどなかったので、とりあえずキルギス産の蜂蜜と紅茶をターゲットに物色。
エリさんに聞きながら、他に乾燥ヨーグルトもゲットし、いいお土産ができました。
買い物を終えホテルに戻る途中に添乗員さんからお知らせがあり、今乗っているバスの冷房が故障したたため、明日から新しいバスに代わり、同時にドライバーさんも交代になるとのこと。
元ボクサーでマッチョのドライバーさんは、寡黙で愛想もあまりなかったですが、こちらから色々話しかけたりちょっかいを出したりすると照れたような笑顔を見せてくれる可愛らしい人でした。
突然のお別れでちょっと寂しかったですが、最後はしっかりとハグをしてお別れしました。
数日間、安全運転ありがとうございました!
→次は、キルギスからカザフスタンへ陸路で国境を越えアルマティの市内観光